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天職がもらえるところってここですか?

「こんにちは神官さん、久方ぶりですね」

「こんにちは、子供達。誰か覚えてないけど……」


 ミナ街のはずれにある神殿まで行くと、壁一面が白い空間で、優しそうな初老の神官が出迎えてくれた。


 神殿にいる神官の仕事はどちらかというとハローワークの職員に近いので、デキるサラリーマン感もちょっと滲み出てる。


「ね、ねぇニアちゃん……。この綺麗な神殿でレイン君に体をなでなでされたら……気持ちよさそうだと思わない?」

「はぁっ? 思わっ……なくもないけど何言ってんのよあんた!?」


 俺が神官と向き合っていると、後ろからスフィ達のよく分からない会話が聞こえてくる。

 神殿で気持ちよくなる背徳感を求めるとか、俺はいつの間にかスフィを変態にしてしまったのかもしれない。てかニアさん、思わなくもないんですか!?


 思わず動揺してしまったが、とにかく今日の用事を神官に伝えた。


「今回は新しい職業になろうと思って来たんです。剣士になるための試練って、今すぐ受けられますか?」

「成る程、では射手をおやめになるのですね? 確かに射手は大成するには厳しい職業、幼いうちに転職なさるのは英断ですな」

「いや、射手はやめませんよ? 兼業するだけです」


 俺が用件を伝えると、神官さんが完全に固まった。やっぱり神官にさえ、兼業って概念がないのか……。


「ははは、ご冗談を。既に天職を得ている人が、新しい職を得られる筈がないではありませんか」

「別に冗談じゃないです。もちろん今の実力では、新しい職業は二つが限度だと思いますけど……」

「二つ受けるつもりなの!?」


 相当驚いたのか、神官がとうとうため口で叫ぶ。それから、表情に軽い軽蔑を滲ませて言った。


「分かりました、そんなになめているなら試練の恐ろしさを味わいなさい。神の試練を軽く見た事、後悔すると良いですっ!」


 神官が神殿に設置されていた石板をいじると、白い床の中央に突然光の仕切りが現れる。俺がそこに足を踏み入れれば、試練が始まるのだ。


「じゃあ行ってくるね、スフィ、ニア。君らもいつか試練を受けるだろうから、俺の動きを参考にしてくれると嬉しいな」

「うん、分かったよ!」

「分からないで下さい!? 試練ってそんなポンポン受けるもんじゃないですからっ!!!」


 神官の言葉を無視して、俺は大して気負わずその仕切りの中に踏み入れる。すると仕切りの中央に、全身を黒い鎧に包んだスマートな騎士が出現した。

 俺にだけ触れる幻影のようなものなので実際に俺が傷つくことはないが、こいつを剣で倒さなければ試練を突破する事は出来ない。


 しかもその騎士に睨まれた途端、俺は【弓術】スキルとその派生スキルが全て使えなくなった。新たな試練を受ける際は、他の職業で得たスキルが一時的に使えなくなるのだ。


「ふはははは、最初に受けた試練ほど簡単だと思うなよ小僧っ! 神の裁きを受けるがいいっ!」


 高笑いが聞こえたから騎士が叫んでるのかと思ったけど、どうやら後ろから神官が喋ってきたようだ。動揺のあまり神官らしさ喪失しちゃってるじゃん。


 まぁ狂気の神官は気にせず、俺は目の前の騎士に集中する。今まで多様なスキルを鍛えてきたから、弓が使えなくなったからといって戦えなくなるわけじゃない。俺は先ほど店で買った、安い鉄の剣を手に取った。


 聖剣なども売っていたが、PIOの世界では聖剣なんてそこまでレアじゃないのでお金を節約したのだ。超越神聖宝剣辺りになってようやく一級品かな。極聖剣には及ばないけども。


「ははは、そんな安い剣でどう戦おうというのです!」

「どうって……こんな感じです。【投擲】」


 俺は持っていた剣を【投擲】でぶん投げて、剣を構えていた騎士に投げつけた。


 接近戦する気満々だった騎士は攻撃を受ける準備が整っていなかったようで、普通に攻撃を受ける。鉄の剣はたくさん買っておいたので、相手の動きが整うまでひたすら投げ続けた。


「えっ、もう剣の試練じゃなくなってない!? 【投擲】で解決しようとしないで!?」

「いや、ちゃんと剣を使ってるじゃないですか」


 神官が突っ込んできたので、まぁそこまで言うなら接近戦もやぶさかではない。鉄の剣も投げ切ったし、接近戦で戦ってみるか。


「【空握】・【創造】!」


 俺は手元にある空気を握り、その形を【創造】で剣状にして騎士を斬りつけた。相手は空気の剣を目にすることも出来ず、【投擲】で傷ついて動きが鈍くなった騎士は一方的に斬りつけられていく。


 そして【過剰砥刃】で鎧を破壊した後、鎧の内側を【高速振動】させて騎士を倒した。


「幻影相手だから容赦ないわね。あの動き見ると、レインが山賊相手にどれだけ手を抜いてたか分かっちゃうわ……」

「山賊にさえ優しいレイン君、格好いい……」

「優しいって言うのは流石に無理がある気がするけどね?」


 スフィ達ももの言いたげだったが、ともかく騎士は沈んだ。これで俺は剣士にもなれたのである。


「んじゃ、次は調教士の試練お願いします」

「ひゃ、ひゃい……」


 俺が神官に頼むと、彼は涙目で頷いた。

 恐怖されることでレベルが上がる【魔王の血脈】のレベルが上がってるの、なんでだ……?



レイン・エドワーズ

射手lv.5/剣士lv.1

【弓術】lv.215

【散弓術】lv.39

【高速装填】lv.57

【強制装填】lv.8

【技能装填】lv.33

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.10

【近接射撃】lv.25

【剣術】lv.1


【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.89

【空握】lv.45

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.103

【索敵範囲拡大】lv.17

【弱点捕捉】lv.18

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.31

【風転撃】lv.39

【浮遊】lv.32

【単独撃破】lv.12

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.61

【高速振動】lv.32

【創造】lv.29

【魔王の血脈】lv.6

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