仮面の宴
早めに更新!24話です(^ω^)
第二章はこれで完結です。
サチさんに叩かれた右手をヒラヒラとさせながら、真下 壬さんは再び苦笑いをする。
「いって~…。相変わらずだね。サッちゃんは」
サチさんのことをサッちゃんと呼び微笑む真下さん。どうやら二人は知り合いのようだ。しかし、見ての通り仲の良い関係とはどうやら言えない間柄らしい。
「ちょっとサチ!?いきなりどうしたの?」
坂上もサチさんのただならぬ態度に動揺を隠せずにいた。
サチさんは、坂上にはちらりと視線をやるだけでなにも言わず、真下さんの方に向き直り口を開いた。
「お嬢様と、そのご友人方を助けていただいたのは感謝します。しかし、出来ることなら私達への接触は今後控えて頂けると有り難いのですが…」
そう淡々と話すサチさんの目からは普段の優しさは見られず、ひどく冷たいものだった。
「サチ……」
坂上や他のやつらでさえ、今のサチさんの態度に唖然とするだけだった。
一方的にそんなことを言われた真下さんの方は至って普通で、先程と変わらず笑顔を崩さずに返答した。
「ゴメンゴメン。流石に馴れ馴れしすぎたかな?でも…」
そう言って一呼吸置き、店を出ようと俺達を通りすぎていく。そして、ドアに手をかけたところで再び振り返り言った。
「…接触を控えろってのは難しいかもしんないね?」
その意味深な一言を残し、真下さんは店を出ていった。
残された俺達には、気まずい空気が漂っていた。南島やその親子、つい先程まで命の危機に瀕していた西条すら自分達のことなんかよりもサチさんの言動に目を奪われていた。
そんな空気に耐えかねたのか、ついに坂上が口を開く。
「ねぇ、サチ。あのおじさんと何かあったの?」
その声色は、まるで子供をあやすように優しいものだった。今のサチさんを刺激するのは、得策でないと本能的に感じていたからだと思う。
そんな坂上の言葉に、サチさんはようやく返事をする。
「……あの男性は、私の学生時代の先輩です。ただ、その頃からあまり好ましい人ではありませんでした」
確か真下さんは、うちの学園の卒業生と言っていた。と言うことはつまり、サチさんもうちの学園の卒業生だったと言うことになる。
「あの方は、実に聡明な方だと思います。事実、学生時代の彼はその頭脳を遺憾なく発揮しておりました。しかし、その聡明さゆえに危険な人物なのです……。すみません。要領を得ない話とは思いますが、今言えるのはこれだけです」
そう言ってサチさんは深々と俺たちに頭を下げた。
サチさんの言うように、それだけでは何も分からなかった。しかし、これ以上サチさんに問い詰めることは誰もできなかった。
「分かったよサチ。サチがそこまで言うんだから何か重要なことがあったんだよね。だからもうこの話はおしまい!」
あくまで明るい声で坂上は言った。納得したわけではないと思う。しかし、サチさんと今までずっと一緒にいた坂上がサチさんの行動を認めたのだ。俺達も認めるしかないな。
ここにいる全員が坂上に同調して頷く。その様子を見てサチさんは笑顔をこぼした。
「……っありがとうございますお嬢様。ありがとうございます皆さん」
そう言いながら再び頭を下げるサチさん。
「良いってば!いつか話せるときが来たら……ね?それよりみんな無事でよかったよね!安心したらお腹すいたよ~」
坂上の顔がぐにゃりと崩れる。時間は夜7時を過ぎたところだ。確かに空腹を感じる。皆も同じく腹の虫が騒いだらしく、手で腹部を抑える。
「それじゃあ是非うちで食べていってちょうだい?私の自慢の料理を披露するわ♪ サービスでお酒も出しちゃいましょ!」
すると南島の母親が笑顔で俺達に言ってきた。
「やっほーい♪私カツ丼がいい!!」
坂上が飛び跳ねながら催促する。こいつは遠慮って言葉を知らんのか。
「はじめちゃんたら…。じゃあ私はハンバーグ!」
緊張から解き放たれてなのか、坂上の影響なのか。なんと優香里までノリ出した。
「ならアタシも腕を振るっちゃうわよ~!」
南島もいつものオカマ口調ではしゃぎ出した。ってか料理できるのか?不安だ…。
待つこと数十分。目の前のテーブルにはこれでもかと言うほどのご馳走が並んでいた。
リクエストのカツ丼もハンバーグも、それからサラダにパスタなど栄養も申し分ないものばかりだ。
「それじゃあ早速…」
待ちかねたといった様子で坂上が皆に目配せする。皆も手を合わせて今か今かと合図を待っていた。
「召し上がれ♪」
「「「「「いただきまーす!!」」」」」
南島の母親の一言で、皆が一斉に食べ始めた。俺も折角なので目の前のハンバーグを一口食べる。
うまい…。口に入れた途端柔らかくてとろけるような肉の食感と、広がる肉汁の旨味。デミグラスソースも他のものとは違う味わいで、軽く感動できるほどの味だった。
「おいしい♪」
「うんまーーい!!」
「ほんと、美味しいですね」
女性陣たちにも大人気だ。西条も、先程より元気になったみたいで安心した。
俺達はしばらく談笑に花を咲かせながら食事を楽しんでいた。しかし、あの真下 壬という人物は一体何者だったんだろう。
ふと先程の言葉が蘇る。
『接触を控えろってのは難しいかもしんないね』
この言葉が意味することとは一体なんだ?それにあの男は、スーツの男とも知り合いのような素振りだった。なのに何故俺達を助けたんだ?
