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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第一章 入学
19/217

1_17_生徒会を担う者

ゲリラ投稿・・・何発目?

そもそも定期的な投稿ではないわけで、常にゲリラですね。

 



【最終試合!生徒会チーム3番手クリストフ

 対

 ローレライ家チーム3番手エドガー・ギバンス

 対

 ゼグノート家チーム3番手ギリク・ゼグノート】



「やったれ親分!!」

「畳んじまってくだせえ!!」

「負け犬の剥製とか欲しいなー」

「切り替え早いわね!」

「さっきからハイクの発言が危なすぎますよ!!」


切り替えられているかは分からない。

けど、ここで冷静さを欠いても仕方が無い。


だったら試合に集中して、何があっても動けるようにしよう。



そう考えただけだ。



「でもクリストフ先輩の系統とか知らねえよな」

「ケートス先輩もな」

「そういえば、どうして魔法使わなかったんだろ?」

「……励起しないって言ってた」

「は!?」

「それって魔力封じ?」

「たぶん。空耳なのかもしれないけど」



俺も気になってるが、その事で話し合うのは後にしよう。


もう審判が片手を挙げて待機している。



【試合……開始!】



審判の合図と共に、名門チーム2人がクリストフ先輩へ向かって詠唱を開始した。



「くそ、やっぱりかよ!」

「ゼグノート家の3番手は2年生ですね」

「修練世代の旗頭第二子かな」



生意気な顔をしてやがる。


間もなく詠唱が完了し、2発の初級魔法がクリストフ先輩へと迫った。



火系統と風系統か。


だが先輩は魔法で迎撃せず、身のこなしだけで回避した。そのまま詠唱を続けている。



「”囁き嗤う悪鬼は奏でる、響く怨嗟は闇神の愉悦・・・ノイズチェーン”」


クリストフ先輩の後方に暗い孔が幾つも広がり、そこから漆黒の鎖が金属音を響かせながら飛び出してきた。



「闇系統!?」

「似合わねえ!!」

「何かの冗談よね!?」


まさか先輩が闇系統とは……逆だろ! 光系統じゃねえの!?


「系統は選べませんからね」

「まあ資質に依存するとか言われてるから、闇系統は怖がられるけど」

「「なんて不憫な!」」



怖がられるのを気にしている先輩にとってさ、闇系統は自虐でしかないだろ。


あんまりな仕打ちに切なさが胸を支配するが、試合は続いている。



「ちぃ!」

「接近だ!」


名門チーム2人が息を合わせて対応し始める。


腰の剣を抜いて、鎖を受け流しながらクリストフ先輩へと接近するようだ。



「先輩の魔法って何?」

「妨害魔法ですよ。あの金属音が集中を乱して、触れると魔力を乱します」

「俺らは聞いても平気だけど?」

「対象以外は効果が薄いですし、障壁が妨害要素を通しませんから」


よく知ってるな。

さすがソマリである。


「あれでも中級ですからね。闇系統は厄介な魔法が多いんです」

「物理的な威力を伴わない魔法も多いけどね」



闇系統は妨害が得意と言われているのも、直接的な攻撃じゃなくて、惑わしたり封じたりといった魔法が多いからだ。


けど、魔法の行使者は代償という制限を自身に課せられるのだ。



「代償は?」

「あのノイズチェーンだと、行使中は動けません」

「自縛ってやつか」

「ちょっと違うと思う」



その代償を知っているようで、時に断ち切り、時に避けながら名門チームズが接近していく。


先輩も複数の鎖を操作しているが、あまり当たっていない。


たまに接触できても、魔法を使わないつもりらしくて脅威になっていない。



「魔法の選択ミスじゃね?」

「ちょっと不安になってきた」



俺達の不安が後押しするかのように、どんどん距離を詰められ、あと2mほどしかない。



「あの剣って刃を潰してるよな?」

「もちろんですよ。ただ、鈍器になるので下手すると骨が折れます」

「はあ!?」


さらっと怖いこと言ってんじゃねえよ!


