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第31話 「スターマイン」

遅くなりました。ちょこちょこ書いてました。


「私にもう一度見せてくださる?涼音お姉様との榛名山での伝説のバトルとまでいわれたその走りを。」

はるなとレイカを中心に峠の雰囲気が変わる。


サツキがあわてながら2人を交互に見たあと、はるなに話しかける。

「ちょっと!まだギャランはFR駆動にしたばっかりじゃん!まだ慣れてない中でのバトルなんてだめだよ、、、せっかく、、せっかく今まで連戦連勝なので勝ててたのに、、、」


はるなはレイカから目をそらさず

「どーだろ。負けるかも、、、ね。駆動方式変えたばっかりなのも後ろからさっき張り付かれて見てるし、もう気づかれてるよね。」


レイカもはるなから目をそらさずに話し出す。

「ええ。気づいてましてよ、まだセッティング途中なのも。いいんですの?本当に。、、、負けるかもしれないのに。」


「いや、うちらってそーゆう世界で生きてるじゃん?いつも峠に来るのがベストな状態ってわけにはいかないじゃん?そんな事言ったら、、負けるための理由づけなんていくらでもあるよ。

金銭的な問題、仕事、、家庭の事情、、みんないろんなものを背負ってでもそれでも戦わなきゃいけない。

好きな事を否定のカテゴリに入れたくないから。

あたしらの生きてる意味ってこの夜だけでしょ?せっかく自分でいられる場所に邪念入れてどーすんの?」


レイカはややうつむき加減に目を閉じる

「、、無粋でしたわね。あなたはいつも自分に有利な場面なんて1度もなかったですわね。鈴音お姉様とのバトルから、、、。」



「あれ、鈴音さんとのバトル見てたんだ。まあ、傍目には不利に見えてるかも知れないけど、それでもバトルは最後までやってみないと分からないじゃん。しょうもない言い訳で自分をごまかしてバトルしたくないんだよね。」

