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パワーアップは神官と共に

 PIO民というのは大抵が隙あらば暴れる生き物だし、放置していればこの世界は一週間もしない内に滅びるだろう。……いやマジで。


 この世界が完全にPIOと同じような状況になるのも楽しそうと言えば楽しそうだったが、俺にはスフィやニア達……他にも守るべき仲間達がいる。


「あいつらには悪いが、この世界を荒らすつもりなら元の世界に戻ってもらうしかないな」


 俺は≪超距離射撃≫のフリムトが穿った地形を空中から眺め、そう呟いた。


「でもそのためにはまだ……君達を守るための力が足りない」


 スフィとニアを眺めながらそう言うと、彼女達は何故か顔を赤らめてゴニョゴニョと喋る。


「あう……そんな真剣な顔で守るなんて言われたら、格好よく見えちゃうじゃない……」

「レイン君を見てたら、不安なんて全然感じなくなっちゃったよ」


 何を言われてるかは分からなかったが、表情からして彼女達が元気になったのは分かった。


 PIO民とかいう得体の知れない奴が急に現れたのだから、早く対処しないと不安にさせてしまうだろう。

 さっきまでだらけ気味だった俺だが、今は鍛練へのやる気が漲るのを感じていた。




「ってことで、こんばんは」

「ふぃあああああああっ!」


 俺が神殿までやって来ると、いつもの神官さんは大きな悲鳴を上げた。


 十歳児を見ただけで悲鳴を上げる神官って、色々大丈夫だろうか……?


「今日はちょっと試練を受けたいと思って、ここまで来たんですが……」

「試練!? 記憶取り戻しましたけど、あなたもう天職三つもあるでしょう!? 天職を兼業するとか、それもう天職って言わないですから!!!」

「今日は騎士の試練と神官の試練を受けに来ました」

「全然聞いてくれないっ!!!」


 俺が焦りながら用件を伝えると神官は叫んだが、試練を受けるだけなら自分に危害が加わることはないと気が付いたようで、抵抗を諦めた。


「……それで? どっちを先に受けるのです?」

「時間がないので、どっちの職業も同時に受けようかと思います。同時に受けた方が、バラバラに受けるより難易度の総量は下がりますし」


 俺が言うと、神官はあんぐりと口を開いた。


「そんな、神の与える試練ですよ!? 効率優先で同時に受けるなんて、出来るわけ……」

「受領しました」


 神官が渋っていたので、俺は勝手に石板を弄って試練を始めた。


 PIOでは背教者や制圧神官という職業に就いてたし、石板の操作くらいお手のものなのである。


「騎士及び神官合同試練、開始。天職スキル制限発動……及び担当神官の転送を開始」

「ほえ?」


 石板に呼ばれて神官が間抜けな声を出すと、彼は石板の力によって試練の場へと転送された。


「え、なんで!? なんで私が試練の場に入ってるんですか!?」

「この試練は、守る力と信仰心を見る内容になっています。試練二つ分の攻撃に晒される神官を助け、信仰心を示して下さい」

「はあああああああああ!?」


 完全に巻き込まれてしまった神官が、険しい表情で絶叫する。その途端、彼の目の前に二頭の竜が現れた。


 一匹はフレイムキングで、もう一匹はグラヴィティロードという名前の竜だ。しかも目の前にいるのはちゃちな幻覚ではなく、実体を持たせた霊体のようなものである。

 やはり……この試練なら【王位継承】がフルに使えそうだ。


「ひえっ、なんか見るからに強そうなの出てきた……!」

「今助けますよ神官さんっ! こいつらの攻撃受けたら、数週間は意識戻りませんからねっ!」

「ひええええええええっ!?」


 俺の忠告を聞いた神官へと近付き、俺は彼の首根っこを掴んだ。


「この試練では五分間の間あなたを守り続けなきゃいけません。少し無茶をしますが、我慢してくださいね?」

「えっ、嫌ですけど……うぎゃあ!?」


 フレイムキングが火を吐く予備動作を見せたので、俺は【投擲】で神官の体をぶん投げた。


 俺自身は【風転撃】で風を起こしたり【熱耐性】で熱を耐えたりしつつ、【俊足】を使って投げた神官の下へと駆けつける。

 

「【軌道制御】!」


 それから俺は、【投擲】から純派生した【軌道制御】を使用した。


 これさえあれば、【投擲】でも複雑な軌道を実現できるようになる。地面で素早くバウンドする神官や突然急カーブする神官などを放ち、神官に敵の攻撃をすり抜けさせる!


