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ジョブを奪われてしまった、ただしそれは最強になる鍵だった  作者: 甲羅に籠る亀


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1話

 「レン。汝のジョブは武聖、賢者、教皇なり!!」


 村の司祭が神々から授かったジョブの名前を告げたのと同時に教会内で子供たちがジョブを授かるのを見守っていた村人たちの騒めきが聞こえてきた中で、体にジョブの補正の力が溢れ出し、頭の中にはジョブの圧縮された様な大量のジョブの知識が送り込まれたのを俺は感じていた。


 「ッ!?」


 「大丈夫ですか?」


 「大丈夫、立ちくらみがあっただけだから。」


 さっきまで体から感じていた力が抜け出た感じがして立ちくらみしてしまった。


 あれはなんだったんだろう?と疑問に思いながらジョブを授かった時に感じていた万能感の様な力がなくなってしまったことを不思議に思いながらも両親の元に向かう。


 その途中で俺の方を見てニヤニヤとした笑い顔をしている村長の息子のアークスの姿が視界に入った。


 なんであんなに笑っているんだ?と疑問に思う。アークスは傲慢で村の子供の中でも嫌な奴だが村長の子供だという事もあって誰も逆らえない奴だ。


 そんな傲慢な性格をしているアークスが、俺がジョブの中でもかなり良いジョブを授かったのにニヤニヤと笑うのが不思議でしょうがない。


 疑問に思いながら両親の元に向かうまでに転生する時からこれまでの間のことを思い出す。


 あれは俺や他の4人が転生の間とでも呼ぶべきところに呼ばれた時のことだ。


 「世界の循環の為に、これからこの場の5人には私の世界に転生して貰う。それぞれ生前の徳を参考にしたポイントでどの様なギフトを授かりたいかを考えなさい。これから5人が転生する先の情報を予め渡しておく。」


 人型の光である目の前の神と呼べる様な超常の存在がそう言い終えたのと同時に頭の中に転生先の情報が流れ記憶されていく。


 情報の中で重要な事はレベル、ジョブ、モンスターの3つだろう。


 人類の魂や肉体の器を広げるのがレベル。レベルを上げればその分だけ器が大きくなりより強く成長できる可能性が増える。


 ジョブは生き方に関わっていく。戦闘用のジョブなら戦闘に、生産用のジョブなら生産に関わる仕事に付くのがいい。


 最後のモンスターが問題だ。モンスターは神が人類に試練を与える為に作り出された存在らしく、これから転生する世界では生きていくのにモンスターとの関わりは避けられないそうだ。


 他にも色々な情報がある中で俺は考える。どんなギフトがいいのかを。戦闘に役に立つ力がいいか、それとも生活に役立つ力がいいかを。


 考えた結果、2つのギフトを思い付いて目の前の神に伝えようとしたが。


 「君の徳なら問題なく2つともギフトとして付与できるよ。こんな感じでどうかな?」


 考えている事を読み取られたらしく俺の頭の中に考えていた力をギフトとして付与するのならこう言ったギフトになると頭に直接教えられた。


記憶図書館 

前世も含めて今までの全ての記憶した情報を本の様にして思い出せる様になる。


無病健康

病気、毒、呪いなどに罹らずに健康的に肉体と精神を成長させられる。


 俺としてはこれで問題ない。記憶を思い出せる様にするとか、病気にならない様にするとか、の大雑把な事を考えていたからこれで良かった気がする。


 「与えるギフトはこれでいいとして、まだ徳ポイントは残っているけど、欲しいギフトがないのなら転生先のジョブを良くするのはどうかな?2段階は上げられる。」


 ならそれでお願いしようと思う。特に思い付かないし。転生先のジョブが強ければ楽に生きていけるだろうし。


 そうしてギフトを決めた俺は転生して狩人のジョブを待つ父と料理人と薬師のダブルジョブの母のことして生まれた。


 転生後は生まれたばかりの頃から記憶があった。多分ギフト記憶図書館の効果なのだと思う。


 赤ちゃんとしての生理的な物は体が勝手にやってくれていたが、それ以外は暇でこの世界にある超常的な力の魔力で遊んでいた。


 転生の間で与えられた知識としては魔力の存在を知っていたからこそ、魔力を感じ取れる様になるまで時間が掛かっても問題なかった。


 それからは1人で家の外に出られる様になるまで暇だったからこそ魔力をいじったりしながら暮らしていた。


 1人で外に出られる様になった頃に同年代の村の子供たちと出会った。


 同い年は俺を入れても3人しか居なかった。俺、村長の息子のアークス、神父の娘の3人が同年代だ。


 もちろん俺たちと同じ年の子供たちが3人なだけで10歳までの子供の数はもっと多い。


 そんな子供たちとは俺は遊ばずに父からは父のジョブである狩人としての知識や弓や罠や解体などを教わり、母からは料理人と薬師としての知識に料理や調合のやり方を教わって過ごしていた。


 両親としては友達を作って欲しかったらしいけど、俺としては両親から教わっていた方が楽しかったし俺自身のためになった。


 自己研鑽に時間を費やして過ごしていた俺だったが、俺が8歳の頃に母が双子の妹と弟を産んだ。


 この頃から妹と弟の世話も加わって同年代の子供たちと会ったら挨拶する程度の関係になっていた。


 前世では下に兄弟は居なかったからこそ双子との関わりは大変だったが嫌ではなく、自己研鑽の時間が減っていた。


 10歳になる歳の年始のジョブを授かったのが今日という訳だ。


 これまでの暮らしを思い出しながら家族の元に合流する。


 「おめでとうレン。トリプルジョブなんて凄いじゃないか。」


 「そうね、あなた。レン、おめでとう。」


 「「お兄ちゃん、凄いね!!」」


 「ありがとう。」


 家族に祝って貰っていると次はアークスがジョブを授かる番になっていた。


 「アークス。汝のジョブは武聖、賢者、教皇なり!!」


 「よっしゃー!!やったぜ!トリプルジョブ!!!」


 教会に響いたそんな声に再び、いや俺の時よりも騒めきは凄かった。全く同じジョブをそれも最高峰に近いジョブである武聖、賢者、教皇の3つを授かったのだから。


 こんな偶然があるんだなー。と家族で話している時にアークスが俺の方を見てニヤッと笑ったのには不思議だったがこんな事もあるのだろう。


 ジョブを授かるのがアークスが最後だった為に解散する事になり、俺は家族と家に帰りながらジョブを授かった時にあった万能感が完全に無くなっているのが不思議に思いながら、その日は母が作った豪勢なお祝いの料理を食べるのだった。

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