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武器評点会 実用部門

「ではこれより、実用部門の審査を行います。実用部門にエントリーした方は、どうぞステージの方へお上がり下さい!」


 進行役がそう言うと、四角く仕切られた大きなステージに大量の人が流れ込んだ。


 彼らは一様に武器を持ち、他の参加者の実力を見極めようと躍起になっている。

 実用部門の審査は実戦にて行われるって聞いてたけど、まさかのバトルロイヤル形式なの? 嘘だろ?


「この模擬戦には一組何人でも参加することができ、それぞれエントリーさせた武器のみ使用する事ができます。戦闘の結果がすべてではありませんが、勝敗は審査にも影響しますので張り切ってご参加下さい。ただ、うっかり人を殺してしまった場合は失格となります」

「いやおかしいだろ」


 進行役がルールを解説するが、ツッコミどころしかない。なんで武器の評点会で死人が出ることが想定されてんだ?


 ……というか、それなら空中要塞使っても良かったのでは。


「あのガキ……。この私から芸術部門一位を奪い取るとは、絶対に許さない……」

「安心して下せぇジェファスの旦那! あいつらは私達がぶっ殺してやりますよ」

「ええ、空中要塞さえなければただのガキです!」


 芸術部門二位だったジェファスは俺を目の仇にしているようで、十人ほどの武装集団を手下として連れて来ていた。うわ、完全にヤク〇と繋がってる武器職人じゃん! 武器とか関係なく、あれ人数だけでゴリ押す気だろっ!


 恐らく評点会の主催者側が、客から金をとるために審査よりも戦闘の派手さを重視しているのだろう。俺はスフィとニアの二人と一緒にエントリーしてしまった事を、だいぶ後悔していた。


「死に晒せえええええっ!」


 審査が始まると、評点会とは思えない言葉が飛び交う仁義なき戦いが始まる。

 ここでの勝利が商店の宣伝になるとはいえ、武器の優劣を決めるためにはこんなにも苛烈な戦いが必要になるのか。


「へっ、ガキがこんな戦場に足を運んでるんじゃねぇよおおおおっ!」


 そしてジェファスの手下達は、他の参加者たちには目もくれず俺達に向かって来た。


 武器の評点会なので流石にスキルの使用は認められておらず、【剛腕】がないと使えない聖弓は持ってきていない。その代わり、俺は向かって来る相手の足元にまきびしをばら撒いた。


「ははっ、まきびしだと!? そんな小さなまきびしが、ジェファス様に作っていただいた鎧の装甲を貫けるとでも!?」

「そうは思っちゃないけど……」

「んぐ!? うわあああああああっ!」


 躊躇なくまきびしを踏んだジェファスの手下は、そのまきびしが強烈な爆発を起こした事で場外まで吹っ飛んで行った。


 今のまきびしはファイアラビットなどの火系魔物の力を小さな殻の中に詰め込んだもので、【素材調合】により火力はフレイムドラゴンの放つ火と同等にまで引き上げている。

 床を抉る程の火力を見せたこのまきびしは、ドラゴンブレスまきびしとでも名付けようか。


「二人とも、装備は完了したか?」

「うん、ばっちりだよ」


 まきびしで時間を稼いだ俺が聞くと、スフィがうんと頷いた。


 そう言う彼女は、ちょっと戦闘ロボチックな鎧を全身に纏わせている。その背中からは、大砲のような見た目をしたスラスターが左右に二つずつ突き出していた。


「じゃあ行くよ! スラスター起動、フルスロットル!」


 彼女が元気にそう言うと、大きなスラスターの上二つから火が出て、下のスラスターから強い風が吹き荒れた。


 蝶の羽のように大きくて綺麗なスラスターに押され、スフィは自動車と同じくらいの速度で前方へと加速するっ!


