クエスト
「こんにちはお嬢さん方、我は死神、そこの娘からは、ノワール、と呼ばれている。」
まるで長年生きてきたような言い方だが、死神になってから2日程度である。
俺は優雅に語った。
多分こんな感じだろう、
「うお!?誰だ!?」
フィオナが少し驚く。
「ふむ、我が会話をするのは、意外だったかな?」
と、決め顔をしてみるが、表情筋が無いため変化が無い。
ルナが言う
「私を奴隷商人から助け出してくれた恩人、、恩神?
よくわかんないけど、冒険したいからついてきてって言ったらついてきた。」
3人は警戒を解いたようだ。
「そうか、で、えっと、、神様、、何だよな?敬語とか、、必要か?」
(いえ、別にいいですよ)
「かまわん、好きに呼べ。」
すご〜い、覇者の言霊マジ便利〜、発言したこと全部威厳ある。
リンが気が抜けたように言う。
「よかった〜、死神って言うからもっと怖いのかと、、
思ったより親しみやすい人?神様だね。」
まぁ中身高校生ですから。貴方がたと大して変わらないどころか年下だよ!
「死を司るが、同時に審判も行う。悪人に不幸なことを引き起こしたり出来るぞ。」
「じゃああのクソ野郎に呪いまいてよ」
シアが食い気味に答えた。
「シア!?」
「、、流石に私念だけでは動けんな。」
「ケッ」
「シア!!?」
ルナが少し不安そうに言う
「コレがいるけど、それでも良い?」
「仮にも神をコレ呼ばわりか。」
フィオナは迷わずに答えた
「別にいいさ、死神だろうと悪霊だろうとルナはルナだよ。まぁ、会って2時間くらいだけどね。
私はルナを信用するさ。」
このウォリアー男勝りすぎるだろ。イケメンか!
この人ならルナを嫁に出しても良いかもしれない。
いや、俺が決めることじゃないが。
「なるほど、まぁ守護神が死神なのは分かった、それでノワールさん、、は何をしてくれるんだ?」
ルナは答える
「わかんない」
「分かんない???」
フィオナの言葉にルナは頷くと
「会って2日くらい、一緒にいるだけ、守護内容とか、、よくわかんない。」
「そ、そうか、、まぁ、戦いに行ったら分かるだろう、、
ルナ、レベルはいくつだ?」
「えっと、、1」
「1か、なら私達とすこしダンジョンに行けばすぐ10は行くだろう。
ちなみに私が43、リンが35、シアは23だ。」
「セイントって、戦うスキルが少ないから、キルボーナスが入らないんだよね。」
へぇ、と思っていると。
「じゃあ、今日これからダンジョン入るけど、、入る?」
「うん!!」
即決かい。
ルナが食い気味に頷いたので、
俺達はすぐにダンジョンに向かった。
フィオナはルナに親切にいろんなことを教えてくれた。
ダンジョンとは、
魔王から溢れた魔力から生み出された魔物が
沢山倒され、魔力が密集するところが出来る。
そしてそこに龍脈、と呼ばれる魔力の源泉があると、、
ドッカーン、と魔力が建物を作り出し、魔物が生まれる。
ダンジョンは魔物の一種だ、
魔物やトラップを従え、宝を生み出し人を引き込み捕食する。
だが人類は、ダンジョンコアを破壊しなければ、ただただ美味しい狩り場になることを発見、
しかも魔物から出る魔石は、絶対出るわけでも無いくせに
明かり、魔道具、燃料、様々なものに必要となるため、
常に供給不足なんだそう。
特に、質のいい魔石、大きい魔石であるほど価値が上がる
それほどよい魔道具が作れる。
そして、この世界、畜産や農業もしていないのに、よく肉やら野菜やらあるな、と思っていると、
それらはすべてダンジョン産だそうで、、
ウィルド国のダンジョンは3つ、ここは魔石、魔物素材がよく採れ、
もう一つは宝石、武器、もう一つは野菜、肉が取れるそうだ。
フィオナはルナに言う
「宝石は単価が高いが、全然出ない上に魔物がほぼCとかB、稀にA級も混ざっていて手がつけられん。」
リンも話に乗っかる。
「もう一つのお肉と野菜とかは魔石に比べるととっても簡単だけど、やっぱりあまり出ないし、
単価が低いの。」
「で、魔石だ。ここのダンジョンは高くてもB、基本的にDとかCくらいで、ドロップ率は低いけど、
宝石より全然出るし、肉より高いからね。」
フィオナがそう言いながら入場許可証を受付に出し、
俺達は入場した、ちなみに4人パーティーと書いているが、
俺は見えてないので5人でも素通りだ。
そしてフィオナ達は手慣れたように階段を降りる
「ここは魔石も小さいし、EやDくらいしかいないから新人向けだ、
10階層以降が稼ぎ場だな。」
魔物と懸命に戦う初心者たちを尻目に、俺達はどんどんと降りていき、10階ボス部屋にたどり着いた。
「ボスだ、D+級が何体か出てくるから、ルナは私達から離れるなよ。」
ルナはシアと一緒に立っている。
そして俺は、
(魔物、、初の魔物だ、戦えるんだろうか?)
