表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嗤う道化は殺されない  作者: からう
笑わぬ子供は憧れる
10/35

笑わぬ子供は試練に向けて・Ⅴ

 昨日は血の魔法に柔軟性を持たせる方法を覚えた。これで実験も捗るだろう。


(さて今日は一撃で狩る方法か。一撃で狩るって事は確実に急所を狙うだろうから正面戦闘でも使えそうだな)


 そんな事を考えながら、アガルタを出て、森に入り、いつもの場所に行く。


「ロビン、来たぞ」

「おう、待ってたぜ」


 いつも通り、その辺に座ると、授業が始まる。


「さて、今回教える一撃で仕留める狩りだが、教える事がほとんど無いんだよな。と言う訳で、どこを狙うか、どこに隠れるか、仕留めた獲物の処理の仕方を教える」

「わかった」

「まずはどこを狙うかだ。奇襲なら前にも言ったが、人型は首、動物型は心臓だ。人は首を落とすと体は動かなくなる。目や口は少しなら動かせる奴もいるけどな。動物型のモンスターは、首を落としても少しの間、動ける奴が意外といる。攻撃を外しそうな時は人型なら腕、動物型は前足を狙え」

「人型の腕を狙うのはわかる。狙いやすいし、腕は必要だ。だが動物型は何で前足なんでだ? 走る時に必要なのは後ろ足なのでは?」

「それはな、四足歩行する動物ってのは、頭が前に出てるだろ?頭が前に出てる分、重心は前にあるし、心臓も前にあるから狙いやすいんだ。それと後で話すが、後ろ足が無くなると血抜きが難しくなる」

「なるほど。心臓が前にあるのか。それなら納得だ」

「疑問が解消されたところで、次の話だ。次はどこに隠れるかだ。動物型で森なら木の上から飛び降り、心臓を貫き、串刺しにして動けなくしろ。開けた場所なら、獲物より風下側から弓で心臓を撃て。人型で森なら、木や草の後ろから飛び出て、首を切り落とす。開けた場所なら、弓で頭を撃て。これが基本だ」

「群れだったら、どいつから狙えば良い?」

「群れのリーダー一択だ。リーダーを失えば、動揺もするし、連携もすぐには取れなくなる」

「わかった」

「さて、これで基本的な狩りは教えたわけだ。ここからは、狩った後の話だ。此処にウルフを用意した。こいつを解体しながら説明していく。狩った後、まずやるべきなのは頭と前足を切断する事だ。頭と前足の切断が済んでるなら、そのまま血抜きだ。人は血を消化できないし、まずいからな。やり方は、後ろ脚を頑丈な縄で縛り、木の太めの枝などに結び、頭を下にし、血を出させる。この時前足を切っておかないと前足に血が溜まってしまう。だからちゃんと落とせよ。後、地面に穴を掘っておくと、血が広がらずに済む。血が出きったら次は皮を剥ぐ。上の方から、丁寧にナイフを使って剥いでいく。皮を剥ぎ終わったら、地面に布を敷いて、布の上にウルフを下ろして内臓を取っていく。内臓を出したら、一度洗う。この近くに川が無かったから、今はできないが、このタイミングで、腹とか首とかを洗う。汚れと残った少しの血を綺麗にする。後は何個かに切る。これで解体は終わりだ。後は売るだけだな」

「なるほど。かなり大変だな。これは」

「大変だが、解体しないと売る時に安くなるし、自分で食べる時もまずくなる」

「安くなるのは困るな。金が無いと次の狩りが大変だ」

「そういう事だ。わかってきたじゃないか。金が無いと矢の補給が難しく、武器の手入れができないからな。さて、少し時間もあるし魔法の話でもしようか」


(そうだ! 一つ聞きたい事があったんだ)


「そうしよう。さっそくだが一つ気になっている事があるから、それについて聞いても良いか?」

「なんだ? 俺が分かるなら、答えよう」

「最初に会った時に使ってた魔法の武器があるだろ? あの魔法を開発してる時に、魔力を圧縮してたら爆発したんだが、あれは何だ?」

「それは特殊無属性魔法の一つだな」

「特殊無属性魔法?」

「無属性魔法だから魔法を使える奴なら誰でも使えるが、扱いが難しかったり、魔法使いからは使われない魔法の総称だ。後は術式を使わない魔法もこれに分類される。だからお前さんが使っていた武器を作るのも特殊無属性魔法だ」

「そうなのか! 他にはどんな魔法があるんだ?」

「じゃあ今日は、特殊無属性魔法について教えよう」


 枝を持ち、地面に色々書きながら教えてくれる。


「一つ目は、お前さんが使った魔法からだ。お前さんが使ったのは……」


 爆発魔法……この魔法は魔力を圧縮する事で、魔力を爆発させる超攻撃型無属性魔法。高い威力と範囲を持ち、無属性最強の魔法。莫大な魔力を持つ者が使えば、殺傷力は光属性魔法に近く、範囲は火属性魔法に近い。欠点は圧倒的な魔力消費。高い威力を発揮するには莫大な魔力が必要。一流の魔法使いでも広範囲爆発を使う事は出来ない。そのため使う者は片手で数えられる程しか居ない。


