反撃の狼煙
相手の攻撃に臆することもなく陸自達の反撃が始まります。
闘技場内が湧き上がるかのように盛り上がり、プレイヤーとして戦いに出ていたルーシーが困惑する中、確実に巨大な壁を作った盾を持つ重騎士が勢い良く迫り狂っていた。
壁というにはあまりにも大きすぎた。
厚さや盾の向こうにいる重騎士の気迫だけではない!
逃れられない魔力の圧が、体を突き刺す等にビリビリと伝わってくる。
アリシアやティナは敏感に感じ取れるが故に徐々に血色が悪くなっているのは理解できるが、魔力を持たない自衛官達ですら苦い顔をし始めていた。
[ここで白騎士団に新たな動きがありました!
場外で待機していた龍騎士が出発!
これからどこかに飛んでいくみたいですが?
依然として、白騎士団の猛攻は続いています!]
場内のアナウンスに盛り上がりに拍車がかかり、白騎士団こそ最強という声が全てを包み込んだ!
「…心配か、アルバス」
「あぁ、あそこまでしてオスカー団長が瑠香さん達に牙を向く理由がわからないんだ
ルーシーの捜索願を出したときも、ちゃんと説明したんだ
あまりにも荷が重すぎると、それに俺の目はルーシーがアルメリアよりも遠い場所にいて、到底届かないと見抜いていたんだ」
「それでもやってのけると言い出したものなぁ」
「父上、オリオール様
談笑中に申し訳ありません
陸自の方が…あれは?」
闘技場のよりも遠く、中央府の中心から約20キロほど離れた場所に人だかりがあると臣民から連絡があったのだ、
ある程度離れたところに臣民が集まり何事かと、野次馬が殺到していたが近衛騎士団が入らないようにバリケードを作っていたのだ。
この決闘が始まる前に臣民に説明していたのだろう。
臣民も了解した上でその場所から離れたところで見学していたのだ。
「あれは一体何だというのでしょう?
門を守る大砲と形はどこか似てはいるのですが?」
魔神アルバスの千里眼は遠く離れた場所にある砲が、存在しているのを見た。
今まで生きていた分の知識をめぐらせるが、何をするものなのかわからない。
だが距離を離さなければならないとしたとき嫌な気配を感じ取った!
「悪いですが一時的にこの闘技場の結界を今強めました
あれは、間違いなく全てを吹き飛ばす!」
「メリーブあれはなんだと思う?
あんな遠くの街に、たかが五基ほど並べてたいしたことない」
「…そうですわね
それよりも、もう重騎士が迫っているというのになぜ反撃して来ないのでしょう?」
「我らの盾に恐れ慄いて手をこまねいてるだけの事だ
反撃もしようというその気すら起きないのだろう」
「私にはそうは見えないのです
まるで待っているかのようで」
たかを括るオスカーだが、メリーブの嫌な予感は半ば当たっていた。
壁が迫る中、陸自軍団は決して動かない。
魔力の変化に敏感なルーシーやティナが、VIP用の観客席にいるアルバスの魔力放出に、今から起こそうとする作戦の意図に気がついたのだと察知した。
「田中大隊長…もう間もなくです」
「わざわざ教えてくれてありがとう
ルーシーさん、嫌なものを見せるが許してくださんしょ」
「いいえ私には」
「安心してくださいな
魔性榴弾には、とびきりのものを入れてますので
誰も傷つけたりはしませんよ」
「まさか…ティナ、ニコル!?」
「「マジックフラワーのタネ入れておきました」」
「2人とも!」
「「みんなでやったのよ?」」
「アリシア、マリウスさんまで!」
『ルーシーさん以外全員で生成したんやが?』
「陸自の皆様も、警察3人組も…近衛の皆様も!」
一気に空気が柔らかくなり、嫌な緊張の糸がほぐれた。
何度も頷くルーシーを横目に、ティナは一番声をかけたい人間に無線通信を始める。
「ねぇ、聞こえる瑠香
もうすぐ、こっちは榴弾射撃が始まるの
そっちは?」
『もうすぐで到着するよ
ココさんとレイラさんがいるから安心してる
それに、レイラさんが無理やりイシスさんを城から引っ張り出して警戒させてるんだよ
さっき喧嘩したんだよ、私たち』
「まさか、イシス・ドラグーンさんと?!