彼ら魔物は人間じゃない、業など無いので、純粋な戦闘力が求められる。
(死にたくなきゃ尻尾巻いて逃げな、、俺に近づけばやけどするぜっ、、!)
「死にたくなければ、己の罪と向き合い懺悔することだな、
近寄ろうものならその首を落とす。」
そう言い殺気を放っていると
「デススパイダー、牙の毒に気をつけろ!」
デススパイダーが5体現れる、
「5か、今日は少ないな。」
「多いときは12とか居たもんね〜」
多くね?というかデカくね?2mはゆうにあるぞ?
「ルナ!初戦闘だ、怖いなら良いが、やってみるか?」
「うん、やってみる。」
ルナはデススパイダーの前に立ちはだかった
俺はルナをハラハラしながら見守る
「うんと、、じゃあ手始めに、、
〔風の魔力よ・集いて切り裂け・敵を切れ〕!〘風刃〙!」
ヒュン!バスッ!!
「ギッ、、」
しかし大したダメージは無かったようで、
「キシャァァァァ!!」
と、切れ散らかしたデススパイダーがルナに迫った
「やっぱダメ、、?うんと、、
〔炎の魔力よ・燃えよ矢となり・集え貫け・敵穿て〕!〘火炎弾〙」
ズドドドドドドドドドド!10コンボ!!!
「ギェェェェェェ!!!」
決まったァァァァァーーーー!!!!
ルナ選手の火炎弾が炸裂!!10発10中!!
しかしデススパイダー立ち上がる!さすがはD+級!しぶといです!
ルナ選手どうする!
「うぅ、仕留めきれない、、!
〔炎の魔力よ・燃えよ矢となり・集え貫け・敵穿て〕!〘火炎弾〙」
ズドドドドドドドドドド!
ルナ選手の火炎弾がまたもや全弾命中!!
モロ顔面にクリティカルヒットです!
デススパイダーどう動く!!?
「ぎ、、ぎ、、、」
ドサッ
デススパイダー倒れたぁぁぁぁぁ!!!!
初戦闘にもかかわらずルナ選手、反撃許さずD+級の魔物を単独撃破!!!!
素晴らしいです!!!
コレには観客席の全俺が涙を流しながら立ち上がり拍手喝采しています!!
(ルナ、、立派になって、、)
嗚呼、これが幸福か、、
そう幸せを噛み締めていると、
「ルナ!そっち1匹行ったぞ!!逃げろ!!」
「ギィィィィ!!!」
「ヒッ、、!」
先程は正面から距離を取って立っていたため、平気だったようだが、
背後に突然現れたデススパイダーにルナは腰を抜かしてしまった。
「え、詠唱、、!」
3人は残った3匹に思ったより苦戦しているらしく手が離せない
「チッ、こいつ!アークデススパイダーか!Cランクじゃねえか!!!」
フィオナが歯を噛みしめる
「キシャァァァァァァ!!!!」
「ルナ!!」
3人の悲痛な叫びが木霊した
「言ったはずだ、近寄れば殺すと。」
俺は咄嗟に鎌に魔力を込め、デススパイダーを叩きつける
「〘断罪ノ大鎌〙!」
「ギッ」
デススパイダーは体の中央で真っ二つにぶった切られた
「仲間も同罪だ、地獄の業火で焼け死ね。〘獄炎ノ檻〙」
ズドォォォォン!!