「先輩逃げて!!」

「もう自縛プレイはいいからぁ!!」



マリと俺の悲鳴に、ちらっと視線を向けたクリストフ先輩は……悲しげな笑みを浮かべた。


意図を察する暇も無く、とうとう名門チームズの剣が先輩へと振り下ろされる。



直前に鎖を集めて防御するも、一太刀目で砕かれ、二太刀目が……


「”自由を奪う縛鎖の楔”」

「「!?」」



クリストフ先輩の詠唱に呼応するように、漆黒の鎖が復元して名門チームズの手足を拘束した。


さっきまでの操作速度など、遊びでしたと言わんばかりの早業だ。



そして、これで終わらない……終わらせなかった。



「”終焉を運ぶ罪科の秤……”」


名門チームズの足元近くに、突如として天秤が現れる。


片方の皿は女神の意匠、もう片方は死神の意匠だ。


「”最後の刻を看取る者無く……”」


リング全体に黒い霧が発生し、先輩達の姿が見えなくなる。


「”聳え立つは冷たき刃……”」

「ひっ!?」

「なん」

「”己を咎め乞い跪き、裁きを前に頭を垂れよ……”」

「あが」

「うああっ」



何が起こってるか見えねえ!


聞こえてくるのは名門チームズの悲鳴ばかりだ。


「あれなに!?」

「……分かりません」

「俺も知らないな」

「これヤバくね?」



どうする!? 動いた方が良いのか!?


あの悲鳴は結構マジなんじゃねえの!?



何かあったら動くつもりだったのに……まさか先輩が何かする側とは予測できなかった!



「”懺悔も尽きねば囀りも認めず……”」

「ん!? ふっ、ふんぐうう!!」

「ぐぅうう!!」

「”贈る調は悔恨の福音”」

「んぐう!」

「んーっ!? んー!」



くぐもった声しか聞こえなくなった……口を封じられたのか?



「なんか……怖い」

「俺もだぜ」

「どうする? 乱入するか?」

「それを判断するのは君達じゃないよ、うん」

「「「「!?」」」」



振り返ると学校長が居た。


なんでここに?



「ケートス君の容態を伝えに来たんだよ」

「先輩の!?」

「うんうん、ひとまず安静だけど命に別状は無いからね、安心しなさい」

「それは安心しましたけど、目の前の状況が……」

「そっちも心配要らないさ。クリストフ君は誰よりも優しいからね」



そっか、なら大丈夫………なわけあるか!!


「よく見てくださいよ!!」

「見えないねえ」

「そうなんすよ! 見えないんすよ!!」

「支離滅裂ですね」

「ちょっと落ち着こうか」



だってさ! あれ何!?


ヤバい雰囲気しかねえんだけど!!