「危険な魔法だな……。危なかった」

「人を殺す程の威力を出すには、お前さんが十人は必要だろうから大丈夫だ」

「……なあ、僕って魔力量少ないのか?」

「魔法が使える時点で少なくは無いだろう。ただ魔法を使える者達の中だと、中の上って所だな」

「そうか。中の上なら良い方だな」

「さて、次の魔法だ。次は……」


 強化魔法……この魔法は、体内で魔力に流れを作り、攻撃と魔力の流れを一致させる事で、攻撃の威力を上げる魔法。特殊無属性魔法の中で最も使用者が多いであろう魔法。この魔法の利点は、魔力を体内で動かすだけの為、魔力の消費が無い所。その為、魔法が使えなくとも短時間であれば使う事が可能。ただし、長時間使うと生命維持に必要な魔力を供給できず、死ぬ場合がある。一流の冒険者で、近接戦を行う者達は皆使っている。欠点は魔力量によって色々と変わる所。魔力量が多いと発動は難しいが、一撃の威力が高くなる。魔力量が少ないと、魔力を感じる事は難しいが、魔力を感じる事が出来れば発動は簡単で、一撃の威力が低い。


「魔力量が多ければ多いほど使えた時の恩恵は大きい訳だ。僕は魔力量的にも長時間使えそうだ。練習する価値は高そうだ」

「そうだな。お前さんは近接戦闘も出来るんだから覚えるべきだ。今日は次が最後だな。次は……」


 魔貫通魔法……この魔法は、相手の体内に直接魔力を流し、内臓にダメージを与える魔法。利点は、防御を無視できる所。いくら頑丈な鎧を着ていても防ぐ事は出来ない。腕で防いでも、内臓までダメージは通らなくても腕は使えなくなる程の威力を持つ。この魔法を応用して他人に魔力を分け与える事も出来る。欠点は、相手が大量の魔力を持っていると、魔力に防がれる事がある所。格闘を使う者が、強化魔法と合わせて使う事が多い。


「さて、特殊無属性魔法はこんなもんだ。そろそろ良い時間だろ。今日は解散だ」

「わかった。じゃあまた明日」

「おう」


 ロビンと別れ、屋敷に帰る。

 屋敷に帰るとすぐに自分の部屋へ行き、ベッドの下に血の魔法を使って、地下への通路を開く。通路を通り、地下室に向かう。


(昨日は研究できなかったからな。今日はいろいろできそうだ)


   ラクーンの研究ノート・ページⅡ


      実験・Ⅱ柔軟性

 この実験は、どちらが鞭などの撓りがあるかを調べる研究していく。血の魔法の柔軟性に関しては、最大限柔らかくする。


 同じ形の鞭の場合……威力自体は血で作られた物の方が高かったが、しなり具合でいうならば魔法の方が高かった


 同じ形の弓の場合……血で作った矢は空中で普通の血に戻ってしまう為、矢に関しては魔法で作る事にする。結果は、血で作った弓は弦が堅く、威力は高かったが、矢を引くのに力が必要で、矢を引くのに時間がかかり、使いにくい。魔法で作った弓は、血で作った弓ほど弦が堅くなく、威力は劣るが、使いやすい。使い分けが大事そうだ。


 同じ形の縄や紐の場合……結果は強度は血の魔法の方が上だが、堅くて使いにくい。


 今回と前回の実験でわかった事は、基本的には血の魔法は、魔力武装の上位互換だが、しなりにくく普段使いが悪い。しかし剣や槍などの強度が大事な物は血の魔法が優れている。

使い分け方としては、剣、槍、刀、斧、遠距離からの弓での狙撃、堅い相手に対した時の弓は血の魔法。鞭、縄、矢、普段使う弓は魔力武装が良い事がわかった。



    ラクーンの研究ノート・ページⅢ


      実験・Ⅲ血に戻る条件

 今回の実験は、血の魔法で固まった血が、通常の血に戻る条件を研究していく。

自分から離れてすぐに血に戻るのであれば、針として投げる事も出来ない事になるが、それが可能である以上、条件があるはずだ。


 仮説・Ⅰ距離……この仮説は、自分から一定の距離離れると血の戻るのではないか?と言う実験だ。実験方法は、血の針を一定の間隔で刺し、血に戻る距離を測るだけである。

結果は、距離は関係ない事がわかった。しかし、この実験を行った結果、血の針は手を離れてから五秒後に血に戻ることが分かった。この結果から考察すると、血の魔法が手に触れている間血に戻らないのは、手か体に秘密がある事がわかる。


 仮説・Ⅱ手に秘密がある可能性……この仮説は、先ほどの実験の結果を考え、血の魔法を維持する事ができるのは、手で触れているからだという仮説。この仮説が正しいかどうか確かめる実験は、血の針を足で持ってみて維持できるかどうかを検証する。

結果は維持できた。つまり血の魔法を維持する条件は、体に有る事がわかった。


 仮説・Ⅲ魔力……この仮説は先ほどまでの実験の結果とロビンから教えてもらった魔力についての話を合わせて考え、血の魔法は自分の魔力に触れていないと維持できない、という仮説だ。実験方法は、<魔糸>と<固定>を使い、血の針に魔糸をくっつけて、魔糸を持ったまま血の針を壁に投げ、血に戻るかどうか確かめる。結果は、正解だった。どうやら自分の魔力に触れていれば血に戻らない事がわかった。この事がわかった事で、血の魔法を遠距離攻撃に用いる事が出来るとわかった。しかし、魔力の糸で繋がっていると言う事は相手に利用される可能性もあるし、糸をたどれば自分にたどり着いてしまう為、矢に関しては魔力武装を使った方がいいだろう。


 血を使った為、今日の実験は終わりにする。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

面白いと思って頂けたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