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「アリシアちゃんいらっしゃい」
「カノンのお母さんってトレイトだったの?!」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
そう言って首を傾げるトレイトに半ば呆然としつつ頷いた。
「母さんアリシアと知り合いなの?」
「ええ、前にね。アリシアちゃんは母さんの幼なじみの娘なのよ」
「ふうん」
「イビーナ連れてきたよ」
カノンのお母さんはトレイトだったんだと呆然としているとノアがイビーを連れてやってきた。
カノンの家は白い壁に赤い屋根。ノアの家も同じ色だ。
2つ並んでると可愛いけどたまに家間違えちゃわないのかな?
家の中は入ってすぐにリビングだったので宿題はそこですることになった。
カノンの部屋は二階にあるらしいが、それはまた今度。
「2人共いらっしゃい。ノアはいつもありがとう。何か飲む?」
「母さんあたしはオレンジジュース!」
「あんたは宿題終わってから!」
「えーっ!」
「文句があるんだったらさっさと宿題すること! アリシアちゃんは何飲む?」
「えっと、あたしもカノンと一緒の」
「オレンジね。ノアはアップルでいいわよね。そっちの……」
「イビーナです。あたしもノアと一緒のにします」
「あらそう?」
「母さんあたしも!」
「分かったから宿題しなさい!!」
トレイトにこんなに大きい子が居るなんて知らなかった。
どうして前に教えてくれなかったんだろ?
「アリシアー! はやく!」
「あ、うん」
気になって疑問を口にしようとしたけど、それを口にする前にカノンたちに呼ばれてしまって確認出来なかった。
「で、カノンは早く宿題を開いて」
「はーい」
「えっと、イビーは分からないところあったら聞いてね」
「うん」
ノアはカノンに聞かれるまでは自分の宿題をするらしい。
イビーも基本的には自分でやりたいからと言うのであたしはどうしようかと思っているとトレイトがジュースを持ってきてくれた。
「ありがとう」
「うん。アリシアちゃんは今暇?」
「そうね」
3人は黙々と宿題をしているしイビーに呼ばれるのもまだ先だ。
なので頷くと「ご飯の用意手伝ってくれる? 」と言われたので頷いた。
「ありがとう。ノアはいつもだけど4人分はさすがに大変だからね」
「あ、母さん! 夕飯はシス先生も一緒よ!」
「えーっ、後で買い物行かなくちゃ」
「えっと、あたし行こうか?」
トレイトにエプロンを借りて手を洗ったところで2人がそんな会話を始めたのでお手伝いを申し出る。
「えっ、あ、大丈夫よ。シスも食べるなら買い物重くなるだろうからあたしが行くわ。ありがとう」
あっさりと断られてしまった。
じゃあ、あたしは何をするの?
「アリシアちゃんはライアにお料理習ってるんでしょ? とりあえず野菜の皮剥きとこの辺の野菜の千切りお願いします」
ニンジンと玉ねぎが一個ずつ置いてあった。
「間違って指切らないようにね」
「はーい」
「お母さんお昼何?」
「あんたは宿題やってなさい」
「だってぇ」
カノンが甘えている。こんな姿見たことない。
こんな姿が見えるのなら今日は遊べなくなって逆によかったのかも。
「アリシアちゃんびっくりしたでしょ」
「え? あ、はい」
一瞬何のことだろ? となったけどトレイトとカノンが親子だったってことかな? と思って返事をする。
声を掛けられるとは思ってなくてうっかり野菜を落としそうになってしまった。
「気をつけてね」
それに気付いたトレイトに笑われて恥ずかしい。
「どうして教えてくれなかったの?」
「うーん。言ってもよかったんだけど、ほら、前にライアのパーティーした時にアリシアちゃんの友達をー! って言ってた人たちいたじゃない」
あれは恥ずかしかった。それを思い出しながら頷く。
「あの人たちと違ってあたしはアリシアちゃんには友達を自分で選んで欲しいと思ってたの。ほら、レイチェルが自分が周りの人を引っ張ってくっていうタイプだったからさ、アリシアちゃんにもきっとレイチェルの面影を重ねちゃってたところがあるっていうか……まあ、うちの子を友達に選んでくれてありがとうね」
母さんの面影を……。
あたしは母さんのことは殆ど知らないけど、トレイトやこの通りの人たちにとってはよく知ってるから……。
「アリシア、ちょっと分からないところがあって」
「ああ、うん。トレイト皮は剥いておいたから」
「うん」
何か答えるべきか、でも何を? とぐるぐると考えていたらイビーに呼ばれたので後はトレイトに任せてイビーの宿題を見ることにした。




