ゴブストッパーと別な飛行機と不思議な体験
不思議な体験
ある人へ
しばらく沼には近づかないよ。
大丈夫。
私も沼は人が多くて寄りたくないと思っていたんだ。
たしかに少し先を行ってるかも。私が指を怪我した。主語が違うのかな?
エバーラスティング ゴブストッパー
ティムバートン監督の映画チャーリーとチョコレート工場の原作本にだけ出てくる架空の飴玉らしい。
ゴブストッパーという大きなアメ玉は存在している。ストーリーの中では、
ずっと甘いまま、永遠になくならない飴玉。
お金の少ない子供でも一回買えば、ずっと甘いまま買い足す事なく舐め続けられると作られた。
それを産業スパイが狙い、主役のチャーリーにもスパイ行為を持ちかけられる。
それをチャーリーは断る事でチョコレート工場の社長のウォンカさんの信頼を得る。
というかなりのキーになるアイテム。
ジョニーデップ版の映画には出てこないらしい。
ゴブストッパーとは、口を塞ぐもの。アゴを砕く。
意訳すると永遠に口を塞ぐものという意味で怖い。
ちょっと前の日本みたいな気もする。
甘い汁を吸わせて黙らせる。みたいな。
時代の風刺なんじゃないかと勘繰ってしまう。
今は読む時間がないから落ち着いたら一回読んでみようかな。
深そうで楽しみ。
なんか、よく分からないけど飴は好きじゃなくてよかった。
沢山の飛行機が飛んでいるね。
私は、何かをやり始める時に、いつもフワフワと行き当たりばったりで、リスクヘッジをしていない風に見えるらしいけど、実は、こっそりとリスクヘッジしている。
行き当たりばったりは間違いないけど。
いざ自分で決めた境界に立つと、その先が見たくなってしまう。
見に行きたくなってしまう。
結局、欲から越えてしまう。
ああ、越えなきゃよかったあ。
これを繰り返してきた。
もはや、境界を守ることは諦めて、越えたあとの対処に尽力するほうに切り替えた。
これだけ、こんがらがってしまった人生だけど。
ギリギリセーフなのはそれのおかげなのかも。
プランBなんて言ったり。
プランBを持っていたからって重くて高く飛べないわけじゃないし。
プランBは0kg
リスクヘッジをしておく場所だけ間違えなければ、安心して高く飛んでいける。
そう考えるとプランBは−10kgくらい?
もっと、積み込めるようになる。
でも、時々プランBが重いとそそのかされて、リスクにプランBを持つことを頼んでしまう。
あとで気がつく。
全部持っていかれた。
そんなことがないように、気をつけている。
だから、リスクにプランBがある事は知らせてはいけない。
ちなみに、たまにやる人がいるけど、人間のリスクヘッジはしない。人間の保険。
1番好きじゃない行為。
男はアクセル。女はブレーキ。
心の性別の話。
この文字数では挙げられないから。
おまけに、2人目を産んだ時のさらに不思議な出来事。
2人目がまだお腹にいる時。
定期検診の、総合病院は都会にあって駅から徒歩15分くらい。
やや遠くて駅から循環バスがでていた。
帰りだけバスに乗っていた。
痩せ型だからか、まだ、お腹はあまり大きくなくて側からは分からないくらいだった。
具合が悪くない日はマタニティ マークのキーホルダーはつけていなかった。
乗る人が少なく、パラパラと空席が目立つ。
華やかな60才台くらいのご婦人。
派手な赤い大きな花柄のワンピース,
しっかりとしたアイシャドウにアイラインに真っ赤な口紅。
髪も素敵に大胆にカールさせて、耳元には大ぶりなピアスがゆれている。
華やかなワンピースに相応しい人。
なんだか、フラメンコとか踊りだしちゃいそうな雰囲気。
情熱的なラテンな雰囲気の女性が好きな私は無意識に素敵だなと目で追った。
二人掛けの席は他にもあるのに、そのご婦人は、わざわざ、私の横に座ってきた。
そして、そのご婦人は、とてもキラキラとした目で私の顔を見てきた。
私の事を知っているみたい。
体が完全に私の方を、横を向いているのだ。
私の膝の上に重ねてあった、私の両手を包むこむように握ってきた。
マタニティ マークもつけていないのに、そのご婦人は言った。
「いつお生まれになるの?」
驚きながら、その不意打ちに反射的に予定日を伝えた。
「じゃあ、獅子座ね、血液型も、もう、わかっているのよね?」
「変わらなければB型です。」
うん、うん。
と嬉しそうに頷く。
凄く明るい表情なのに、なぜだか少し涙ぐんでいるご婦人。
感情が溢れでてしまうタイプの人が感情をぐっと押さえこんでいるような感じだった。
私は、なんで赤ちゃんがお腹にいるのも、その赤ちゃんの血液型をすでに私が知ってることまで知っているんだ?!