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだった。
「東川さん…?どうしたんですか?」
俺が難しい顔をしていると、いつの間にか西条が隣に来ていた。
「いや、何でもない…」
俺はさっきの男について考えていたとは言わなかった。言っても分からないし、サチさんの手前じゃもうこの話はしない約束だしな。
「? それより今日はありがとうございました!」
「いきなりどうした?」
西条の感謝の言葉に俺は不意をつかれ、聞き返す。
「東川さんのお陰で、また皆でこうして笑える事が出来ましたし。あの時の東川さん、カッコ良かったですよ?」
そう言って笑顔を見せる。久しく見ていなかった笑顔に、俺の鼓動は少し早くなる。
「い、いや。それよりあの時みたいに、もうお前を危険な目には合わせないようにするから…」
そこまで言って、俺はハッとする。この言葉って告白みたいになってないか?俺は焦りながら西条の方を確認する。すると……
「んふふ~。東川さぁん」
そう言っていきなり西条は抱きついてきた。えっ?なにこれ?俺が今の状況を理解できずにいると、優香里の声が聞こえてきた。
「あぁーー?!雷斗、なにやってんの!?」
「あ、いやこれは違うんだ…その」
「私も雷斗にくっつく~」
俺が言い訳を必死に探していると、優香里までも抱きついてきた。は?何で?
よくよく抱きついてる二人を見れば、目がすわって、ぼんやりしている。顔も少し赤い。まさか!?
そう思って辺りを見渡すと、よくわからない洋酒の瓶が空いてるのを見つけた。さらに周りを見ると、坂上も南島も皆一様に呂律が回っていなかった。
くそっ。まさか全員酒飲んだのかよ。南島の母親を問い詰めようと思ったが、当人までも酔っぱらっていた。俺は最後の希望を持って、サチさんを探した。
すると、テーブルでちょこんと一人で座って涼しい顔をしているサチさんを見つけた。
「サチさん!」
「どうしました、東川様?」
良かった。サチさんはどうやらまともだ。俺は助けを求めようと説明する。
「いや、実はこいつら酒飲んじゃったみたいで、はがすの手伝ってもらえませんか?」
「まあまあ、それはそれは。分かりました」
そう言ってサチさんは立ち上がってこちらに来る。良かった。この人だけでもまともで。サチさんは二人を手を外して、俺の首に手を回して……ってあれーーー?今度はサチさんが抱き付いてきたけどーー?!
「あの?サチさん?」
「大人の女性の魅力を特別に、教えてあ・げ・る」
そう言って顔を近づけてくるサチさん。ちょちょちょっと!この人もかよ!?
もう少しで口づけになる寸前で、さらに声が聞こえてきた。
「サチだけずるいー私もー」
「雷斗ぉ~」
「東川さぁん。ムフフフ~」
そんなこんなで全員がくっついてきた。重い…。
「ならア・タ・シ・も」
そう言って近付いてきた南島を俺は一先ず蹴飛ばした。
「どんだけーーーー!」
こうして宴の夜は更けていった。
如何でしたか?終わらせようと詰め込んだら長くなっちゃいましたね(苦笑)
長いですがあまり頭を使わずに読めるようになってると思います。誤字脱字等あれば教えてください。
お気に入り登録ありがとうございます!!!m(__)m
ほんとに嬉しいですね。
お酒は二十歳になってから!!
感想などお待ちしております♪




