軍師の初カノ?
女王の執務室、お茶の時間。
女王はふと、背後に控える軍師の顔を覗き込んだ。
「……私が何か?」
あまりにまじまじと見つめられて、軍師は戸惑いながら、主君に向かって苦笑いを返した。
「軍師って、モテたんじゃないの?」
「……は?」
「そんな綺麗な顔してるんだもん、きっとクラスの女生徒がほっておかなかったでしょう?」
またその話か、と思いながらも、軍師は眉根を寄せて答えた。
「それが、そうでもないんですよ……」
軍師は、ふと少年時代の記憶を思い出した——。
告白してきたのは、幼なじみの少女。
名前は……。
今では、もう思い出せない。
それでも、最後に見せた泣きそうな顔だけは、今でも鮮明に覚えている。
日頃から仲良く話していたこともあり、彼女からの告白は、軍師としても嬉しいものだった。
だが——。
他の女子からも人気のあった軍師に告白したことで、彼女は同級生の女の子たちから責められた。
時には集団で呼び出されたり、仲間はずれにされたり……。
結局、彼女は耐えられなくなって、自分から別れを告げた。
というか、手を繋ぐことはおろか、二人の間に恋人らしいことは何一つ起きなかったわけだが……。
「……そんなわけで、学生時代には、恋人らしい恋人というものはいませんでしたね」
「ふうん、なんだか大変だったのね」
そうだ。
彼と付き合うには、周りの女の子の嫉妬を跳ね除けられる程の強さを持った少女でないといけない。
例えば——。
「ん?」
女王は、ふと軍師の視線を感じて顔を上げた。
例えば、そう。
目の前の女王のような……。




