この武器を見て欲しい
「違う! 違うんだっ! こんなんじゃ駄目なんだよ!」
「レイン……ねぇレイン。やめて、それ以上悩まないで!」
別荘の前。湖の畔で俺が叫ぶと、ニアが叫びながら俺の背中に抱きついてきた。俺の腕は彼女の腕に固定され、これ以上思い詰めないでという思いが伝わってくる。
俺の事を心配してくれるのか……と一瞬じんわりしたが、彼女は全く別の事を叫んだ。
「それ以上悩んで、もっとヤバすぎる武器を作らないで……!?」
言って、別荘がある湖の周りを指さす。
湖の周りにどこぞの固有結界みたくたくさん突き刺さっているのは、俺の作った失敗作達だ。例えば「誰でも持てる超大剣」。これは刃先以外全てから火を噴射させられるため、たとえ三歳児であっても超大剣を振り回せるという優れものである。
しかしいざ使ってみると体への圧が凄く、【頑丈】を発動させていなかったら上半身の向きが変わっていたと思う。こりゃ三歳児には持たせられないな。
「レイン君、私達は普通の聖剣で全く問題ないよ!」
「普通の聖剣っていうのも大分毒されてる気がするけど……その通りよ。これ以上本格的な武器作られちゃうと、私達使いこなせないから!」
「いや駄目だっ!」
スフィとニアが遠慮してきたが、俺は彼女達の言葉を一蹴した。
彼女達に聖剣とか聖弓とか、その程度の武器を与えるわけにはいかないのだ。贈り物をすると言って喜んでくれた彼女達には、俺の技術と思考の限りを尽くした武器を与えたい……。
「武器作りになって完全にスイッチ入っちゃったみたいね……」
「レイン君、魔物のカスタムも楽しんでたしね。男の子だなぁ」
拘りすぎる俺にニアは呆れていたが、スフィからはむしろ好感触だった。聖弓であることが聖剣らしさ発言といい、スフィはこういう趣味に理解があるようだ。意外だけど嬉しい。
「ほら、元気出して。レイン君がくれた新しい服も、凄く着心地がいいし……」
そう言って、スフィが俺を慰めるように抱きついてくる。
彼女が着ている服は、周囲に対する感度を高めることで急な攻撃などにも対応しやすくなるという装備だ。俺が後ろも見ずに空中部隊の先遣隊の矢を避けたのが印象的だったらしく、スフィ達でもそれを出来るように一応作ってみたのだが……。
「はあ、はあ……。レイン君、落ち込まなくて良いからねー」
スフィは荒い息を吐きながら、俺に体を擦りつけていた。
そう。周囲への感度を高めるこの装備、体の感度がめちゃくちゃ良くなってしまうのだ。
これを九歳児に着せるのは良くないなと思ってスフィにあげるのは控えてたんだけど、どうしてもと言うので渡してしまった。
これは、流石にまずかったと思っている。やっぱ着ない方がいいよと言っても断固として返してくれないので、スフィがまた変な道に目覚めてしまいそうだった。
「ね、ねぇレイン。あの……」
「嫌な予感がするから、それ以上は言わないで」
俺がニアの言葉を遮ると、彼女は涙目になった。
スフィにはあげるのに私にはくれないの? という悲しみが、ありありと見て取れる。心底寂しそうな彼女を見て、俺は……。
「はあ、あんっ! 歩くだけで、擦れたみたいに……っ!」
「ああ俺は、なんて意思の弱い男なんだ……!」
顔を赤くしながら歩く二人の少女を連れて、俺は別荘から街へと戻っていた。
ニアのスライムスーツはただでさえ色々ヤバかったのに、【感度補正】機能まで加えてしまうとは……!
これは尚更彼女達に早く新しい装備を作らなくてはいけなくなった。俺は罪悪感を抱きながら、彼女達の気を逸らせるようなクエスト用紙が追加されていないかギルドを覗いてみる。
「ええっ、事後!? しかも二人とも!?」
「違います。そんな大声で叫ばないで下さいナーシャさん!」
ナーシャさんにそう答えながら、俺はクエスト用紙を見に行く。
すると質素な羊皮紙ばかりが張られている壁に、見慣れない広告を見つけた。
「ナーシャさん、これは何ですか?」
「ああ、今度街で行事が行われるらしいのよ。お金さえ払えば、ギルドは冒険者向けのPRも請け負っているの。まあ金を搾り取れるから相当な大金じゃないと貼らないけどね」
そんな裏話は聞きたくなかったが、その行事というものにはとても興味があった。
武器評点会。これはどうやら、武器職人や武器職人を志す人が集まり、それぞれの作った武器の良しあしを競い合う祭らしい。
審査員には一級の武器職人が集まり、芸術部門と実技部門にて評価されるらしい。
「こ、これだ……!」
これで入賞さえすれば、自信を持ってスフィ達に装備を与える事が出来る。
新たなモチベーションを得た俺は、この祭での入賞を目指して再び奮起するのだった。
レイン・エドワーズ
射手lv.6/剣士lv.5/調教士lv.6/魔人lv.2
【弓術】lv.281
【散弓術】lv.102
【爆散弓術】lv.4
【千弓術】lv.49
【高速装填】lv.57
【自動装填】lv.30
【強制装填】lv.46
【技能装填】lv.39
【背後射撃】lv.22
【音速矢】lv.19
【中継矢】lv.12
【近接射撃】lv.25
【剣術】lv.123
【遠隔剣術】lv.35
【閃光剣】lv.1
【剣防御】lv.8
【瞬突】lv.15
【回転斬り】lv.38
【加重剣】lv.2
【大剣術】lv.4
【超大剣術】lv.5
【調教】lv.41
【魔物保有数向上】lv.48
【従魔覚醒】lv.37
【従魔活性化】lv.42
【魔人化】lv.15
【緊急回避】lv.38
【投擲】lv.93
【空握】lv.51
【空腕】lv.12
【投擲許容量増加】lv.24
【索敵】lv.135
【索敵範囲拡大】lv.31
【弱点捕捉】lv.27
【砥ぎ師】v.51
【過剰砥刃】lv.35
【足払い】lv.28
【回し蹴り】lv.39
【風転撃】lv.48
【浮遊】lv.58
【浮動】lv.1
【単独撃破】lv.34
【並行作業】lv.43
【鷹の目】lv.26
【消耗品再利用】lv.25
【強制収容】lv.46
【愛撫】lv.72
【高速振動】lv.37
【創造】lv.94
【素材調合】lv.30
【魔王の血脈】lv.49
【狙撃】lv.27
【頑丈】lv.18
【一極集中】lv.10
【熱耐性】lv.3
【魔物合成】lv.43
【俊足】lv.9
【威圧】lv.32
【夜の声】lv.5
【魔力流】lv.12
【恐怖吸収】lv.48
【闇属性攻撃力上昇】lv.2
【水泳】lv.12
【剛腕】lv.43