「【恐怖吸収】! 【恐怖吸収】から純派生……【恐怖の渦】!」


 俺は神官からかき集めた恐怖によって神官投擲の攻撃力を増し、同時に覚えた【恐怖の渦】という単純な攻撃スキルを放った。


 実体を持った恐怖そのものは重力の影響を殆ど受けず、グラヴィティロードを斬りつけて倒す。

 そして自らの潤沢な恐怖によって強化された神官は、フレイムキングの腹を貫通して倒した。


「【王位継承】……。これで騎士と神官だけじゃなく、豪炎王と重力王にもなれたぜ」

「今のどこに……信仰心があったんですか……?」


 完全に野球ボールと同じ扱いを受けていた神官が、床の上で白目を剥きながら尋ねてきた。


「この試練は信仰心の測り方が曖昧なので、それもあって騎士の試練と合わせたんですよ。敵から守ったら、勝手に信仰心ある扱いになるので」

「き……鬼畜……」


 俺が言うと、神官は呻きながら床に倒れた。

 おや、何故か習得条件が厳しいはずの背教者職まで得てるぞ? やったぜ!


 でも五分で五つの天職を得るとは、流石に思わなかったな。

スキル一覧を後書きに書いてほしいという要望があったので、こちらに移してみました。

これによって見辛くなったり印象が薄れすぎるなどの不満があった場合は、別途ご指摘下さい…。


レイン・エドワーズ

幻銃士lv.3/射手lv.12/魔剣士lv.3/剣士lv.11/獣装士lv.3/調教士lv.12/騎士lv.1/背教者lv.1/神官lv.1/魔人lv.5/絶空王lv.1/豪炎王lv.1/重力王lv.1

【幻銃術】lv.22

【弓術】lv.281

【散弓術】lv.102

【爆散弓術】lv.4

【千弓術】lv.58

【幻壁弓術】lv.1

【高速装填】lv.57

【自動装填】lv.30

【強制装填】lv.46

【技能装填】lv.39

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.19

【中継矢】lv.12

【近接射撃】lv.25

【魔剣術】lv.11

【剣術】lv.128

【遠隔剣術】lv.50

【剣域拡張】lv.17

【閃光剣】lv.6

【剣防御】lv.8

【瞬突】lv.15

【回転斬り】lv.38

【加重剣】lv.2

【大剣術】lv.4

【超大剣術】lv.5

【獣装術】lv.13

【調教】lv.41

【魔物保有数向上】lv.48

【従魔覚醒】lv.37

【従魔活性化】lv.42

【抗神術】lv.1 new

【回復術】lv.1 new

【守護術】lv.1 new

【魔人化】lv.15

【空術】lv.39

【炎術】lv.1 new

【重力制御】lv.1 new


【緊急回避】lv.38

【投擲】lv.112

【軌道制御】lv.24 new

【空握】lv.51

【空腕】lv.17

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.135

【索敵範囲拡大】lv.31

【弱点捕捉】lv.27

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.39

【風転撃】lv.52

【風壁】lv.1 new

【浮遊】lv.58

【浮動】lv.1

【単独撃破】lv.34

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.62

【空間圧縮】lv.31

【愛撫】lv.72

【高速振動】lv.37

【創造】lv.98

【素材調合】lv.42

【魔王の血脈】lv.58

【王位継承】lv.25

【狙撃】lv.27

【頑丈】lv.18

【一極集中】lv.10

【熱耐性】lv.27

【魔物合成】lv.43

【俊足】lv.39

【威圧】lv.32

【夜の声】lv.5

【魔力流】lv.12

【恐怖吸収】lv.56

【恐怖の渦】lv.8 new

【闇属性攻撃力上昇】lv.2

【水泳】lv.45

【剛腕】lv.43

【不死狩り】lv.22

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