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手毬の夢
ちりめん模様の赤い手毬を、二人の禿が畳の上でついていた。
それを、私は誰かに膝枕をしてもらって、眺めていた。とても温かくて気持ちよかった。
てんつく、てんつく、手毬が畳を跳ねる音と、琴だかなんだかの音がどこからか聞こえていた。
「貸して」
手を伸ばすと、赤い着物の二人の禿は、手毬をつくのをやめた。
「だめ」
禿たちは走ってどこかへ逃げてしまった。
「そのうちね」
私に膝枕をしてくれている人が言った。
とても億劫だったが、そちらを見上げると、赤い着物で、顔におしろいをした女の人がいる。
「私たちの仲間になったら」
それは嫌だなあと思いながら、ゆっくり、目を閉じた。
そして再び開くと、いつの間にか、自分の着物が彼女のと同じように、ぜんぶ真っ赤に染まっていた。
夢十夜、でとりあえず完結にしておきます。