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「わぁ~」

「アリシア、はぐれないでねー」

「分かってる!」


 シスに返事をしてから、通りに出ている屋台にいつもと違うとワクワクする。


 屋台は食べ物屋さんや遊べるところにお土産屋さんなんかも出てる。


 屋台をやっている人は、知ってる人も居れば知らない人もいて、最近街の様子が活気づいていたのも頷ける。


 午前中はみんなが踊りの準備とかがあるっていうからシスと一緒に豊穣祭を回ることになった。みんなとは午後から回る予定で楽しみ。


 シスとももっと一緒に居たかったけれど、シスにも友達がいるはずだし、あたしがシスの行動を制限するのは違うので、ゆっくりしてきてねと言ってある。


「何か遊ぶ? それとも何か食べる?」

「んーと」


 朝屋台で食べればいいやと、二人で朝食は食べてこなかったからお腹空いてるっちゃ空いてるけど、朝食以外も見て回りたいような。


「シスは?」

「とりあえず何か食べたい。あの串焼き買ってくるね」

「うん」


 分かったとシスを見送って辺りをキョロキョロと見回す。シスが買っている串焼き以外にもおいしそうな物に楽しそうな笑い声にあたしもワクワクしてきた。


 この通りのどこかにみんな集まって踊る準備をしているのだろうか?


 当日はお祭り用の衣装を着て踊るんだって言っていたけどどんな衣装なのか教えてくれなかった。


 なのであたしと同い年ぐらいの子を見るとまだ衣装を着ていないのかとソワソワしちゃう。


 シスにどんな衣装なのか聞いちゃう? でも、楽しみにしていてと言われちゃってるからなぁ。


「お待たせ」


 うんうん唸っているとシスが串焼きを持って戻ってきた。シスはあたしの分の串焼きも買ってきてくれていたらしくはいと渡してくれたので一口齧ると肉汁と濃いタレが口の中に広がりあっという間に食べきってしまった。


「おいしいねこれ。同じの買う?」

「それもいいけど別のも食べたい」


 せっかくのお祭りなんだから色んな物を食べるのもよさそうだ。


 シスと一緒に色々見ながら屋台の食べ物に舌鼓を打ったり、面白そうなゲームをしたりとはしゃいでいたら何か音楽が聞こえてきた。


「シスこれ何?」

「そろそろだね」

「?」


 シスに聞いてもはぐらかされるだけだと黙って音楽がしてきた方をじっと見つめていると段々音が近付いてきているのが分かった。


「あ、分かった! カノンたちね!」


 正解かどうか気になってシスを見上げれば何も言わなかったけれど、口元には笑みを浮かべていたのできっと正解なのだろう。


 シスの手を引っ張ってカノンたちの勇姿を見に行く。


「どんな格好なのかな?」


 恥ずかしいから言いたくないと言ってたけどやっぱり気になる。


 街の人たちも音楽につられて体を揺らしながら行進待ちをしている。


「今年はどんな格好なのかしら?」

「去年は妖精だったよな」


 ?


「シス毎年違うの?」

「ああ、うん。そうだね。今年の衣装ももうすぐ見れるよ」


 近くにいた家族連れの人たちの会話が聞こえてきて不思議に思ってシスに聞いてみればそんな答えが。


 毎年違うのか。なら、最初からそう言ってくれたらよかったのに何で恥ずかしいって言ったんだろ?


 見たら分かるよねと待っていると先頭が見えて来た人もいるのかちらほらと歓声が近くから上がってきた。


「見えて来たね」

「シスもう見えるの?」

「うん。抱っこしようか?」

「それはいい」


 見たいけど、それは恥ずかしいからいいや。


「あ!」


 シスに断ってからまた視線を移すとあたしにも見えた!


 先頭の子は小さくてシスの教室で見たことはあったけど、話したことはない子だった。多分名前も覚えてない子だけど、その子が一生懸命にくるりくるり回る姿は微笑ましい。


 大人たちが毎年楽しみにしているのもなんとやく理解出来る。


 肝心の衣装は黄色っぽいなと思って見ていたら蜜蜂だと気付いた。


「あれ蜂だ!」

「そうだね。今年も可愛いね」


 男の子はこれは恥ずかしいって思うらしいけどカノンも恥ずかしいって言ってたような?


 カノンは何でそう言ってたんだろ?


 シスに聞いてみてもシスは大人の男の人だから分からないよね。


 先頭の子以外の子も見えて来たカノンたちはどこに居るんだろとそわそわしているとすぐにイビーが見えてきた。


 一緒に踊ってる姿は衣装も相まって可愛らしい。


 いつの間にか、あたしたちの前に来ていたから手を振るとイビーも気付いていたみたいで、恥ずかしそうにしながらも手を振り返してくれた。


 その次に見えて来たのはノアとカノン。


 ノアはちょっと恥ずかしそうにしていたけれど、カノンはノリノリで踊って、こっちに向かって両手でブンブンと勢いよく手を振ってくれた。


 そして、何人も顔も名前もちゃんと覚えてないような子たちが通り過ぎて行って残りは数人。


「どうかした?」

「?」

「さっきからそわそわしてるみたいだけど」

「あ、うん」


 シスに答えようとする前に来た。


「ユスリアル!」


 褐色の肌にみんなと同じ衣装で踊る姿はちょっと違和感あるけど、本人は至って真面目に踊ってるので声援だけ送っておいた。


 あたしの声が聞こえていたのかユスリアルはちょっとだけ変な動きをしていたけど、すぐに澄まし顔になっていた。


「知り合い?」

「うん。この前友達になったの」


 ユスリアルを見ていたらシスに聞かれたので答えた。


「そっか。見たことないけど……」

「最近越して来たんだって。街からちょっと離れた場所だから知らなかったんじゃない?」


 かいつまんでユスリアルと仲良くなった時のことを説明すると、シスはようやく納得したようでホッとしたような顔になった。


「今度からは先に説明してね」

「? うん」


 よく分からなかったけど、返事をしたらユスリアルを今度家に呼んでもいいと言われたので今度呼ぼう。


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