「そして……これでどうだっ!」


 スフィはこれまで愛用していた杖を、目の前の相手に向かって振り下ろした。


 その杖が今まで通りの杖だったら、打撃しか出来ないためスラスターで加速でもしなければダメージは与えられなかった。

 しかし今スフィが構えた杖の先端からは、三日月状の刃を伸ばしている。


「てぇーいっ!」

「うぎゃあああああああっ!?」


 支援術の過剰魔力を刃に溜め込み、火力に転換する杖「魔断杖」。これなら加速してない時も相手と戦えると思って改造してあげたのだが、加速しながら斬っちゃあかんでしょ。


 スフィに斬られた敵は盛大に出血し、床に倒れた。PIOじゃなければ即死だったな。


「死神だぁぁぁぁ!」

「蝶の死神が来るぞっ、逃げろおおおお!」

「怖いよっ、助けておふくろおおおおお!」


 杖が鎌っぽいし刃も血に染まっているしで、スフィはすぐに死神と恐れられた。


 だが全身をロボットのような鎧に包まれた九歳児は、その呼び名をむしろ気に入っているようだ。


「やった! 私一人でも、この装備があれば敵を倒せるんだね!」


 いつも裏方だったからか笑顔になって、スフィは自動車のスピードでエリアを滑走しながら敵を斬り伏せていく。

 駆けて斬り殺すタイプの支援術師が、ここに誕生した。


「クソッ、あの死神を倒すのは無理だ! 他の奴を倒して、せめて二位を狙うぞ!」

「おい、あの女はスケスケのスーツしか着てないぞ? あいつを狙えっ! 私も行こう!」


 死神を恐れたジェファス達が目をつけたのは、スフィのように派手に動き回っていないニアだった。ジェファスは手下と共に武器を構えて走り、躊躇なくニアに攻撃をかまそうとする。


「無駄よ」

「何ぃっ!?」


 だが彼らの剣は、ニアの目の前で動かなくなった。


 ジェファスは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに微笑む。


「審判さんっ! こいつ、スキルを使っているぞ! 反則だ、今すぐこいつらのチームを失格にしろ!」

「いえ、スキルの反応はこちらで確認出来ていませんが……」

「は?」


 どうやら、ニアがルールを犯してスキルを使ったと思ったんだろう。


 しかしニアがそんな下らないヘマをする筈もない。俺はとんちんかんな事を言った彼らに、今起きたことを説明してやった。


「オリハルコンエアだよ」

「……何?」

「【素材調合】は、素材を集めてグレードアップするスキルだ。なら、空気を集めて硬い空気を作る事だって出来るだろ?」


 俺が言うと、ジェファスは顔を一瞬で青ざめさせた。


 空気だから見えていないだけで、彼らは「オリハルコンより硬い空気」の届く範囲まで足を踏み入れてしまったのだから。


「ていっ」

「ぐはあっ!」


 ニアが少し手を振るうだけで、まだ距離のあったジェファスの部下達がどんどん床に倒れていく。


 しかもニアは装備の性質が見破られないようにあえて鎧を縮こまらせていたため、露見した今となってようやく鎧を立ち上がらせた。

 端から見ると、ニアがスキルも使わず超常の力で浮いているようにしか見えない。


「レインが私にくれた贈り物の凄さが分かった? 分かったならひれ伏しなさい」

「うぐっ、ぐああああああっ!」


 空中にいるニアが目の前で少し手を振ると、それだけでステージ中に立っていた相手が床にへばりつく。


 あくまでニアが見えない腕を使って相手を押さえつけてるだけだが、それは家臣が王に平服する様のように見えた。


「うがっ……! 武器がどんな形をしてるのかも分からないまま、負けるなんてぇぇぇっ!」


 そう叫んで、ジェファスは空気の腕に圧迫されて気絶する。


 こうして俺は、武器評点会の五位から一位までを全て独占したのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.6/剣士lv.5/調教士lv.6/魔人lv.2

【弓術】lv.281

【散弓術】lv.102

【爆散弓術】lv.4

【千弓術】lv.49

【高速装填】lv.57

【自動装填】lv.30

【強制装填】lv.46

【技能装填】lv.39

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.19

【中継矢】lv.12

【近接射撃】lv.25

【剣術】lv.123

【遠隔剣術】lv.35

【閃光剣】lv.1

【剣防御】lv.8

【瞬突】lv.15

【回転斬り】lv.38

【加重剣】lv.2

【大剣術】lv.4

【超大剣術】lv.5

【調教】lv.41

【魔物保有数向上】lv.48

【従魔覚醒】lv.37

【従魔活性化】lv.42

【魔人化】lv.15


【緊急回避】lv.38

【投擲】lv.93

【空握】lv.51

【空腕】lv.12

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.135

【索敵範囲拡大】lv.31

【弱点捕捉】lv.27

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.39

【風転撃】lv.48

【浮遊】lv.58

【浮動】lv.1

【単独撃破】lv.34

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.46

【愛撫】lv.72

【高速振動】lv.37

【創造】lv.98

【素材調合】lv.42

【魔王の血脈】lv.49

【狙撃】lv.27

【頑丈】lv.18

【一極集中】lv.10

【熱耐性】lv.3

【魔物合成】lv.43

【俊足】lv.9

【威圧】lv.32

【夜の声】lv.5

【魔力流】lv.12

【恐怖吸収】lv.48

【闇属性攻撃力上昇】lv.2

【水泳】lv.12

【剛腕】lv.43

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