見れたらいいな
◇
1時間目の体育は花白さんも木村くんも出席していなかった。
昨日の花白さんを知ってしまったからか、今日の花白さんの態度は少し寂しい。
話しかけるけど、今までと変わらずどこか素っ気ない感じ。
明るい花白さんは花屋でしか見れなさそうだった。
体育が終わり教室に戻ると2人が普通にいた。
花白さんは静かに本を読んでいて、木村くんはクラスの男子に囲まれている。
「夏希、何で体育出なかったんだよー!サッカーだったんだぞ⁉︎」
「腹痛くて寝てたわ」
「マジかよ〜大丈夫か?」
相変わらず木村くんは人気者だ。
「夏希ー。なんか呼ばれてんぞー」
「んー」
木村くんは誰かに呼ばれて廊下へ出て行ってしまった。
「夏希呼んでたの誰?」
「1年の女子」
「あいつ、これで何回目だよ⁉︎」
さすが学年を超えて噂されてるだけあるな...
「ただいま、ん?どした?」
「お前!また告白か⁉︎」
木村くんの首を絞めながら男子が戯れている。
「いやいや、昼休に時間あるかって確認されただけだって」
それは告白されるということではないだろうか...
花白さんはどういう風に思ってるんだろう?
本を読み続けていて表情の隠れている花白さんを見つめる。
本を静かに閉じて花白さんが私を見た。
「なに?」
「木村くんが告白されたら焦るのかなって...」
「別に。誰と付き合おうと夏の自由。私に夏の交友関係に口を出す権利はない」
許嫁ならその権利は十分にある気がする。
それとも許嫁という安心感なのか?
「...けど、いい気はしない」
「え、それってヤキモ、」
話の途中で花白さんが席を立った。
「ごめん、用事できたから帰る」
そう言い残すと荷物をまとめて花白さんは早退してしまった。
「あ...」
私、なんか気に触るようなこと言ったかな...
「中川のせいじゃないよ。店にお客さんが来たんだと思う」
音もなく隣に来て私の考えを読んだ木村くん。
「そうなんだ、私にもまたお店が見れたらいいのにな...」
「それは多分...今日、5限しかないから帰りに店の前通ってみなよ」




