第日環「逆スリーセブン」
気丈にはしているが多分気にしてくれていたのだろう、私の身の上の事を。
「って嘘だよ嘘々。肉親殺しと手を組むなんて不気味な舞台設定が施される様な仕掛けになってたらそれこそ今この場でvsサンディの血の決闘ものだろ。どっちもこんな人類の闇の一件を知る前に他界してる。まあそんな不幸な凡人が尚且つ上手い具合に独身で、とここまで整ってるとうすら寒い逆スリーセブンが揃ってる感があるのは否定しないが…。それでも友人は居た、ただそれだけだな、そっち方面で言いたい事としては」
本当は分かっている、両親がこの逆スリーセブン成立の為に始末される流れに居たであろう事は。抑えていた言葉、と言うのにも半分は偽りは無い。誰かは偶然と言う名の必然の下に私の立場に向かう様な運命のうねりとでも言うべき物があった筈だ。そう、目の前で塩漬けにされたと言う様な直接恨む立場では無いにしろ広義では元サンディの影響下にありその毒牙に掛かったのは確実だと信じている。だが現サンディにそこまでの責任追及をするのは度を過ぎた行為だと思う、これから手と手を取り合ってやって行くべき相手の手を取る事を拒み、憎しみ傷付けるのは筋違いだ。
「悪戯返しされる日が来るとはね、このスゥにもお鉢が回ったかな」
「スゥ?」
「そそ、数学のスゥ。デスゲームを数式に準えてその解を得る手段、導き手となる者、を名乗ろうかと思って。サンディはなんかこっちではしっくり来ないから置いておくよ、オイル紅茶をサーブするニノの脳内に居るイケメン執事さんの名前って事でね」
「ははっ数学じゃなくて算数の方が容姿に似て可愛い響きじゃ無いかな、サン繋がりだし」
「むー、なんか私って結構おじさんにからかわれるタイプかも…」
「じゃこれからよろしく、サンスゥちゃん」
気のせいか目に電光が走り出している気がする。目から殺人ビームを出せたりするのかも知れない、ここはデスゲーム前に亡骸とならない様発言に気を付けなくてはならない。
「…スゥさんの間違いでした」
「よろしい! ってアレ?」
今握手を求めているジェスチャーを取る私の目の前でスゥの手が盛大に擦り抜けた。多分パァン!といい音を鳴らす勢いでスゥは手を乱暴に振るったのだろうが私としては静電気が来る時の様な感覚が一瞬有っただけでその予想図は幻と終わった。勢い余ったスゥの体は不本意な私に横顔を見せる形で静止し、そして体躯の姿勢はそのままに苦笑いを浮かべた顔だけこちらに向けて来た。
「あちゃー、もっと触れ合える、と呼ぶには遠い出会いになっちゃったね」




