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第9話:キラキラ市場と、まさかの初期装備はパチンコ!?

宿を出て数分、凛愛は商業区のメインストリートで足を止めた。昨日の薄暗い闇市場とは正反対の、鮮やかな光景が広がっていたからだ。


「うわぁ……! ガチでファンタジーじゃん!ヤーバいって、このポーションの瓶とか超カワイイんだけどぉ…欲しぃ……買っちゃう?ね?」


『バカタレが!ムダ金を使う余裕はないぞ!』


軒を連ねる露店には、虹色に輝く薬液、繊細な刺繍のローブ、宝石を散りばめたアクセサリーが並んでいる。凛愛の「ギャル魂」が激しく揺さぶられた。


「ねえチュンペー、あたし決めた!将来絶対ここにショップ出すわ。あたし厳選のセレクトショップ。マジでバズる自信しかないし!」


『……ふん、夢を見るのは勝手だが、今は契約を優先しろ。貴様のその貧弱なステータスで店を構える資金など、一生かかっても貯まらんぞ』


「わぁ〜かってるって!あー、でもマジでキラッキラ……金貨バリバリ貯めて、絶対ここに戻ってきてやるんだから!」


チュンペーの呆れ声をBGMに、二人は初心者向けの装備店が集まる一角へ向かった。


『いいか、貴様の魔力は0だ。魔法という選択肢は現時点では無い。そして力も1……重い剣や斧を振れば、自分の足の上に落として自滅するのが関の山だ。唯一マシな速さ3を活かせる得物を探すぞ』


「速さって言っても、あたし体育の50メートル走とかガチで下から数えたほうが早かったよ?」


『タイイク?…この世界での身体能力は、これから我が叩き込んでやる……ふむ、飛び道具が妥当だが、弓矢や銃は消耗品の維持費がかかりすぎるな』


二人が武器屋の軒先で唸っていると、隣のハーブ店で手伝いをしていた少女がひょいと顔を出した。


「雀のお姉さん、武器探してるの? お金あんまり無いなら、これ使ってみる?」


少女が差し出したのは、Y字型の木にゴムのような弦がついた、シンプルなスリングショット――いわゆる「パチンコ」だった。


「これなら弾は道端の石っころでいいからタダだよ! 軽いし、お姉さんみたいな細い腕でも使えると思うなー」


「えっ、パチンコ? あたしこれ、ソシャゲの強化素材でしか見たことないんだけど」


『……石か。確かにこれなら今の貴様でも扱える。だが何か条件をつけてくるはずだ、聞いてみろ』


「え、ぁの……条件とか、ある……?」


少女はニコリと笑って人差し指を立てた。


「えへへ、鋭いね! その代わりなんだけど、街の外の翠霧の森でウルフを一匹狩ってきてほしいんだ! お店のハーブ、ウルフのせいで最近採りに行けなくて困ってるの。どうかなぁ?」


「ウルフ!?え… マジで? いきなり中ボス戦とか無理ゲーすぎ……」


『……いいだろう。初期クエストとしては妥当だ。受けろ!速さ3の貴様の、最初の牙だ』


「えぇー! ちょ、待って! あたし、まだ心の準備がっ!」


こうして、手持ちのお金を温存したまま、凛愛は人生初の武器パチンコを手に入れた。

少女は満足そうに笑いながら、ひらひらと手を振った。


「あ、わたしミリナ、頑張ってね、お姉さん! 待ってるよ!」


「あ、凛愛です……ぅ、わ、わかった……! がんばります……!」


人見知りスイッチを全力で押さえながら、凛愛はぺこりと頭を下げた。


目的地は翠霧の森。ゴミステのギャルが、初めての「狩り」に挑むことになる。


(あれ、買い物は?)


現在のステータス

名前:星凛愛ホシ・リア

装備:初心者のパチンコ(スリングショット)

状態:逃げ出したい、でもチュンペーの視線が熱い(M気質)

クエスト:ウルフ一匹の討伐(少女からの依頼)

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