先輩に説教してみた
決闘に勝利すると、人型の従魔達がいきなり俺に抱きついてきた。
「流石ご主人様にゃーっ! まさかただのスライムを、セイバーユニコーンに勝てるくらいまで育て上げるとは思わなかったにゃ!」
「格好よかったですよご主人様? なんなら、夜に改造されちゃいたいくらいっ」
「凄いですっ! ご主人様の手に係れば、私達ももっと強くなれるんですねっ!?」
特にワーウルフは満月の夜なこともあってか、凄く積極的だった。何が積極的って、胸や足の当て方が……!
「うらやまし……じゃない! そんなに好きなように体を触らせて、魔物になめられ切ってるじゃないか! 主人の威厳ってものがないのか?」
だが美人な魔物や自分の持っていた魔物が俺に抱きついている様子を見て、バリウスが猛烈に怒り出した。彼は顔を真っ赤にしたまま、倒れたセイバーユニコーンの方へと向かう。
「クソッ。改造されてたとはいえ、たかがスライムにやられるなんて……。お前に食わせてる食費も安くないんだぞっ!」
そして彼は、ブツブツと呟きながら腰元からムチを取り出した。それは明らかに、自分の従魔を傷つけるために取り出したものだ。
「この野郎! お前さえしっかりしていれば、こんな恥はかかずに済んだのに……!」
「【魔人化】」
その様子を見た俺は、これまで全く使ってこなかったスキルを躊躇なく使った。
【魔人化】。それは効果時間中に暗黒系スキルしか使えなくなる代わり、暗黒系スキルの効果が三倍になり身体能力も向上するというスキルだ。
「おいお前」
「ひっ!? いつの間に!?」
【魔人化】で身体能力を上げた俺は一瞬で移動し、今にもムチを振り上げようとしていたバリウスのすぐ横に立つ。高速移動により【俊足】を習得。
「お前はこの世界で長いこと調教士やってきた先輩だろ? なのにあまり失望させんなよ」
「はぁ? 何が失望だ! これは必要な躾だ、魔物に良いように扱われてるやつがなめた口聞いてんじゃ……」
言おうとしたところで、バリウスの体が一瞬で縮こまった。さっきまでは周りに俺しかいなかったのに、瞬きをした瞬間にいつの間にかケットシーとサキュバスとワーウルフに囲まれていたからだ。
彼女達にさっきまで俺にじゃれついてきた時の明るさはもうなく、獲物を見る肉食獣のような目で目でバリウスを見ている。
「こいつ殺すかにゃ? 死んでも問題はないと思うけどにゃ」
「あなたになくてもご主人様にあるんですよ? 殺すなら、今じゃなくもっと手段を選ぶ必要がありますね」
「いや、やめておけ。こいつにもまだ改心する余地はある筈だ」
俺が手で彼女達を制すると、彼女達はざっと俺に跪いた。
【魔人化】の影響で【魔王の血脈】の効果が三倍化しているため、今の彼女達にとって俺は魔王と同じくらい大きな存在になっているのだ。
「ふ、あ……。な、なんなんだよお前……」
「ただの調教士だ。でも従魔を大切にしないお前なんかよりは、よっぽど高等な調教士だよ」
俺が目に力を込めるとバリウスは腰を抜かし、誰も触っていないのに尻もちをつく。【威圧】を習得。【夜の声】を習得。【魔力流】を習得。
「魔物は本来敵だ。躾も確かに大事だろうし、主人の威厳も大事だろう。でも俺達を信頼して仲間になってくれた相手を、無下に扱っていいはずがないだろう?」
【恐怖吸収】を習得。【従魔活性化】を習得。【闇属性攻撃力上昇】を習得。
「威厳ってものは暴力で得るもんじゃない。それが分からないなら……」
「わ、分かった! 悪かった、これからは従魔を大切に扱うからっ! それで許してくれぇぇぇ!」
彼はそう叫び、何が怖かったのか気絶して倒れた。
うん、分かってくれたようで何よりだ。
「……って言ってたけど、君はバリウスの元に戻らなくていいのか?」
「そりゃもちろん! 私のご主人様はレイン様以外ありえません! 今そう決めましたっ!」
俺が聞くと、ワーウルフは即答してから俺に体を擦りつけてきた。けっこう調子いい奴だなこいつ。
改心するそうだしバリウスの下へ戻っても良さそうだけど、まぁ慕ってくれるのは嬉しい。
「なんか体が熱いわ……」
「わ、私も……」
決着もついたので辺りに意識を向けると、魔物達を服従させていた俺を見たニアとスフィが顔を真っ赤にしていた。風邪かもしれないし、今日は早めに帰るか。
俺はバリウス達を病院に届けてから、決闘を見に来てくれた人達と一緒に夜の道を歩いて帰るのだった。
レイン・エドワーズ
射手lv.6/剣士lv.4/調教士lv.4/魔人lv.2
【弓術】lv.267
【散弓術】lv.78
【千弓術】lv.39
【高速装填】lv.57
【自動装填】lv.22
【強制装填】lv.41
【技能装填】lv.33
【背後射撃】lv.22
【音速矢】lv.19
【中継矢】lv.6
【近接射撃】lv.25
【剣術】lv.88
【遠隔剣術】lv.23
【剣防御】lv.8
【瞬突】lv.15
【回転斬り】lv.30
【調教】lv.97
【魔物保有数向上】lv.26
【従魔活性化】lv.13
【魔人化】lv.15
【緊急回避】lv.31
【投擲】lv.89
【空握】lv.51
【空腕】lv.12
【投擲許容量増加】lv.24
【索敵】lv.103
【索敵範囲拡大】lv.17
【弱点捕捉】lv.23
【砥ぎ師】v.51
【過剰砥刃】lv.35
【足払い】lv.28
【回し蹴り】lv.36
【風転撃】lv.43
【浮遊】lv.32
【単独撃破】lv.12
【並行作業】lv.43
【鷹の目】lv.26
【消耗品再利用】lv.25
【強制収容】lv.41
【愛撫】lv.72
【高速振動】lv.37
【創造】lv.42
【魔王の血脈】lv.48
【狙撃】lv.27
【頑丈】lv.18
【一極集中】lv.5
【熱耐性】lv.3
【魔物合成】lv.34
【俊足】lv.4
【威圧】lv.32
【夜の声】lv.5
【魔力流】lv.12
【恐怖吸収】lv.17
【闇属性攻撃力上昇】lv.2
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