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1-3 各国の代表

前回までのあらすじ!


虫だー!


と、行っても人型ですよ! ちょっと皮膚が硬くて4mあるだけの!


人なのか!?


人です!! ← イマココ!!

 ゴゼの大空洞には同胞がひしめき合っていた。こんなに密集したとしても、我々は安堵を感ずることはあっても他の人類のようにいがみ合うことなどない。やつらはごく一部の者としか抱き合って寝ることができないのだ。たとえそれが共に魔物と戦って来た同胞だとしても。

 たまに付近を訪れる人類を捕獲し、知識や物資を奪うという事を続けていた。それは我が生まれる何十年もから行われている。剣などの狩りに使う道具の作り方もそれで覚えた。それらのほとんどが魔人族であり、他にも純人や獣人、亜人などといった種類の小人族がいるという事は把握してある。しかし、南に行ったところは魔人族の住処であり、他の人類はあまりいない。

 すでにここだけでは生活をする事が苦しくなってきた。食料が足りないのだ。この集団を維持するために必要な食料を確保するためには多くの魔物を狩らねばならなかった。しかし、今までは地上には我々の進出を拒むような魔物がいた。それが「天龍」である。

 これまでに地上に進出した多くの同胞はこの天龍にやられたのだと思われた。そのためゴゼの大空洞に住み着いた我々以外の同胞を見た事がない。魔物はあまり魔物を襲わない。我々は「人」と認識されるようだ。

 だが、そんな我々に転機が訪れる。


「ガ=クキよ、感ずるか?」

 母の声はどこにいても感じる事ができる。それが聞こえるはずのない距離だとしてもだ。

「魔力が、尽きた」

 魔人族と違い、我々は魔法を使う事が少ない。強靭な肉体が魔物を狩るのには十分だった。だが、それでも天龍には勝てない。そして我々は魔法を学んだ。しかし、それでも無理だった。

「子らよ、天龍を……狩れ」

 同胞たちを率いて地上へ出ると、そこには魔力の枯渇した大地が広がっていた。今までは充満していた力が抜けるようで、そして見つかる魔物の多くはその動きを鈍らせていた。命は魔力を必要としないが、魔物は違う。我らは天龍を探した。


 魔力が尽きた天龍が我らと戦い、地に伏すまでに多くの同胞がやられた。だが、その犠牲が無駄であったわけではない。天龍の死骸は大空洞に運び込まれた。そして、我らは天龍を食らった。天龍を最も多く食らうと、母は言った。

「王が生まれる」

 思考が繋がる我らにとって、王の誕生ほどに嬉しいことはない。我らは女王ガ=メイのために獲物を運び続けた。天龍はもういない。そしてそれは魔力が戻った頃には我らの同胞の数は増えに増え続け、天敵のいないこの土地で食料が足りなくなるほどに増えるとは思わなかった。ガ=メイは多くの同胞を生んだ。そして足りない食料を求めて、移住が必要であった。目指すは南である。我らの繁栄のためは何人たりとも阻止できないはずだ。他の人類は滅ぼせばいい。


「ゴ=ロンがいない」

「デ=ユダもだ」

 そんな時に不自然に消息を絶った同胞がいた。どちらも精強な戦士であり、やすやすと魔物に殺されるような人物ではなかったはずだ。だが、心配する事はない。我らは思考が繋がっているのだ。

 しかし、それが仇となることを思い知った。ゴ=ロンもデ=ユダもある小人に捕まって拷問を受けたのだ。その苦しみは我らにも伝わり、同胞の多くが怒りに打ち震えた。

「あれ? ばれたんだ」

 その小人は我らに見つかった事が意外だったようだ。小人は同胞と思考がつながっていないからだと思われる。我は同胞を率いてその小人を襲った。ほとんどの同胞が同行を申し出た。その数は万を越した。

 その小人は自分を神だと言った。事実、その力は魔力が満ちていた時の天龍をも凌駕していた。しかし、我々はその天龍を食らい、力を奪い、数を増やし続けていたのだ。数千の同胞の犠牲の下、我は神に一太刀入れた。明らかに内臓まで達する致命傷であったが、それでも神は死ぬことはなく、最後は我らの前から姿を消した。それ以降は誰も神を見ていない。

