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アイヲンモール異世界店、本日グランドオープン!  作者: 坂東太郎
『第十三章 テナントを集めてアイヲン「モール」異世界店、リニューアルオープンだ!』

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第二十二話 疲れ知らずで眠らず活動できて、暗闇も見通せる。夜の見張りには最適。戦闘力もある。馬を操れるなら移動力もある


 俺が店長になってから63日目のアイヲンモール異世界店。

 今日の営業時間を終えても、俺はまだフードコートにいた。


 テナントがいくつも入ることが決まって、急務になった人材確保のためだ。

 クロエや行商人さんからの紹介で縁故採用は見込めるようになった。


「ナオヤさん、私から提案があります」


「はあ、なんでしょう。人手不足の解消案ならなんでも聞きますよ!」


 行商人さんは、ほかにもアイデアがあるらしい。


「せっかく24時間働ける存在がいるのです。活用しない手はないでしょう。バレなければいいのです」


全身甲冑(フルプレートメイル)スケルトンなんかは警備を続けてもらうつもりです。あと着ぐるみゴーストも」


「それです! どちらも増やすことはできませんか?」


「鎧は買えばいいとして、着ぐるみも日本から〈小規模転移〉で取り寄せればなんとか。あとは()()()の数ですけど……」


「希望()は多いんですよ、ナオヤさん。いまは順番に入ってもらってます」


「えっ、中の人がときどき代わってた? そういえば動きが違う時があったような」


「ご希望であればいくらでも増やせます!」


「それはそれで怖い。まっとうな手段でお願いしますね。増やしすぎてアイヲンモールがアンデッドだらけのダンジョン化しないようにお願いしますね」


「それは……」


「なんで言い淀んでるんですか!? もう手遅れとかないですよね!?」


 そういえば最近、アンナさんが暮らす地下を見まわってない。

 いや、そもそも地下の奥までは見てない。

 え、何があるんでしょうか。

 実は『旧市街地下墳墓(カタコンベ)』並にダンジョン化してるんでしょうか。

 ……今度地下を見まわりしよ。手前だけ。


「増やせるのですね。でしたらナオヤさん、いま清掃をしているエプロン付きスケルトンのみなさまに着ぐるみを着ていただけばどうでしょう?」


「ああ、それなら清掃要員は確保できそうですね。動きづらいだろうからトイレ清掃は封鎖してやってもらうことにして……」


全身甲冑(フルプレートメイル)スケルトンは店内警備のほか、周辺の警備にも活躍するでしょう。それに、馬に乗れる()もいると聞いています」


「隊長はじめ、古株の()は乗れるようですね」


「では、御者ができる()はいませんか?」


「御者、ですか? どうでしょうアンナさん」


「何人かいますよ。教えればできる人もいますし、御者ができるスケルトンを用意することも可能です」


「用意はしなくていいです!……そうか、全身甲冑(フルプレートメイル)スケルトンに御者をやってもらえば、行商人さんはこっちで接客できるようになる」


「それもあります。が、ほかにも活かせると思いませんか?」


「ほかに……? 全身甲冑(フルプレートメイル)スケルトンは中を見られなければいまのところバレたことはなくて、人によっては御者や騎乗が可能。ゴーストも仕込める」


「はい」


「疲れ知らずで眠らず活動できて、暗闇も見通せる。夜の見張りには最適。戦闘力もある。馬を操れるなら移動力もある」


 全身甲冑(フルプレートメイル)スケルトンの強みは多い。

 一部のアンデッドと違って昼間でも活動できる。

 クロエとアンナさんの〈浄化〉をはじめとした神聖魔法には弱いけど使い手は稀少って話だ。


猫人族(キャットピープル)の二人を護衛してきた実績も……そうか、護衛!」


「ええ。それが私の提案です。街や村の壁の外の移動は危険が伴いますから」


「テナントが増えれば輸送が必要になる。テナント任せにするつもりだったけど一定ルートをウチで受け持てば……輸送費を取るかわりに人手を提供してもらう? 複数テナント分をまとめて持ってきちゃえば手間は減らせる……」


 ルート配送をアイヲンで組めば、よその街で安定して手に入れられる商品も仕入れられるか?

 そうすれば取り扱い品数も増える。

 従業員用アパートも増築するのは確定だし、もっと増やして家を用意すれば人材もよその街から引っ張れる?

 土地を離れるのは日本より抵抗あるみたいだけど、安全に里帰りできる手段があるってわかれば抵抗は減らせると思う。

 港町はクアーノさんのワイバーン便があるから王都方面。

 エルフの里も猫人族(キャットピープル)の村もそっち側、ファンシーヌさんの実家の商会も王都だ。

 イケるかもしれない。イケそうな気がする。イケる。


 営業を終えたアイヲンモール異世界店のフードコートで、俺は一人考え込んでいた。

 途中、行商人さんの「失礼します」って声やクロエやアンナさんの「こうなっては動きませんね」なんて声も聞こえた気がする。


「小売だけじゃなく物流の一部も担う。やったことないけど、このへんで新しいことに挑戦しなきゃ残り四ヶ月で月間売上一億円の目標には届かない。やるしかない、よな」


 ひとまず明日、草案を作ってアンナさんやファンシーヌさん、行商人さんあたりに相談してみよう。

 あ、本部の伊織にも報告しておかないと。


「いつからはじめるか。少なくともテナントのオープンには間に合わせたい。一部店舗のプレオープンでテストして、今日話があったテナントの一斉オープンで本格運用する? なら『モール』のオープンとして大々的に……」


 考えることは多い。

 思いつくことも多いし、やることも増えていく。


「となるとフードコートもオープンさせたい。……せっかくいくつかのテナントが物産店みたいになってるんだ、各地の料理を食べられるようにする?」


 でも楽しい。

 充実したテナント、豊富な品揃え、いろんなものから選べるフードコート。

 俺がいま考えてることがすべて叶えば、この異世界にアイヲンモールの魅力がもっと伝わるはずだ。



 俺が店長になってから63日目のアイヲンモール異世界店。

 俺はようやく、この「モール」のトップとして動きはじめているのかもしれない。



「複数テナントの開店にあわせたグランドリニューアルオープン。いや、『モール』としては()()()()()()()()って言っても大げさじゃない、か?」




大変お待たせしました……?

次話は11/27(金)18時更新予定です!

予定です…………


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※なおこの物語はフィクションであり、実在するいかなる企業・いかなるショッピングモールとも一切関係がありません!



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[一言] あのアップされた日時が11/27の18時です…(小さな声で)
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