表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第一章 入学
10/217

1_08_勘違いです

もう、いっその事展開の遅さは個性だと思って開き直ります。

苦情が相次いだりすれば早めますけど・・・

 


「えぇっ!? もう空いてない!?」

「そうなのよ。ごめんねぇ」


大部屋を見学するため、もう一度寮の方向へと戻ってきた俺達は目的の棟へと辿り着いた。


だが、そこで目にしたのは大勢の新入生であり、嫌な予感がして急いで受付へと向かってみたのだ。



そして受付と管理人を兼任しているオバちゃんに大部屋を見学したいと伝えたところ、もう空きの大部屋が無いらしい。



「まさか生徒会の罠……!」

「俺達を無理やり生徒会に!?」

「さっきまで仲良く小芝居してたじゃないですか」

「でも妙だね。入学式の翌日だよ?」



皆して大部屋ラッシュに突入するほど友情を育むには早すぎる。


とりあえず近くに居た新入生へ話を聞いてみよう。



「なあ、大部屋なんだけどさ……」

「あ、丁度良かった! 俺も大部屋に入れてくれないか!?」

「お!?」


いきなり詰め寄られて困惑するが、間にソマリが割って入り距離を取った。



「どうしたんだ? そんな必死になって」

「あんた達も大部屋を予約したんだろ?」

「へ? まだしてないけど」

「……え……そんな……」



憔悴してしまったような雰囲気で俯く同級生。


俺何か悪いこと言った?



「幾つか質問があるのですが」

「あ、ああ。なんだ?」



ソマリが話を聞くようだ。


「あなたは大部屋を希望しているんですか?」

「そうだ」

「誰と大部屋になるかは拘らないんですか?」

「……ああ。それは今、どうでもよかった」


よくないと思うんだが。一番大事じゃねえの?



「他にも同じ立場の方々が居るんですね?」

「ああ」

「分かりました。最後に聞きたいのですが、あなたは一般ですか?」

「そうだ」


なぜ身分まで聞くのか分からんかったが、ソマリは必要な話を聞き終えたらしい。



「ありがとうございました。僕達も何か良い情報が入ったら知らせます」

「助かる」


とぼとぼ去っていく同級生を見送りながら、俺はソマリに尋ねてみる。



「なんだったんだ?」

「軋轢ですよ」

「はん?」


軋轢?


どゆこと?



「ラグとハイクは何処に?」

「あ〜……あっちに居る」

「合流しましょう。ひとまず今日は大部屋を見学出来そうにありませんから」

「お、おう」


よく分からなかったが、他の生徒に話を聞いていたラグ達と合流する。


そして、ひとまず生徒会寮に戻ってみると……


「なんじゃこりゃ」

「やっぱり……」



数十名の生徒がエントランスに詰めかけていた。


生徒会員が数人ずつ受け持って対応しているが、それでも間に合わず混雑している。



「この様子だと、反対側の生徒会寮も混雑してるでしょうね」

「そうなん?」

「どこ情報?」

「またゲスなの?」

「違いますよ!! ゲスが知ってるはずないでしょう!!」



茶化しつつ見回してみるとクリストフ先輩もケートス先輩も見当たらない。


さっき別れたばかりだから、まだ食堂付近に居るのだろうか。



「……誰か窓を開けたままにしていませんか?」

「俺は大丈夫」

「俺も」

「以下略」

「ソマリ!全員OKだ!」

「こんな時ぐらい開けといてくださいよ」

「「理不尽!」」



ソマリが納得できそうにない小言を漏らし、俺達を伴って寮を離れた。



「どこか落ち着ける場所で話をしましょう」

「ここで良いんじゃないのか?」

「僕達が生徒会寮に部屋を持っていると知れたら、面倒事になりそうなので」

「そうだね。出来れば生徒会長かケートス先輩と合流したいかな」

「ですね。一度、食堂を経由して訓練場に行きましょう。新入生も来ていないでしょうし」



……ん〜?



「なあ、ラグ」

「なんだ?」

「お前は今の状況分かる?」

「なんとなくな。けど、そこまで慎重にする必要があるかは分からん」

「教えてくれよ」

「別に後で良いだろ? 今は隠れながら食堂に行こうぜ」

「なんだかな〜……」



釈然としないが、まあいっか。


今日の目的も無くなったわけだし、付いてこう。





小さい頃はよく立ち入り禁止の場所に忍び込んだりしていたから、潜入行動は得意なつもりだ。


全員で迅速かつ的確に人目を避けて移動する。


途中で散開して、各自がサインを送りながら周囲の状況を確認し合う。



ル(前方に人影なし)


ラ(こちらの角も人影なし)


ソ(安全を確認。ハイク、前に4m移動)


ハ(了解……移動完了。継続して人影無し)


ル(了解。ラグ、前進して隠れる場所ある?)


ラ(無いな。警戒のため、俺の移動は最後だ)


ソ(了解。僕から先に行きます)


ル(了解。俺はあの茂みに移動する)


ハ(え?待ってルイ……)


ル(おし、移動開始……到着)



茂みにダイブして伏せる。


ひとまず安心だな!




ーーーーー



ラ(……あいつバカか。茂みに入ったらサイン見えねえだろ)


ソ(そのサインは初めて見ましたが、予想は出来ます。ルイスはアホか、ですね)


ハ(あはは、ルイスらしいね)


ラ(なに喜んでんのか知らんが、移動しようぜ)


ソ(見捨てるんですか?)


ラ(あいつを回収すんだよ)


ソ(そのサインも初めてですよ。斬首、ですか?)


ラ(あん? よく分からん。もう一回頼む)


ソ(だから、首を斬って、落とせ、って意味ですか?)