「神を退けた。我らに怖い者はない。増えよ、奪え、そして神を食らえ」

 女王ガ=メイの志は我らに浸透していく。神によって同胞の数は減ったが、すぐにももとに戻るだろう。そして…………。


 もうすぐ生まれてくる我らの王は神を越えるに違いない。



 ***



「なあ、坊や。戦争ってのは仕方がないもんだ。相手を憎む事はある。でも誰にもどうしようもない事があるから、人は前を向いて行かなきゃならん」

「ミランダ将軍、私を坊やと呼ぶのはやめていただきたい」

「坊やに坊やと言って何が悪いんだ? ブルーム=バイオレット」

 野営地の雰囲気は最悪である。ここに10人ほどがいて、さらにその10人は世界最強とまで言われている各国の代表だ。国の威信をかけて派遣してきたというくらいの豪華メンバーである。

「お前が親父さんを大召喚士に殺されて憎む気持ちは理解できる。しかし、あれはエレメント魔人国がヴァレンタイン王国に攻めいった結果だ。そしてお前の父親はそこで散った。それだけだ。大召喚士が悪いわけではない。それどころか、こいつは国の英雄だ」

 ギリッっと、歯を噛み締める表情でブルーム=バイオレットがミランダを睨みつける。しかし、そんな態度をとっていると、フランさんに殺されるぞ?

「お前に何が理解できる!?」

「できるさ。同じ境遇の人間なんてごまんといる。それに私の恋人の仇が私の師匠を部下に引き抜いて、そこでのうのうと妻同伴で飯を食っている。お前の方がマシだと思うがな」

 へえ、そんなやつがここにいるのか。ミランダ将軍も大変だな。

「ネイル国の英雄イレクトを暗殺し、あまつさえヨシュア将軍を降し、そのまま部下として引き抜いたのはそこにいる「邪王」だ。お前もその力の前に膝を屈しただろう? 恨む気持ちにもなれんほどの強大な力だぞ?」

 俺か!? まじかよ!!

「護衛に付けていた精鋭を皆殺し、その先のイレクトを殺したのは舞うように飛ぶ斬撃、今まで分からなかったが、先程合点がいった。お前しかいない。違うか? 「邪王」?」

 野営地を作る時に魔物と戦ったのだが、その際にミランダがじっとこちらを見ていたような気がした。そういう事だったのか!!

「別にそこの坊やと違って恨んじゃいない。戦争だった。それだけだ……。」

「ミランダ殿、ハルキ殿、私が大人げなかったようだ。許されよ」

 ブルーム=バイオレットが頭を下げた。


「おし、仲直りも済んだところで飯食って寝ろ。明日にはゴゼの大空洞に到着するんだぞ」

 テツヤ様が最後を締めた。しかし、この先不安がなくなったわけではない。

「ふむ、ユーナ殿。おかわりをくれ」

「はい、どうぞー!」

「コレハ美味イ」

「ありがとうございます!」

 向こうでビューリングとジルがおかわりを食いまくっている。たまたまグレートデビルブルを見つけたので狩ったのだ。ハルキ様以外は全員携帯食を食べるつもりだったらしく、ろくな料理の準備もしてこなかった。そこでユーナがシチューを作って皆に振る舞っている。

「しかし、実は「邪王」がレイクサイドの人間だったなんて……」

 トバン王国代表のラッセ将軍が呟いた。いつの間に横に来ていたんだろうか。

「成り行きでして」

 

 食事を終えたハルキ様はすでにフェンリルのベッドで寝てしまっている。ブルームに睨まれた事なんて気にしないなんてさすがだと思ってたら、ビューリングさんが後で「あれはヘコんでただけだ」と教えてくれた。やっぱりヘタレだったんだな。


やっべ、M崎さんが発売まで完結すんなって言ってたのに、バグ話はじめちゃった。まだ発売まで一ヶ月あるぢゃん。

どうしよう。

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