そしてデススパイダー×3は炎の球に囚われ灰となって燃え尽きた。
「、、はぁ、、、?」
フィオナ達は急に燃え尽きた魔物に呆然としていた。
ルナはふらふらと立ち上がる、目には涙をためていた
「のわぁるぅぅぅぅぅぅ!!!」
ひしと抱きついてくるルナ
「こわかったよぉぉぉぉ!!!」
「お〜よしよし、怖かったなぁ〜帰ったら美味しいもの食べようねぇ〜」
三人には虚空に抱きつくルナが見えているだろう
びえぇぇぇぇんと泣くルナをよしよしと撫でていると、
「ルナッ!!!」
3人が駆け寄ってくる
「ごめん、私が判断を間違った、アークデススパイダーは流石に怖かったな、
すまない、、、1匹ならともかく5は厳しかった。」
と、フィオナがルナに謝ってた
「ごめんねぇルナ、怖かったでしょ?」
ルナはスンスンと泣きながら、
「うん、こわかった。」
「今日はもう帰ろう、初日からきつかったな。」
「帰ったら唐揚げ食べよ、ルナ。」
そういい皆で地上に戻り、
食事をとった、
ルナはコレでもかとハンバーグと唐揚げを食べご満悦。
その後はお風呂で背中あらいっこした、、、らしい。
流石に風呂までは入っていないので知らん。
ちなみに銭湯の天井には侵入者対策用魔道具が設置されたらしく、
俺は安心して部屋でステイ出来た。
女性陣が銭湯でキャッキャしてる間、
部屋の布団の上で寝転がりだらけつつ鼻をほじり後頭部を掻きながら待機していると、
扉のドアノブがガチャリとなった
「ただいま〜」
その瞬間、コンマミリ秒で空中に飛び上がり、
鎌を背に腕と足を組んで優雅な対応をする準備を整えた。
「戻ったか。」
全員風呂上がりで体からわずかに湯気が出ていた。
ルナは前よりさらにピッカピカのふわっふわになっており
この時ばかりは骨で良かったと思った。
なぜなら、ルナは表情筋があったら全人類確実にニヤけるようなとろけ顔をしていたのだ。
思わずモフりに行きたくなる衝動を押さえつける。
「のわぁるおやすみ〜、、」
「うむ、よく寝ると良い。」
そう言い入れ替わりで外に出る
バタン。
「ルナ?ここにノワールさん居る?」
「、、ん、いない。」
それを聞き、私は2人に話しかけた
「なぁ、リン、シア、今日1日で、ルナとノワールのことをどう思った?」
二人は考えると
「ルナちゃんは普通に強いウィザードだねぇ、私達に無かった火力支援も出来るし、
なにより可愛くって他のパーティーにいかせたくない、それにこのフワフワを手放すなんて出来ないよぉ、
ねぇルナ〜」
「にゅ〜、、眠い、、」
「私も同意見、ルナちゃんとってもいい子だし、可愛いし、私としては大歓迎。」
「あぁ、私も同じだ。だが、、」
リンとシアは同じことを言う
「ノワールさんだよねぇ。」
「うん、底力が全く見えないや。」
「あぁ、ダンジョンで放ったあの魔法、、獄炎ノ檻だったか?
そんな魔法聞いたことがない。
あと、アークデススパイダーを真っ二つにしたあの実力、、」
シアは呟いた
「あの魔法、魔力量なら、おそらく、上級、、ううん、超上級魔法だと思う。
鎌の斬撃も、見た目より威力がありそう、同じく超上級魔法、そして2つとも、、
多分、独自魔法、、もしくは固有魔法。」
リンは疑問を話す
「おかしいのは威力だけじゃないよ、
詠唱はどこ行ったの?超上級ならもっと高位の詠唱があるはずじゃない?」
「う〜ん、、考えるだけ無駄な気がしてきた。
そもそも、、神様がなんでわざわざ加護対象について回ってるの?
それに、やけに真摯的だし、、神様って、もっと、神々しいというか、尊大なイメージだった。」
「ね〜、やけに低姿勢だし、不思議だよねぇ。せめて顔を見て話したいなぁ。」
「でも、悪い人じゃない、信用は出来ると思うな。」
「うん、私もおんなじ〜」
「私もだ。ひとまず寝よう、明日も早い、
明日こそ、ルナを危険な目に合わせないように、慎重に動こう。」
「あとは明日の昇格試験だねぇ、がんばろ!」
「うん、おやすみ〜」
「おやすみ。」
パチっと灯りが消える
「ふあぁぁぁ、、ふわふわぁ、、」
「みゅ〜、、」
「おいずるいぞリン、私だってもうちょっと楽しみたい、、」
「皆明日早いんだから、ひとまずルナは私が、、」
「お前がモフりたいだけだろうが、、」