ラ(地獄に落ちろ? そこまで言わねえよ、鬼か)


ソ(心を鬼にして? 酷いですね、もう少し慈悲を持ちましょうよ)


ハ(お〜い、誰か来るよ)



ーーーーー




「全然見えないな……」


考え無しに茂みへ飛び込んでしまい、孤立してしまった。


もう諦めて出てきてもいいかな。



「……お?」


足音が聞こえる……誰だろう。


茂みを通すと部分的にしか見えない。他人かもしれないから靴で判断すっか。



そう決めてじっとしてたら、ちらっと見えたのは知らない靴だ。


ラグ達じゃねえな。



「はぁ……どうしよう」



可愛らしい声が聞こえた。女の子か。


なんか悩んでるみたいだな。



ていうか、俺の目の前で立ち止まってしまった……どうしよう……



「私も生徒会に相談しようかな……」



そうだな、それがいい。


親切だしノリも良いぞ。



「でも怖いなぁ……生徒会長とか……」


やっぱ怖がられてんのか。


でも実際話すと紳士的だから勇気を出してほしい。



「あの4人組を学校から追い出したって噂だし……」


そんな真似しないだろ。


もし事実なら4人組がよっぽど怒らせたんじゃないか?




……ん? 4人組?



「あのさ」

「っ!?」


茂みから体を出して話しかけたら驚かれた。


そりゃそうだよな。



硬直している女の子は背中まである藍色の髪を束ねている。ポニーテールってやつか。


整った顔のパーツは流石女子といった可憐さを醸し出しているが、今は驚愕の表情だ。



「ごめん」

「なんなの!? 魔物!?」

「違う! 人間!」

「あれ? あなた昨日の……学校から追い出された人!」

「ちげえよ! 今いるじゃん!」

「きっと途方に暮れて都から出たところを魔物に殺されたんだわ! 幽霊ね!!」

「散々だな、ってか違う! 生きてっから!!」



すげえ想像だな。


俺はたとえ追い出されても冒険者になって……あ、死ぬかもしれんな。


装備が通用しないらしいし。



「だったら下半身も茂みから出しなさいよ!」

「は?」

「幽霊じゃないなら足があるでしょ!」

「足はあるけどさ。そういうもんなの?」

「そうよ。お母さんが言ってたもん」

「ちょっと信憑性低いな」

「他人のあなたよりは信用できるわよ!」

「たしかに!」

「さあ、茂みから出て……あ、待って」



言われなくても出たらあ! と踏み出そうとしたところで止められた。



「なに?」

「そこの茂みで何してたの?」

「え? ……ああ、見つからないように隠れてた」

「やっぱり! 用を足してたのね!!」

「はい!?」



なんですと!?


「お父さんが言ってたもん! 男の人は茂みがあれば用を足すって!!」

「それは個人差あるんじゃねえかな!」



なに教えてんだよ!


てか、その言い方だと親父さんは犬と同レベルだけど!?



「ズボン……下ろしてるの?」

「んなわけねえだろ」

「もう済んだのね?」

「いや、そもそも用は足してない」

「……本当に?」


どんだけ疑ってんだよ。


「なんなら調べてみるか?」

「! ……そうやって茂みに連れ込んで襲う気なのね」


はあ!?


「待て待て! さっきから酷くね!?」

「だって、言葉巧みに誘導されてるもの」

「そんな巧みだった!?」

「お母さんも騙されたから気を付けなさいって言ってたもん!」

「それ俺に話してよかったのか!?」


そういうデリケートな話って慎重に検討すべきだと思うんだけど!




……いや待て、おかしいだろ。


なんで俺は律儀にツッコミしてんだって話だ。


大声の連続で疲れまで感じるし。



「もう何でもいいからさ、とりあえず」

「!! ……いや……こないで」

「へ?」



アホらしくなり、呟きながら茂みを出ようとする。


けど、いきなり女の子は自身の体を掻き抱いて後ずさりし始めた。



脅えてるのか?



「どしたん?」

「イヤァ! 何でもありの性犯罪者よ!! 誰か助けて!」

「お前の勘違いがな!!」



なんでこうなった!?


分からんが、なんかオリビアさんと似た雰囲気がある!


人の話を聞かないとことか!



「こうなったら……”波打ち押し流す水神の吐息・・・”」

「おぉ!?」


詠唱!?


マジか! 魔法撃つつもりか!?


「”スプレッド”!」

「うわっ」



直径2mほどもある水柱が、女の子の前方から撃ち出されて向かってくる。


やば……これ、避けられない……



「”エアウォール”」

「…………お?」


咄嗟に閉じてしまった目を開けると……目の前にハイクが立っていた。


どうやら風系統の魔法で守ってくれたらしく、俺達を避けるように水柱が割れている。



やがて水柱が途切れ、視界が開けた。


全く濡れる事無く助かった俺は、ひとまずハイクに礼を言っておいた。



「ありがと。助かった」

「災難だったね」

「それな。どこまで勘違いすんだっつの」



ひとまずハイクの肩越しに、俺へ魔法をぶっ放してきた女の子へ文句を言うべく……


「! ……おい! 大丈夫か!!」



女の子が倒れてる!


どうしたんだ!?




「魔力が枯渇したみたいだね」

「バカじぇねえの!?」

「寝かせてたら治るけど、ここじゃあね……」

「医務室とか近くにあるか?」

「食堂ぐらいしか分からないな。一旦ラグ達も呼ぼうよ」



そういうわけで、隠密行動を中止して医務室へと急いだ。


ソマリが知ってて良かった……



今回で女子が3人も登場しましたね!・・・ねっ!!

オバちゃんの名前を募集中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