ep.101 誕生日会への招待
第三学年 十月四日 月曜日
宝塚ゆずり葉高校 三年三組教室
先週の土曜日、学校にも合気道の練習にも佐那の姿はなかった。
あの日、別れて以来、初めて目にする佐那の姿だった。
いつもと変わらぬ様子の佐那、黒板の文字を一生懸命ノートに写している。
休み時間にはまとわり付く林に手を焼いている、まぎれもなくいつもの佐那だ。
ただ、ひとつ違うのは一文字に視線をあわせようとしないことだけだった。
一文字が深い溜息をついたとき、誰かが背中を叩いた。
「なにを溜息ついてるん?」
振り返ると川本が嬉しそうに微笑んでいた、隣には永嶋もいる。
「なんやお前ら?今は遊んでやる気分やないねん、」
「もう、失礼やな~、そんなことより十月七日って空いてへん?」
(十月七日、約束の日の一日前か・・・)
とてもみんなと遊ぶ気にはなれない、一文字は関心なさ気に言った。
「その日はあんまり気が乗らへんな、何するん?」
「そうなん?みんなで友里の誕生会するねんで、岡君も来てや~」
村瀬の誕生日、村瀬に恋焦がれていた頃にこんな誘いを受けていれば二言なしで飛びついたであろう。
だが、今はそんな気分になれない。
一文字が断ろうとした時、永嶋が言った。
「せっかくやねんから行こうや、上原さんらも来るしな」
佐那が来る?今の状況だと尚更、行きにくい気がする。
一文字はやっぱり断ろうと思ったとき、川本が林と話していた佐那に声を掛けた。
「なあ、佐那からも言ってあげて、なんかよう分からへんねんけど岡君がしぶってるねん」
「そうなん」と小声で川本に応じた佐那は、あの時以来、初めて一文字に視線を向けた。
「一君、せっかくやねんから、みんなで行かへん」
佐那の優しげな言葉はどこか機械じみているような気がした。
一文字は取り繕った笑みを浮かべて応じた。
「みんながそこまで言ってくれるんやったら、行かせていただきます」と、