お城から出て来なかったって聞いたけど!」
中央府を出立し、すぐに龍生府で出会い戦ったイシスが今は、レイラやココと共に空を駆け巡りながら瑠香と喧嘩を始める始末だ。
『今も文句言ってるよ
こっちも龍騎士と接敵する
抜けられれば晴れて空挺降下だよ』
「無線は一回切ったほうがいいね
そう、言いたいことがあったの
あいつらがいた」
「あいつら?」
「覚えていない?
私たちが旅を始めてすぐの時に出会ったあの4人組」
遠い記憶が音を立てて蘇る。
魔神の元に訪れ、パーティを結成して旅を始めてすぐの時。
4人組のパーティとやらに喧嘩を売られ、やり返したのを不意に思い出した。
確かそんなことがあったと瑠香は、思い出し効果準備をする忍やウィルムにも事情を説明した。
2人の反応は
そういえば、そんな4人組に会ったことあったな。
だ。
『確かヒョロと剣士のフィルと、忍にボコられたアレンと
詠唱使えるクララと魔法使いっぽいシャリーだったかな?』
「そうそう!
あいつら、頑張ってるみたい
やり返してきてるから、また4人でやっつける?」
『わかった…降下してちょっとしたらやり返しに行くか!』
「瑠香、ちゃんときてよ?」
『うん、レイラさんの手の中で作戦会議してる
ちゃんとくるよ』
射撃1分前と陸自のメンバーの1人、村上が叫んだ。
無線機越しに、ココとイシスの咆哮が聞こえ迎撃体制に入っていくと察知する。
それじゃあと無線を切り、心配そうだがどこか安心しているようなそんな優しい父親の空気を含んだ財前誠と目があった。
「心配ですか?」
「ちょっとだけ…心配です」
「大丈夫ですよ、あの3人なら大丈夫
必ずここにきますから」
「あの、財前さん
どうして小野さんに銃口突きつけられてるんですか?」
「あっ、修くんに頼まれてるんだ
親父の銃撃お願いしますって」
「えー?」
「息子ひどいよね、そう思うでしょ?
よし、まぁやろうか
特科に通告
T O T発射、地点示した通り…てぇ!」
赤い高速の放物線がアルメリアの空を切り裂いていく。
誰もが聞いたことのない凄まじい砲撃と共に、耐え難いほどの、衝撃波を生み出して1分もたたないうちにそれは闘技場の、上空で炸裂した。
やられた!
陸自陣営が低い位置に設けられていることに、メリーブはようやく気がつきことの重大さに遅れて気がついた。
白騎士団が誇る、巨大な盾も軽快な騎士も彼らの目の前では歯が立たない。
わざわざ闘技場の縁のギリギリに設けられ、丁寧に穴まで掘られた理由も今更気がついても遅かった。
となれば、守備に回っていた重騎士達は全て薙ぎ倒され、後方で控えていた騎士ももれなく…。
薙ぎ倒され蹂躙され、代わりに残ったのは綺麗なマジックフラワーに埋もれるファンシーな部下達がよほどかゆいのかどこからともなく、くしゃみをしこだまする声だけだ。
「空から何かきます!」
誰かが叫んだ。
もう遅かった。
誰もが見た。
ようやくきたかと、ティナとニコルだけではなく彼らを待つすべてが、声を上げて迎え入れる。
「なんちゃって空挺部隊参上だっちぃ!」
「「あの、第一空挺団って言って?」」
「おっす!」
今回陸自が持ってきたのはfh-70榴弾砲です
最大射程は約24キロほど。
東京からだとどれくらいかな?
あんまり分かりませんが…。
陣地を低くしたのも爆風で自分達が潰されないようにするためです。
櫓が高いと爆風に巻かれて…。
直下にいた重騎士や騎士は、やられてしまいましたが倒れてません。
マジックフラワーという、アルメリアでは子供達のイタズラグッズの餌食になってます。
次回は特殊戦が始まります
よろしくお願いします!




