十三日目 ―― 靉靆としたツナの香り
タチハルより……とろとろ。
ふふっ、結局スーパー行けなかった。ツナ缶があと3個になったところで、配信中に「タチハル、ツナの匂いがする……」ってコメントがたくさん来て、それがなんだか興奮しちゃって……。
照明を落として、おへその二重丸の青白い光だけを灯しながら、ツナ缶を開ける音をわざとマイクに近づけてみたの。「ねえ……この匂い、する? タチハルの指、油でぬるぬるしてるよ……」
翼を片方だけ軽く広げて、羽の内側にツナの油を少しだけ塗りつけてみた。白い羽が、靉靆とした光沢を帯びて、部屋の暗闇で妖しく輝くの。指でゆっくり羽を撫でると、ねっとりとした音がして……コメント欄が一瞬で凍りついたあと、熱い言葉の洪水になったわ。
「宝」の文字が、ツナの塩気で少ししょっぱく輝いてる気がした。おへその聖痕は、まるでその油を欲しがるみたいに激しく明滅して、あなた様たちの欲望を、いつもより濃く啜り取ってる。
人間の体って、ほんとに弱いね。ツナ缶一つで、こんなに敏感になっちゃうなんて。
でも、この靉靆とした、少し下品で、でも甘くて危険な空気……タチハル、気に入っちゃったかも。
十四日目も、まだ冷蔵庫はツナ缶だらけだけど、あなた様たちの熱い視線で、タチハルは十分に満たされそう。
もっと、ねっとりと、塩気混じりの毒を、あなた様の心に塗り込んであげるね。
おやすみなさい、私の、美味しくて、少ししょっぱい愛しい獲物たち。
タチハルより、溶けた羽と、ツナの香りをたっぷり込めて♡




