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「アリシア! あたしたちの踊りどうだった?!」
「よかったよ」
「あたし途中何度か間違っちゃった……」
「みんな気にしてなかったみたいだし、大丈夫でしょ」
イビーが間違っていたと落ち込んでいた。あたしが見ていた限りはみんなと同じだと思っていたんだけど、イビーは落ち込んでる。もしかしてあたしたちが見ていたところじゃないところで間違えたのかな?
イビーを宥めすかしてお祭りを回ろうと誘っていたらユスリアルがやって来た。
「あ、ユスリアル! さっき気づいた?」
「もちろん」
ユスリアルはもう普段着に着替えてた。
イビーたちも着替えてるけど、ユスリアルはまだこっちの地方の服じゃなくて、どこかの民族衣装みたいな感じで一人だけ目立ってる。
ユスリアルにみんなと踊ってみたらと誘ってみたらその時はちょっとびっくりしていたけど、みんなと打ち解けられているのを見たら誘ってみてよかったみたい。
誘った時にちょっとだけ嫌そうな顔をしていたから来ないかもと思ったけど、楽しそうでよかったわ。
「アリシアは参加しなかったんだな」
「あたし? うん。恥ずかしいんだもん」
「俺にはさせたのに」
「あはは」
「アリシアも来年はすればいいじゃん」
「えっ?!」
カノンがとんでもないことを言い出して来たんだけど、あたしするつもりはなかったよ。
「それはいいな」
「でしょ!」
「みんなで一緒なら楽しいと思うよ」
「ええー」
何かあたしがするって決まっちゃった気がするんだけど、やるつもりはないからね?
来年のお祭りの時はみんながこの話を忘れていることを願うしかない。
ひとしきりからかわれた後でどこに行こうかと話し合う。
シスはシスの友達と会いに行くだろうからみんなの踊りが終わった後に別れた。
夜には戻るって言ってたからあたしも夜になる前に戻っておけばいい。
「あたしお腹空いた!」
「俺も」
「じゃあ、何か食べに行こうよ。アリシアもそれでいい?」
「うん」
イビーも何か食べたいらしくさっきから食べ物の屋台をチラチラと見ている。あたしはさっきちょっと食べたからまだ余裕はあるけど、みんな食べるって言ってるし、一人だけ食べないのも変だもんね。
何を食べようか。串焼きはさっき食べたから今度は別の物が食べたい。
フルーツ系にしようかな。でも、あっちの揚げ物もおいしそうだしと悩んでいたらみんなで目当ての物買って来てみんなで分けっこしようと言い出した。
あたしは何にしようか?
あれこれと見てるとどれもおいしそうに見えて決められない。
いくつか買ってもいいのかな? 数について何も言われなかったからいくつ買ってもいいってことよね?
お祭りだからか普段よりちょっぴり高めの値段にどれにしようか余計に迷う。
お金はあるけど、これならいつもの方が安いし、家に帰って作ればさらに安くなる。
そんなことを考えていたら祭りなんて楽しめないのかもだけどさ、家で作ってるとと思って居ると美味しそうな匂いにつられて気がつけばふらふらと移動してた。
「おじさんそれ一つ……やっぱり三つください!」
「あいよ」
あたしが引き寄せられたのは、揚げ菓子。
棒に刺してあるのか、巻き付けてあるのか分からないけど、揚げ菓子に振りかけてある砂糖が日差しでキラキラと輝いて綺麗で、気付いたら屋台のおじさんに声を掛けていた。
最初一つにしようと思ったけど、すぐにみんなで分けるんだからと数を増やした。
一人一本でもいいかなとも思わなくもなかったけど、みんなも何か買って来るから五本は多い。それに、お祭りの値段だからちょっと値段も気になる。
買ってからお菓子にしちゃったことに気付いたけど、別にお菓子でもいいよね?
ダメだった時用にもう一種類ぐらい買った方がいいのかな? 迷っていたけど、みんなのところに戻った時にその心配はいらなかったと分かった。
カノンは肉の串焼き、さっきシスと食べたって言ったら欲しくなっちゃったんだって。
ノアはカットされた山盛りのフルーツ。色とりどりのそれらはどれもおいしそう。
イビーはかなり迷ってたみたいで、戻って来たのはあたしよりも遅かった。
イビーが買って来たのはジュースと魚の姿焼き。カノンと一緒に串焼きに興味があったけど、お肉を買ってるのを見てお魚に変えたそう。
ジュースはみんな色々と買うから喉渇くと思ったとのこと、喉の渇きとかは全く考えてなかったあたしたちはジュースは自分たちも欲しい。イビーにちょっと待ってもらって好きなジュースを買って来た。
それにユスリアルが買って来たのが顔ぐらいの大きさの木の実が沢山入ったパンだったんだもの。イビーが買って来たジュース一つじゃ全く足りないわ。