「サツキ、またひろいにくるからスタートの合図、やってもらっていい?」


サツキは数秒何も言わずはるなを見つめる。これは、そういうバトルなんだと気づく。

それでもさつきは望んでしまう。

「わかったよ、、、、はるなお願い、ピンチをチャンスにひっくり返して。勝っちゃえ!!」

軽くはるなの前に拳を突き出して2人で拳をコツンと軽く合わせる


「ほんと、、、簡単に言ってくれるなあ。」

はるなはいつもの笑顔で微笑みながら車から降りるさつきを見つめる。


いつものスタートライン

ビートとギャランをみつめるサツキ



はるなは何度も車を止めているこの場所がどこかいとおしく感じた。

1つ2つ3つ、軽い深呼吸をして集中力を最大限に高める。

車のアイドリングのようにすぐに高回転で爆発できるような力を貯める。


「レディ、、、、」

サツキが両手を上に掲げる


レイカとはるなが気持ちを合わせたかのように同時にニュートラルから1速へ入れる。


「ゴォー!!」

振り下ろした手と同時に2台が走り出す。

ギャランは出遅れる、というよりビートが速いのだ。軽さを活かした初速そしてターボいう速さを追求した事による爆発的に伸びる車速。


1つ目のコーナーから車の小ささも相まって見失ってしまうような速さだった。


はるなも目をみはる程のスピード。ふと口元に笑みがもれる。

「まったく、軽だからって舐められる時代はもうとっくに終わってるねこれ。」


発売から多くの人に愛されているビート。今だにアフターパーツも多い。

それにより、走りに振り切れるパーツも多く、パーツが多いことでバリエーションに富んだ速さの形がある。

先人達がつぎ込んだ膨大な時間と経験値が今の時代に生きるビートを発売当時の何倍も早くしてくれる。


それに比べギャランにはない。

一般的に受け入れられなかった車を愛するというのは茨の道である。、、、先人がいないということは自身で正解を見つけなければならない。

そして致命的なのはアフターパーツが少ない。それによるチューニングの幅の狭さがある。

人気がなければ愛されず、長くお互いの関係を保つことは出来ない。

それでも関係を保つならばそれ相応の覚悟と時間と金が必要だ。




ビートは車の小ささを全域に活かし道路をめいいっぱい使いギリギリまでアクセルをねじ込む。

ターボとはいえ非力な車はギリギリまでスピードを落とさずまた、最速で立ち上がれるよう車の姿勢をつくる。

そしてドライバーにしか分からない驚愕の事実。レイカのビートにはパワステがない。

それなのにもかかわらず、レイカは難なく片手でビートのハンドルを回す。



偶然のバトルに居合わせたギャラリーはざわめく

「おい!あれサンライズの所のビートだ!戦ってのは、、うぉぉおお!!ギャランだ最近突然出てきやがったギャランとやってやがる!速く誰かケンスケさんに知らせろ!後、峠の下でタムロしてる奴らに連絡とれれ!!」


場所は変わって白鳥家

ケンスケが涼音の部屋に飛び込む

「姉ちゃん!!またあのギャランが榛名山でバトルしてやがる!しかもレイカとやってやがる!はるなのヤツ、、アイツペース速すぎだろ!デビューしたてのくせに!」


涼音がNSX下から顔を出す。

ちなみに涼音の部屋は部屋兼ガレージである為すぐに車がいじれるという驚愕の部屋である。

「え、はるなちゃんもうバトルしてるの!?てかレイカと!?てか、はるなちゃん駆動方式FRにするって言って今日がシェイクダウンじゃない?、、、てかレイカもそーだよ!あの子のビートってターボつけたばっかりじゃん!!セッティングとれてるの?お互い不利な状態なのになんでバトルしちゃうかなあ笑」


「はぁ!?レイカのヤツまで!?アイツらは、、、無謀すぎるだろ、、。」

ケンスケが片手で頭をかかえる


「いや、一概にそうとも言えないよ?結局セッティングとったとしてもバトルだと思わぬ所でつまづいたりするし、、全開から学ぶセッティングも良いのかもね、、ま、普通怖くてやらないけど、、、とりあえずケンスケ、アタシの車、足回りばらしちゃってるからアンタの車で行こう!」



そして場面は榛名山に戻る。


バトルはジリジリとギャランが離されていた。

ギャラリーがざわめく

「ヤバいぞ!コーナーでやっぱりギャランが離されてる!ギャランのやつケンスケさんより速かったんじゃなかったのかよ!?」


はるなは前を走るビートに集中力を極限まで研ぎ澄ます。

はるなは相手の走りの情報をコピーする事で自分にコンバート(変換)し自分の走りとミキシングする。

それと同時に自分を取り巻く環境、その日の道のコンディション、全てを瞬間記憶力で取り込んでいく。


はるなの走りのスピードレンジが1段階シフトする。

「お待たせ、、、ここからが掛け値無しの本当のアタシの全開だから。」


瞬間記憶力


永遠に使える能力であれば、記憶を長期間留めておくことができれば、、、今頃、はるなはひとかどの天才として世間から注目されていただろう。

しかし神様とはなんと気まぐれなのであろうか。


1日でたったの1回。しかも数十分しか使えない。

しかも、その記憶力はいつまでも保持できるものでは無い。テストで言うなら一夜漬けと同じような状態だ。

儚く一瞬のキラメキの中に記憶は消えていき、続く事はない。


じりじりと離されていたギャランの追い上げが始まる。


レイカはじりじりと後ろから迫るギャランのプレッシャーを感じる。それと同時にバックミラーを相手が見えない方向に角度を変える。

「追い上げて来るのなんて計算の内ですわ。それにしても、、、ビートはNAこそ全てだと思っていたのに、、ターボにした瞬間、、そんな概念ごと吹き飛びましたわ。全てをねじ伏せる暴力的な加速。気持ちのいい走りよりもワタクシが優先するべきは頭の芯までしびれるドカンとくるスピードだったのですわね、、ふふ。ビートにターボ。邪道なのかも知れませんわね。でも、もとより正統派の走りなんて求めてはいませんわ。ワタクシはこの車で速くなれるのならば、、、何だってしますわ!!」


愚かな行為の中でしか希望の光と可能性を

見つけられない若者達をどう止められようか


夜はまだ続く、、、、


楽しんで頂けたら幸いです。

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