旅立ちから数日というわけで-まもるサイド-
私がケインと一緒に旅に出てから、すでに三日が経っていた。
馬車が用意されてたので歩くこともなく、のんびり観光的にこの世界を見ることができるのはけっこう楽しいことだけど、さすがに退屈してきた。
ケインは真面目で信頼できる人物というのはよくわかったけど、特別に愉快というわけでもない。
「そろそろ退屈してきましたか?」
私の気分はケインにも伝わっているらしかった。
「まあ、馬車に乗っているだけだから」
「そろそろ村がありますから、補給もかねて立ち寄ります」
「ということは、野宿じゃないわけ」
「そうです。それから、ギルドがない村なので、何かあるかもしれません」
何か、何かね。
それから、昼過ぎに村に到着した。
なんというか、こじんまりとしていて、活気が感じられない村だった。
「これはおかしい」
ケインは小声でつぶやいた。やっぱりおかしいんだ。
「なにがおかしいの」
「出歩いてる人が少なすぎますね」
とりあえず私達はケインの知り合いという家を訪ねることになった。
ケインがドアを叩くと、中からくたびれた表情のおばあさんが出てきた。
「どうも、お久しぶりです」
「ああ、ケインさんですか。ちょうどいいところに来てくださいました」
おばあさんは拝むような感じでケインの手をとった。よほど困ったことがあったんだろう。
「なにがあったのか、詳しく聞かせてください」
そういうわけで私達は家の中に入って話を聞くことになった。
「最近農地に大きなサンダーアントが出没するようになったんです」
サンダーアント?
「雷を発するアリで、サイズも大きくて厄介な魔獣です」
ケインが小声で教えてくれた。どんなアリなんだか。
「農地も荒らされきってしまって、私達だけではどうすることもできなくて、ギルドに連絡しようと思っていたところだったんです」
「そういうことなら任せてください。我々がなんとかしましょう」
「ありがとうございます」
事実上、私のこの世界での初仕事というわけか。
「では、報酬として宿と食料をわけていただけますか?」
「もちろんです」
話はまとまったと。
それから私達は早速問題の農地に向かった。
到着すると、ケインは周囲を用心深く見回した。
「マモルさん、あのパワードスーツというのを準備しておいてください」
「わかった」
私は早速パワードスーツを装着した。
センサーで周囲を走査してみると、怪しい反応がいくつかあった。
しかし、周りを見ても何もないということは、アリだけに地中ってことか。
「サンダーアントっていうのは地中にいるの?」
「そうです。マモルさんにはわかるんですか?」
「まあね。この農地の地下にいくつか反応があるから」
「それなら、すぐにおびき出すことにしましょう」
ケインはそう言って農地の真ん中に歩いていった。
それからケインはナイフを手にとって、指先を切ると、そこから地面に血を落とした。
「我が血をもって、我が願いをかなえよ」
ケインはそう言ってから、下がってきて私の横に並んだ。
「これであいつらをおびき出すことができます。話は私がつけますから、手加減は無用です」
「了解」
さて、アタッチメントは何を使おうかな。とりあえず一つは。
「アタッチメント! マシンガン!」
あと一つは様子を見ながら決めればいいか。
そうしているうちにセンサーの反応が強くなってきた。ケインが血を落とした場所を中心に出てこようとしてるらしい。
私はマシンガンをかまえて待った。
「きましたよ!」
地面から人の拳くらいの大きさの頭のアリが顔を出した。これはでかい。
しばらく待っていると、次々にそのでかいアリが姿を現した。大体二十体で、センサーの反応とも一致してる。
私はすみっこのアリに銃口を向けると、引き金を引いた。サンダーアントの頭は一気に弾けとんだ。
そのまま一気に掃射すると、大体半分くらいは片付けられたらしい。
「アタッチメント! 火炎放射器!」
今度は逆から炎とマシンガンでなぎ払った。
センサーを確認してみると、反応は全て消えていた。
「これで全部片付いたみたいだけど」
「わかるんですか?」
「まあ大体ね」
私はもう一度周囲を走査してから、反応がないことを確認した。
それからハッチを開いてパワードスーツから出た。
「すごい力ですね」
ケインは感心したような顔をしていた。
それはまあ、ファンタジー世界に、こんな未来SF兵器があったらね。
「アリが出る農地っていうのはここだけでいいの?」
「そうです。しかし、今日は見回りをしておきましょう」
そういうわけで、私達は農地の見回りでその日をすごした。
まあ、屋根の下で眠れると思えば苦にもならないか。