病院で見てたとか?えっ?占い師?売りつけられる?なに?なに?と
困惑。
両手ロックされてるし・・・。
スリ??
大警戒。
無視してご婦人は、話はじめる。
外国に住んでいらっしゃったそうで、今、ご主人が病気でここに来た。という。
「入院されているのですね。」と軽く相槌のつもりで言った。
「入院はしていないのよ。」
という。
これは、病院から駅へ向かうバス。
ご婦人は一人。
ん??結果だけ一人で聞きにきたとか?
そんなの今時できるの?
と思ったけど内容的に詳しくは聞けなかった。
そういう事もあるのか?と
とりあえず納得しきれないまま受け入れる。
怪訝な私の表情に反して、ご婦人は嬉しそうに話し続ける。
「獅子座の男性はとっても情熱的ですよ。」
とお腹を愛しそうに見る。
「私の夫が獅子座なんだけど。
私の事をとても大切にしてくれるの。
まわりは皆、こーんな。」
と、握っていた手を離して、そりかえり、
手と体で屈強な男性を表現する。
「だから、他の人と比べると大分小柄なんだけど、凄く頼りになるの。
そして、本当に情熱的なのよ。
情熱的。
情熱的よ。」
愛おしむみたいに遠くをみる。
「いいわよ!獅子座の男性は!
今も、二人で一緒に踊るのよ。」
フラメンコか?やっぱり?と頭をよぎる。
財布の入ったバックを触る。
外側から財布の形を確認する。
「本当に情熱的で素敵なの。
彼と踊るのは本当に素敵なのよ。」
途中からご主人の事を「彼」と呼び、愛しそうに「彼氏」の話をする女性に、ご主人に対する愛情の温度が、はじめから少しも変わっていない事を感じる。
貴女も情熱的ですね。とニコニコしながら話を聞く。
ユラユラとチークダンスのフリをする女性。
そこはフラメンコじゃないのかい!?と心でツッコミをいれる。
「素敵ですね。私、おばあちゃんになれたら、孫に囲まれて、それをやりたいと思っていて。夢みたいな。」
と言ったら、急にしばらく無言。フルしかと。
あっ!おばあちゃんが気に入らなかったとか?!
と失礼だったかもしれない発言に焦る。
あなたが、おばあちゃんと言ったわけじゃないよ!
って、なんて言えばいいんだろう。
どうしよう。と思っていたら、
何もなかったみたいに、ご婦人は話し続けた。
「獅子座の男性はね、本当に、ずっと変わらずに情熱的なのよ。
お母様が素敵だからね。
あなたも素敵だから、この子も、きっと、そうなるわね。」
と嬉しそうに御婦人は最後にお腹をまた愛おしそうに名残りおしそうに見ると降りて行った。
壺は売りつけられなかった。
財布も無事だった。
やたら、情熱と獅子座を連呼したな。
わたしの話には何も返してくれなかったな。
おばあちゃん発言、気にしちゃったかな。
占い師?じつは、私も獅子座なんだけど。
とか考えながら帰宅した。
そして、次の検診の時。
帰りのバスが出発するのを待っていた。
また、あのご婦人いるかな?いたら聞いてみようかなと思っていた。
今度は、ご婦人よりもう少し年上の小柄な男性が隣に座ってきた。
また、周りには空席がある。
腰には何か点滴みたいなパックがついていた。
この男性は話しかけてはこないものの凄く近くに座ってくる。揺れると体とパックがくっつく。
完全に変態だと思った。
でも、何か違う。
まっすぐ前を向いている。
この男性からは、ほんわりとした空気に包まれているような安心しているみたいな不思議な雰囲気がでている。
変態がバレないようにしている感じではなくて、なんともいえない。
変態だった時ように、念の為に、嫌な顔をしておく。
降りぎわに、私の顔をじーっとへの字口で覗きこんで何も言わずに降りて行った。
追加で書く。
ここに、
「面白い事を言ってニッコリ笑ってくれた。」
と書いたなら、あの時の鈍い私に笑いかけてくれたかな?私も、緊張した変な顔じゃなくて、笑った顔を見せる事ができたのかな?