「君達が騒ぐと周囲も不安を抱くよ」

「学校長は……あの魔法をご存知なんですか?」

「知っているとも。あれが原因で怖がられているからね」

「原因?」

「あれは虚仮脅しさ。だが、幻覚というものは囚われると逃げるのが難しい」



どうやら幻覚魔法のようだ。


「幻覚魔法じゃないよ」


訂正。どうやら違うようだ。


「あの中で何が……?」

「自身の行いを見せ付けられているんだよ」



これ以上の問答を続ける前に、最後の詠唱が告げられた。



「”せめて眠りは深きを願え、闇神の瞳・・・ギルティアジャッジ”」



断末魔の悲鳴が聞こえる。


それから、静寂が訪れた。


誰も動かない、何も喋らない。



やがて黒い霧が晴れて、立っているのは……ただ一人。




【ゆ、優勝は……生徒会チーム!】



さすがの審判も少し動揺しつつ、優勝チームが宣言される。


だが、歓声は上がらず拍手すらも聞こえない。


すぐさま名門チームのメンバーが倒れた仲間を担いでリングを去り、クリストフ先輩は歩いて俺達の居る待機席まで戻ってきた。



「嫌な思いをさせたね、申し訳ない」

「あ、えーと」

「彼らは無事だよ。傷一つ無い」

「精神も無事かい?」

「学校長……ええ、最小まで抑えましたので」


「それは何より。だがねえ、あれを使うなんて君らしくもない」

「私の未熟が招いた結果です。時間も無ければ手も足りませんでした」

「だから早期決着を急いだと? 交渉試合だって急いだ結果だがねえ」


「そうですね……焦りすぎているのは自覚しています」

「なに、そこまで責めるつもりは無いさ。これから大きく変わるなら、必要な戒めというものだ」


「今後は誰も嘆かない結果へ導いてみせます」

「期待しているよ。それじゃ、締めようか」

「はい」



リングに上がった学校長が試合の全工程終了を告げ、簡単な挨拶を行った。


そして優勝チームの代表として、クリストフ先輩が前に出てスピーチしているんだが……どうにも空気が重いな。



「おい、ルイス」

「なんだよ」

「お前がスピーチやれば?」

「はあ!?」



いきなりの無茶振りに素っ頓狂な声を上げてしまった。


不思議そうな表情で振り返るクリストフ先輩と、なんとも耐え難い視線の集中砲火……



「どうしたんだい?」

「あ、いや……すいません」

「先輩! こいつがスピーチしたいって調子乗ってます!」

「はあ!? おまっ、やめろよラグ!」


「仕方ないですねルイスは……先輩、僕からもお願いします」

「ソマリ!?」


「やっちゃいなよ。これ以上変な空気にはならないから」

「ハイクまで!?」


「よしなさいよルイス! 調子乗らないの!」

「お前は止めるのかよ!!」



なんだかんだと言い合う内に、俺の目の前へ拡声器が差し出される。



「先輩?」

「任せるよ。君の初仕事だ」

「……マジすか」

「大真面目だ」



うおお! どうすんだよ!!


とりあえず受け取ったものの、何話して良いか分からん!


「なにビビってんだよ」

「は? ビビビビビってねえしっ!」

「だったら早く話せよ。ケートス先輩の見舞いも控えてんだから」

「……分かったよ」



そだな、とっとと終わらせよう。


大きく息を吸い込んで、それこそ医務室にいるケートス先輩にまで届くぐらい声を張り上げた。



「てめえら!!! なにビビってんだっつーの!!」

「うるせえ!」

「黙れラグ!! お前の方が万倍うるせえよ!!」

「拡声器を向けんな!」

「まあいいや。でさ、お前ら何見てたん?ちゃんと目付いてる?」



俺の声に、言葉に、観戦席の全員が呆気に取られる。



「試合の内容はさ、けっこうアレだったと思う。けどよ、それだけで怖がるなんざ視野が狭いってもんだ」


俺だって少し不安にもなった。


実際マリは怖がってたし、ソマリとかは心配そうにしてた。


でもさ……


「ドルアーザさんが言ってた。ギルドカードなんかで冒険者である証明は出来ない、って。それはさ、形だけで決まるものじゃないからだ。冒険しているのか、冒険者なのか、そんなの自分にしか分かんねえよ」



そりゃあ、あまりにも他人とかけ離れていたら滑稽に見えるだろうさ。


だからこそ、大事にしなきゃいけないモノがある。



「それは出会いだ。人との出会いってやつだ! お前らはさ、まだクリストフ先輩と出会ってねえ!!そんな遠くから見ただけでよ! 出会った”つもり”で居るなんて調子良すぎるだろ!? しっかり話して、関わって、身をもって体感してみろよ!!」


じゃなきゃ先輩の事を知ってるなんて言わせない!


出会う前から最悪の縁にさせたりしねえ!!


しっかり出会ったと思えるほどに関わって、そこから判断すべきだろ!



「一般だとか貴族だとか言う前にさ、一回でも十回でも歩み寄ってみろよ! ここにいるマリなんかな! 初対面の俺に魔法ぶっ放したんだぞ!!」

「ちょ、ルイス!?」

「おまけに魔力枯渇で気絶してやがんの!! バカじゃね!? って思った!」



けどドルアーザさんの言葉を思い出して自分なりに歩み寄ってみたら、見えてなかった一面が見えた。


「黙ってれば可愛いのにさ、甘味甘味って常に騒ぐんだぜ!?」

「バカッ!!」

「いだっ!!」



殴られた……本当の事なのに……



「とにかく!! 逃げる前に近付いてみろよ! 実際クリストフ先輩は優しいし、ケートス先輩は頼りになるぞ!!」

「ルイス……」


どしたん先輩? もう少しで終わるから待ってて。


「せっかく魔法学校に入学したんならさ! 今を生き抜く先駆者であれ!! 以上!」



うし、良い汗掻いたな。


先輩に拡声器を返して、引き続きマリから暴行を受ける。


すると先輩が声を出して笑い、最後に付け足した。



「そういうわけで、自身の学校生活は自身で切り開くのが肝心だ。生徒会は、その意志を全力で支援すると誓おう!」



こうして、俺達の交渉試合は幕を閉じた。


腹も減ったし、お見舞いも行かないと……って事で、生徒会の仲間と一緒に訓練場を後にするのだった。




これにて試合終了です。

詠唱とか、それっぽい漢字を集めるのが大変です。

なんか色々変な組み合わせになってるかもしれませんが、平にご容赦くださいませ。

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