表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/169

3-1 トバン王国戦

読「本田紬よ、しんどかったら休んでもいいのよ? しかし、前書きはきちんと書くのだー」

紬「なにぃ!? それでは休みにならんではないか!!」

読「前書きこそが本編、茶番こそが至高! ふはははは」

紬「ここの茶番考えるのにも結構エネルギー使うんだぞ!」

読「茶番は義務だ! 本編があるのは当たり前だ! お前この前勝手に茶番削除してただろ!!」

紬「すでにこの小説は書籍化が決まってるんだ! ブックマーク自制運動なんてしてたら幻冬舎コミックス様やイラスト担当の白梅ナズナ大先生やサポートしてくれる博〇堂の方に悪いだろうが!!」

読「ふはははは、そんな事は知らん! 消すならば、あらたな茶番を! 感想が欲しければ茶番をかけ! ホレホレ」

紬「あぁ! それは「作品肯定意見100%」の感想! 分かりました、茶番を書きますんで感想を下さい!」

読「ホレホレ」

紬「わんわん」



みたいな感じですかね、今。



「聞いていたとはいえ、あの巨体はすごいな…………」

 かなり遠くからでも蟲人の巨体が近づいて来るのが分かる。その数は二千ほどであろうか。先頭にはどこかで見たことのある蟲人がいた。ガ=クヨである。

「トバン王国の総力は二万、普通であれば負けるわけがないとは思うが、一人一人の強さが全く違うだろう。正直、恐怖に駆られて戦えない者もでてくるのであれば戦力差としては向こうが上か……ふむ」

 ベナ=トバンは若さとは裏腹に物事を冷静に見る事のできる人物のようだ。だが、実際の実力はどうなのだろうか。戦場では後方から指揮をしている姿しか目撃されていない。

「ラッセ、中央軍を率いろ。邪王殿には遊撃隊を率いていただきましょうかな」

「俺が兵士を率いるんですか? そんな役が務まるかどうか……」

 ラッセが前線に出ていく。もう少しで戦端が開かれそうだ。

「なに、この国でも「邪王」シウバ=リヒテンブルグを知らない者はいませんよ。それに、あなたなら遊撃隊を率いなくても単独で王の首を飛ばせるでしょう。我らの遊撃隊はたまたまあなたの後ろをついて行くだけです」

「買いかぶりすぎでしょう」

「ふっ、あの「邪王」を評価しなかったら、誰を評価すればいいのやら」

「俺は、仲間に支えられているだけですので」

 すると、一人の魔人族が近づいて来た。

「遊撃隊を率いております、レイドームと言います。邪王陛下をお守りします」

「レイドームはネイル国とリヒテンブルグ王国との戦いで死んだホーリーの弟だ。まあ、あれでホーリーが死んだのはヴァレンタインの策略だろうがな」

 どっちにしても俺の身内じゃねえかよ。やりづらい事この上ない。

「私の遊撃隊は魔獣に騎乗した二千ほどになります。お好きなように使ってください」

「我らはこれから総力戦に出る。遊撃隊の判断はお任せした。こいつらを死兵として使い、王の首を取ってくれても構わん。レイドームは喜んで死ぬだろう」

 本人の前で死兵とか言ってる……。そして、それを当たり前のようにしているレイドーム。この国は意外と侮れないのかもしれない。

「ありがたい話ですが、死兵は性に合いません。損害をできるだけ少なくお返しする事にしましょう」

「そうでしたな、四万の命を救った「邪王」殿に言う言葉ではなかったな。許されよ」


「得意魔法はなんですか?」

「私は破壊魔法が得意ですね。ですが、魔獣に騎乗した状態での槍を使います」

「補助魔法は?」

「多少は、ですが主体として使う事はありません」

 重ね掛けドーピングでなんとかしようかと思ったが、補助魔法が使える味方がいなければちょっときつい。ここは正攻法で、王の首を狙っていくのがいいだろう。

「でしたら、まずは少し戦場から離れましょう。後方より、左右どちらかに展開して相手の気を引きます。行きましょう」

 遊撃隊に先行するように俺のフェンリルが走る。右翼よりもさらに右側へと移動する二千の騎馬隊に蟲人たちが気づいたようだ。


 実はこの遊撃隊で無理な突撃をかけるつもりはない。最後の最後だけ、かっさらう事ができたら一番いいだろう。まずは足並みを乱す事が重要である。

「このまま大きく後ろに迂回すると見せかけます」

 さきほどまで直進していたはずの蟲人の集団が若干膨らみ始めた。こちらを意識しだしたのだろう。平地で戦うというのは、巨体にとっていい事なのかどうかは分からないが、姿を隠せない分、こちらが不利かもしれない。

