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Thùndï-Æthàltâ  作者: 篠崎彩人
第二解「電気雨」

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第四環「死合い、開幕」

「それにしてもパパってなん」

「シッ本当に始まるよ…規模はまだそうでも無いね、熟成期間が短かったせいか。相手の機ィ体名はアメリョッカ。相手も相手でヒノモトの名の下の地獄を徘徊し始めているだろうね」

 アメリョッカ。雨と緑化か。なるほどパッと聞いた響きだけで私の頭の中に嫌な思考が巡って来る、これがデスゲーム自動構築の抗えぬ魔の手か。人の恐怖体験の一つ、植物人間。思考は生きて居ながらにして、体が言う事を聞かない。雨は促進する材料か、人の植物化を。勿論医療に掛かっている植物人間が雨に降られてどうと言う事は無いし実際問題降られる環境下になど居ないだろうがここは夢の時空間だ、起こり得る事は物理法則のそれだけに収まらない。

「この辺の相手方デスゲームのバックボーンは落雷で私の頭にインプットされたみたいだね。どうニノ? 私が言った半分は自分が創造するって事の意味は見えて来た? 今のアメリョッカの響きィで」

「ああなんとなくね。言霊って概念を信じる方では無かったが、でもこの状況でそんな事言っているのは間抜けでしかないのだろうな。想像力の隙を突いて俺とお前の命を狙う怨念めいた物の蠢きを感じるよ」

「それでいいよ、もはや夢の囚われ人だからね私達は。夢に夢の常識が有るんならそっちの流儀に則ってやる事やらなきゃ即刻、これだ」

 そう言ってスゥは首の手前を手刀で払う動作をしてみせる。スゥも名前を変えるだけあってこちらでは戦闘モードと言うか、緊張感の走る様な喋り口調に変貌している。それもその筈、文字通りお互い命懸けなのだから。

「でもって多分これは陸上で言う短距離走だ、規ィ模のイメージがどうにも狭いんですぐ勝負が付く筈。私達がこんな風に余裕を持って話に花を咲かせている時間があるならとっととスタートダッシュを切るのが賢いって事だ。そして響きだけでは全貌を完璧に想像出来ているとも考えない方がいい可能性が高い、まあグッドラックだ。生きてあの部屋に帰る未来を創造しよう、相棒」

「分かったよ、努力しよう。ちなみに見えているのは雨と緑化、それによる植物人間化の悪夢だ」

「オーキードーキー。フライングは禁止だよ、先に行くのはこの透明人間な私ってね」

 そしてふわりと宙に舞う妖精が居た。なるほど、地面に足をくっつけて居たのは自分に合わせてくれていただけか。刹那。彼女の首を通過する不穏な針の”雨”が有った。私の空想か、相手方の仕込みかはともかくこういう事なのだなと思う。

「お、おーこれは肝が冷えるね。私に肉体が有ったならと思うとゾッとしないね」

 とここで振り返って見せる彼女、無理して微笑みを湛えているが額に汗が浮き出ているのが分かる。私のアイカメラは、自分を中心とした人類史が刻まれて行くそのスタートラインを観測し始めた。

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