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「……できた!」
時計を見ればもうほぼお昼の時間でびっくりした。
夢中になって作ってたから気付かなかった。
籠を取り出して今日作った物を崩れないように慎重に入れて行く。
「キッチンは後で片付けなくちゃ……」
あたしがまだ慣れてないからか不器用なのかは分からないけどキッチンはかなり物が散らかってしまってごちゃごちゃしてしまっている。
ウッドアップルを割るのに凄く手間取ってしまった。あれは子供の力じゃ結構危ない。今度飲む時はシスに割ってもらうか床に叩きつけた方が早かったかも。
これ今人が入って来たらここだけ局地的なハリケーンがあったのか泥棒に入られたのかと勘違いされそうだから届けたら出来るだけ早く戻らないと。
母さんの帽子を被って荷物を持つ。
崩れないように慎重に持って鍵を掛けてシスのところに向かった。
昼が近いからかさっき買い物に出た時より人が多く歩きづらい。
けれど、ぶつかってしまいそうか程ではなかったから昨日シスが居た場所に行けばすんなりとたどり着いた。
「アリシアどうしたの? 今日は参加しないって言ってたのに」
「お昼作ってきたの!」
籠を見せるとシスはちょっと驚いた顔になった。
「大変だったんじゃない?」
「へへっスープは昨日シスが作ってくれたの使ったからまだマシだったよ」
子どもたちは戻って来てないのか広場には子どもたちの姿はまだ見えない。
「何入ってるの?」
「えっと、ね。小麦粉の薄焼きの皮に焼いたお肉と野菜を入れて巻いたやつお肉は鶏肉と牛肉があるの」
「ライアに教えてもらったの?」
「ううん。あてしが生まれたところの料理よ」
「へぇ。あ、おいしそうだね……? これ何?」
シスが指差したのはさっき頑張って割ったウッドアップル。
「あのねあたしの好物のウッドアップルが売ってたからおやつに食べてね」
ウッドアップル見たら懐かしくなって作り方もそんなに難しくなかったはずだとうまれたところの料理に挑戦してみたんだけどどうかな?
「……おやつ」
「うん! いらないんだったらあたしが食べるよ」
「いや、アリシアがせっかく作ってきてくれたんだからありがたくいただくよ」
シスの返事に気をよくしてはやく食べてと言っているとお昼を告げる鐘が鳴った。
「あ、あたし帰んないと」
「アリシアは食べないの?」
「キッチン片付けてないの。帰ってから食べる」
「そっか、気をつけてね」
「はーい」
そろそろ他の子たちがここに戻ってくる。
今日は参加してないからここに居るのが気まずいのでさっさと帰ろう。
シスにバイバイと手を振ってから家に戻るために通りを歩いているとばったりとイビーに出くわした。
「あ」
「あ……どうも」
「こ、こんにちは」
「じゃあ」
気、気まずい。
やっぱり今日参加しておけばよかったかな。でも、シスにお昼作りたかったし……。
軽く挨拶だけしてさっさと帰ろうと歩き出したらイビーが声を掛けて来た。
「あ、あの、アリシア!」
「へ?!」
「今日は休み?」
「あ、うん。今日は参加してないよ」
イビーの手には紙がある。イビーは今日も参加していたらしい。
「明日」
「明日?」
明日は参加するかってことかな?
「参加するかってこと?」
そう尋ねればイビーはこくこくと頷いた。
「まだ決めてない」
「あ、あたしは参加するの」
「えっと一緒に参加する?」
イビーはまたこくこくと頷いた。
昨日は知らんぷりされたのかと思ってたけど、この様子だと引っ込み思案かな? そういうことを聞くのは嫌がるかもしれないと思って明日の約束だけして家に戻った。
ウッドアップルの感想をシスに後で聞いたらそっと器を返されて「まだ食べる?」と聞いたら「いらないかな」と苦笑しながらアトリエに去って行った。




