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 祭りは楽しかった。


 いつまでも祭りが続けばいいのにと思うけど、翌朝起きれば片付けがある程度終わっていて、現実は虚しいものだと思わされた。


 そして、シスの絵画教室は終了。


 みんな学校に戻る準備で忙しいのか、遊びに行っても忙しいからと断られてしまった。


「あーあー」

「アリシアため息ばっかしてないで外で遊んで来たら?」

「みんな帰るから遊んでくれる人いないの」

「あー……もう一人いなかった?」

「ユスリアル? ユスリアルは家をちゃんと知らないの」


 何となくあの辺りかなと目星をつけた場所はあるんだけど、それでも招待された訳でもないのだから、尋ねて行くのもどうかと迷っている。


 ユスリアルは家で沢山勉強しないといけないみたいだし、突然行っても困るでしょ。


 そんなことをシスに伝えるとシスは苦笑して、それ以上は言わなかった。


「じゃあ、僕は奥で絵を描いているから何かあったら呼んで」

「はーい」


 返事をすればシスはすぐに奥に引っ込んでしまった。


 することがなくなったあたしはしばらくソファーの上でゴロゴロしていたけど、それにも飽きてきた。


「どうしようかな」


 外に行ってもみんな片付けだのなんだので忙しいし、一人だけうろちょろしているのもどうかと思うと億劫になる。


 昼食の用意をするにも早すぎる。


「……」


 しばらく考えたのちあたしは久しぶりに母さんのお墓に行ってみることにした。


 シスには出かけてくるねと一応声を掛けたが、聞いているのか聞いてなかったのかは分からない。


 途中母さんに花を買って、着く頃にはお昼過ぎぐらいになると思ってパンを買ってお墓に行くための路地を登ってった。


 しばらく来てなかったからか、普段運動をしないからか分からないけど、階段がキツい。


 帰ったら運動をしようかな?


 えっちらおっちらと歩いていると、涼しい風が頬を撫でる。


 気付かなかったけど、夏の日差しの中に秋の空気が混じっているような気がする。


 何日かしたらみんなも学校に戻ちゃう。次に会えるのは冬休みなんだそうで、それまではみんなと一緒に遊べない。


 そうなる前にもっといっぱい遊んでおけばよかったと思ったけど、毎日のように遊んでいたのだから次にみんなが戻って来た時にまた沢山遊べばいいだけだよね。


 それまでみんなに忘れられないように手紙書いたりしてようかな。


「ふぅ」


 長い階段を上がりきると、エペンス通りが一望出来る。


「母さん今日は一人で来たよー!」


 母さんのお墓は前にきた時からそんなに経ってないからか綺麗なままだった。


 前に持ってきた花はシスがあたしの知らない間にでも来ていたのか、なくなっていた。


 一応あたしも何か持って来るべきだったかもしれないけど、持って来なかったものは仕方ないよね。


 お墓自体は綺麗だったけど、一応軽く掃除はする。


 母さんだって綺麗な方が気持ちいいと思うから。


 父さんのお墓にもその内行こうかなと思ったら、ふと変なことを考えてしまった。


「父さんと母さんは天国で一緒になれたんだよね」


 二人の結婚生活は母さんが奔放だったから破綻したと聞いたけど、今は天国で一緒に過ごしているのかな。


 二人の会話とか想像がつかないんだけど、どんなんだろう。


 きっと天国でも父さんが振り回されていたりするんだろうな。そう思ったらふふっと笑えて来た。


 本当は父さんと母さんとあたしの三人で過ごしてみたかったけど、二人共いないんだもんね。


 あたしが死んだら二人に会えるかもしれないけど、そんなことするつもりはない。


 だって、またみんなと遊ぶ約束したし、シスのことだって分かってない。それに、まだまだやりたいことだってある。


 だから、家族三人で過ごせるようになるのはもっと先になるけど、それまでは二人共待っていてくれると信じている。


 しばらく最近あったことを母さんに話してから帰る。


 あんまり長居しなかったのは、あたしがシスに会いたくなったから。


 さっきも会ったけど、父さんと母さんが一緒にいるところを想像したら寂しくなって来ちゃったからだ。


「じゃあね母さん。また来るからね」


 だだっと駆け出せば、別れを惜しむかのように風が吹いた。


 でも、あたしは足を止めなかった。


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