次は生まれてすぐ、赤ちゃんの1週間の検診と私の別の病気の健診。
赤ちゃん連れ。
なぜかベビーカーが壊れて使えなくなって、抱っこ紐も首座り後のものしかなかった。
しょうがないから、安定しない抱っこ紐もどきを無理やり使って行った。
ほぼ、手で抱っこしている、かなりキツい状態。
とにかく待たされる。
動く4キロの赤ちゃんを抱っこして待つ。
しかも、今日は、やたらと泣く。
小児科以外の私の検診が凄く待たされた。
連れ出しては、あやすを繰り返した。
途中、60才くらいの綺麗な女の人が話しかけてきた。
ポニーテールに、爽やかな水色と白のストライプ柄のシャツタイプのワンピース。
女優さんみたいに綺麗だった。
「さっきから、大変そうだなって見ていたの。頑張っているわね。私の孫と同じくらい。」
と言って座れる場所を探してくれた。
一緒にいてくれた。
でもこの人に私は違和感を感じた。
こういう時に助けてくれる人は、たいてい、自分の孫の話をするか。
過去の自分の子育ての奮闘記からの同情で声をかけてくれていて、自分の体験を話して励ましてくれたり。
はたまた、私みたいに愛らしい小さな命に夢中という感じで、まさに孫感を丸出しで愛でにくる。
この人は私に夢中。
なんか私に夢中。
その人もなかなか呼ばれないから、大丈夫か聞くと
「ああ、受診ではないから。」
という。
お見舞いでもない。という。
でも、
「待っていたの。」
と言った。
また、謎の来院理由。
腕もパンパンでほとんど座れずに足も棒のようだった。気にしない事にした。
65歳というわりに、姿勢がよくて若くみえた。
「姿勢がよくて素敵ですね」と言うと
「昔、バレエをしていた時があったからかしら。
母がね習わせてくれたの。
昔は、バレエは習うのも大変でね。
父は将来何にもならないものにお金をかけて。
才能があるわけでもないのに。
なんて反対していたわね。
でも結局バレエ団に入れたの。
だけど、入ってすぐに足を怪我して辞めてしまったのだけど。
今も毎日ストレッチは続けているのよ。」
と赤ちゃんにニコっとした。
そこで私が呼ばれてお礼を言って別れた。
5時間はいた。
帰りのバスもなくなってしまった。
へとへと。
クタクタ。
泣き疲れ寝る赤ちゃん。
私も寝たい。
手と腰が痛すぎる。
限界。
でも、タクシーも来ないし。
一刻も早く帰りたい。
しょうがないから歩こうとした時、
さっきの女性が声をかけてきた。
車で駅まで送ってくれるという。
話に矛盾が多いから誘拐されるかも。
と心配で頑張って遠慮するフリをして断る。
半ば強引に車に乗せられた。
スポーツタイプの高級車だった。
道が慣れてなくて。
と言いながらも無事、駅に着くと
体に気をつけて頑張って。
無理しないでね。
と言ってくれた。
最後に、
赤ちゃんに、
「バイバイ」とニコッと覗きこんだ。
あっ!初めて赤ちゃんに興味持った!と感じた。
それから、不思議な人に会う機会はなかった。
一つ気になった。
一人たりない。
本に書いてあった。決して事実を曲げることがないように。
何年か前の足だけの白昼霧。
私はどこかで記憶違いをしてしまっているようだ。
わざと記憶ごと変えている節もある。
そのほうが面白いから。
年だからか。おばちゃんだからか。
それをすると、本当の記憶が創造に上書きされてしまう。
あのワンピースも、きっと赤ではなかった。
今、この瞬間からあのワンピースは赤だったことになる。
今、これを読んでくれている人は、一人のおばちゃんの白黒の2色だった記憶が美しい彩色に塗り替えられる瞬間に立ち会っている。
私の記憶は、曖昧で安定していない。
今の私を知る近くにいる人達も安定している人はいない。
皆が混乱している。私のせい。
ただ1人。
近くではないけれど影響を受けていなそうな思いあたる人が、一人いる。
道端やドラッグストアやドンキホーテで会えるかもしれない人。
そもそも、安定している人間なんているのだろうか??
今回は、手紙的で不思議すぎるから。
読んでいて、よく分からない人は、読み飛ばして
もらったほうがよいかもしれない。
ラップもまだ歌えていないし。