 トバン軍の中央ではラッセ将軍が防御の陣形を敷いている。あいての突撃力はかなりのものであり、それをラッセも知っているはずであるが、打開策があるのだろうか。蟲人の集団の戦闘に立っていたガ=クヨが突撃していくのが分かる。一般的な蟲人よりも少しだけ身長が高いガ=クヨはかなり大きな剣を持っていた。あれを防げる奴は少ないだろう。

「レイドーム殿、王を見つけましょう。まずはそこからです」

「はっ!」

 遊撃隊が左側から近づいて来るのを見て、蟲人の集団もそれに対応しようとした。先頭付近の数名がこちらへ向かってくる。ヘタすると騎獣よりも奴らの足の方が速いのだ。うかつに射程範囲に入るわけにはいかない。

「誘うようにして、一旦離脱します。王を見つけたら教えてください」

「分かりました!」

 少しだけ乱れた陣形を確認して、右側へと進路を変える。先頭の集団からは離れるが、後方の集団の中でも右翼にあたる蟲人たちがこちらへと膨らみ始めた。集団でも戦いはあまりなっていないと感じる。しかし、先程からあまり号令のようなものが出ていないが、どの蟲人も意志を持った集団のように動き、違和感がある。

「見えました! 中央にそれらしきデカい腹の蟲人がいます!」

 女王を発見したようだ。明らかに他の蟲人と様子が違うらしい。森の中で数百の蟲人に襲われた時は後れを取ったが、実際の戦闘能力はずば抜けているわけではない。名誉挽回といこう。

「もう一度、近づきます。一旦ぶつかったらすぐに離脱を!」

「分かりました!」

「俺はその先に入りますんで、隊の指揮を任せます!」

「えっ!?」

 遊撃隊を率いて、蟲人の集団の中央から後方へと突撃した。さすがに一人一人がデカい。騎獣に乗っていても見上げる必要がある。俺は先頭で数名の蟲人の手足を飛ばしながら突撃し、右方向へ離脱した。後ろから遊撃隊が付いて来ている。蟲人の集団の右側をかすめたような形になった。

「レイドーム殿!! 離脱を! 迂回して本体に合流するように!」

「わ、分かりました!」

 ペリグリンを召喚して乗り換える。急上昇したぺルグリンに捕まり、上空から蟲人の集団を確認すると瞬時に下降した。その動きについてこれる者はいない。

「炎剣舞!!」

 集団の中央にいた腹部が大きくなっている蟲人を切り裂く。いきなり上空から現れた俺に気づくこともなく、首が飛んだ。さらに腹部も切り裂き、フレイムバーストでとどめを刺す。再度上空へ跳躍し、ペリグリンに乗り直すと、周囲の蟲人たちが斬りかかってくるのを無視して上空へと逃れた。


「小人族めがぁぁ!!」

 数千の蟲人が怒り狂う。ほとんどの蟲人が俺の方を見て叫んでいた。それだけ、彼らにとって新たな女王は大切な人物だったのだろう。


「総攻撃!!」

 ラッセ将軍の指示が飛ぶ。集団での破壊魔法に足並みが乱れた蟲人は次々と討ちとられていった。

「貴様ぁぁ!!」

 先頭で戦っていたはずのガ=クヨが向かってくる。しかし、こちらはまだ上空である。ペリグリンが急下降する。ミスリルソードを鞘にしまい、アダマンタイト製の剣を両手持ちする。そして、すれ違いざまに斬りつけた。最速を誇るペリグリンの速度が剣に乗る。胴体を真っ二つに斬られ、ガ=クヨが倒れた。

「「邪王」に続けぇ!!」

 ベナ=トバンの号令とともにトバン軍の攻撃がさらに苛烈になった。これ以上は必要ないだろう。本営に合流していたレイドームの遊撃隊の所へと戻る。


「噂以上の豪傑ですな!!」

 興奮状態にあるレイドームであったが、すぐにベナ=トバンから攻撃に加わるようにと指示が出たらしく、名残惜しそうに突撃していった。

「いくら蟲人といえど、「邪王」の前では等しく弱者、ですな」

「なんですか、それ?」

「エレメント平原の戦いの生き残りの証言らしいです。誰であろうと「邪王」の前では等しく弱者。トバン王国では有名な言葉ですよ」

 噂が独り歩きしている。しかし、汚名を雪ぐことができてよかった。


 戦闘終了後、蟲人の数を数えてもらったが、二千強しかいなかった。まだ、七千近くがどこかにいる。そして、それは今までに戦った蟲人よりも強く、さらには増えていく可能性もあった。完全に勝ち戦であったはずのトバン王国軍はその一割にもおよぶ損害が出ていたという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