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3-3 Sランク冒険者

前回までのあらすじ!


書籍化だ! それは本編には関係ないぞ!


魔王やめた! ← イマココ!


「いくら自由とはいえ、きちんと有事の際には帰ってくることと、冒険者ギルドの依頼は率先して受けて下さいよ!!」

 新魔王の就任を祝う宴が終わり、翌日になってナノが冷静になる前に出発をしようと思ったが、さすがに見つかった。しかし、あれだけ大々的にやってしまったものは仕方がない。ナノ=リヒテンブルグは二代目の魔王となってしまったのだ。やっぱり、おかしくね? という声が多方から上がるが、もう引き返せない。

「もともと第6特殊部隊で冒険者をしてたのも、騎士団とか領地系統の任務が俺たちの性に合ってなかったからなんだよ。つまり、これが最も自然な形なんだ。」

「言いたいことは分かってますが、シウバ様をたよりにしてる人も多いんですから」

「それは言うなって」


 別れと言っても、当面は首都「リヒテンブルグ」を中心に活動するつもりだった。さすがに俺の顔を知っている奴が結構な数いると思われるので、兜を用意してある。そしてデビルモスの漆黒のマントも目立つから、一般的なマントを羽織る事になった。ユーナも額当てをしてみたりして雰囲気を変えている。黒龍革の装備はそのままだけど、クロウに頼んで見た目を少し冒険者仕様のものに替えてもらっている。

「二人で冒険者なんて久しぶりだね!」

「そうだね、今回はお金のためじゃなくてギルド活性化のためだから依頼の受け方も変わってくるけど」

「関係ないわよ! お金のために依頼を受けてれば活性化するわ!」

 ちなみにギルドカードは偽造した。俺はフォレストと名乗り、ユーナは…………。

「それじゃ私はアイリスって名乗るわ! 昔飼ってた馬の名前なの!」

 ここでは皇后である「疾風」ユーナ=リヒテンブルグの名前もかなり有名だ。シウバとユーナの名前で依頼を受けようものならば、すぐにばれるだろう。先日、ナノと一緒に依頼を受けたあともギルドは大騒ぎだったらしい。


 冒険者ギルドへ行く。首都「リヒテンブルグ」のギルドはそこそこ大きな建物であるが、人が多いわけではない。ただし、依頼の数はそれなりに多く、その中には狩猟部隊に頼まなければならないものも重複してある。とりあえず、昨日のうちにギルド長を呼んでもらって騒ぎにしたりばらしたら許さんと脅してあるから大丈夫だろう。

「ふぉ、フォレストさん、ようこそ冒険者ギルドへ」

 だめだ、こいつ。ギルド長がそんな腰が低くてどうするんだ? 普段はもっと威張ってるだろうに。

「おはよう、ギルド長。こっちは相棒のアイリスだ」

「おはようございます! ギルド長!」

 完全に挙動不審のギルド長を職員が変な目で見ている。どうやってごまかそうか。

「ギルド長が是非っていうから、わざわざヴァレンタイン王国からやってきたんだ。ここにはいい依頼はあるのかい?」

 これも事情を知ってる人からしたらわざとらしすぎるが、仕方ない。俺はフォレストのSランクカードを受付嬢に提示する。Sランクを出された事で、ギルド長がわざわざヴァレンタイン王国から凄腕の冒険者を引き抜いて来たという設定を信じてくれたようだ。

「Sランカーなんてほとんどいませんからね! 依頼は沢山ありますよ!」

 受付嬢のテンションも上がったようだ。これにて一件落着というところだろうか。


「とりあえず、最初は二人で依頼をこなしていこうか。慣れてきたら臨時でパーティーのメンバーを加えてもいいし」

 いきなり二人でSSランクのジャイアントキラーエイプを選択したものだから、ギルド内が騒然となった。普段ならば狩猟部隊に依頼がいくレベルなのである。複数のパーティーが共同で受けても討伐できるかどうか分からないような魔物だ。しかしジャイアントキラーエイプは移動手段が森の中だし、狩猟部隊の主力であるテンペストウルフでは相性が悪かった。こういうものこそ、冒険者が討伐する必要がある。場所は北の山脈だ。

「お昼ごはんどうする?」

「あ、シ…フォレスト! 私あっちのレストランが気になってたんだ! お昼はあそこにしようよ!」

 山脈まで行って、ジャイアントキラーエイプを討伐する予定であるのに昼飯をここで食べるつもりの二人にさらに驚愕する受付嬢。しかし、この程度ならば特にどうという事はない。俺たちは首都リヒテンブルグをワイバーンで飛び立ち、途中でウインドドラゴンに乗り換えて山脈まで向かうことにした。

「や、やりすぎですよ…………」

 ギルド長の悲痛な声は誰にも聞かれなかったようである。


「あっ! あれじゃない!?」

 ウインドドラゴンが山脈近くに着くと、ジャイアントキラーエイプが昼寝している場面に遭遇した。この辺りでは他の魔獣よりも格段に強いために天敵がいないのだろう。特にテンペストウルフが到達しにくいような岩山の上で寝そべっている。

「行くよっ! シウバ!」

「あっ、ちょっと!」

 ユーナのウインドドラゴンが昼寝中のジャイアントキラーエイプをむんずっと掴んだ。寝ている最中にいきなり掴まれて上空へ連れて行かれるジャイアントキラーエイプには同情しかない。

「キィィィィ!!!!」

 いくら怒ってもすでに手遅れである。

「フライアウェイ!!」

 そして、高度を上げたウインドドラゴンはジャイアントキラーエイプをぽいっと落とした。これは、助からない。

「さあ、回収して帰りましょう!」

「え? 俺いらない子だったね」

「ふふ! そうかもね!」

 首都リヒテンブルグの近郊でワイバーン2体での輸送に切り替えたが、こいつでかいし重いしで大変だな。ワイバーン1体じゃ運べなかったから、俺はいらない子じゃないぞ!


「フォレストさん、やりすぎです」

 ギルド長はもはや諦めの境地に達しているようだった。ギルドの裏の解体場に運び込まれたジャイアントキラーエイプは、見た事もない冒険者がほとんどだったためにお祭り騒ぎになっていた。

「腹減ってんだ。支払いをお願いする」

 まだ、昼前だったけどすでにユーナが気になるレストランをロックオンしている。まだ席がすいているこの時間帯に行くべきだろう。宿も取らねばならない。

「こちらが依頼料です。素材はどうしますか?」

「やるよ」

「え?」

「ギルドで好きに売ればいいさ。なんなら職人に依頼して格安の装備品でも作ればいい」

 これが本来の目的の一つである。ギルド経由で冒険者に格安で質の良い装備品を売る事で全体のレベルアップを図るのだ。

「ギルド長、あとはよろしく」

「は、はいっ!」

「フォレスト! はやく行くよっ!」

「待って、アイリス! あ、午後からの依頼を見繕っててね! よろしく!」

 ヴァレンタイン王国からやってきた凄腕冒険者の話はあっという間に噂になったらしい。町は魔王ナノ=リヒテンブルグの就任でお祭りが開かれていた。そのお祭りでの話題としてはいいものだったのだろう。冒険者を目指す若者も増えそうで何よりだ。

「シウバ! 夜はあっちのレストランに行こうね! 前から行きたかったんだ!」

 魔王の妃がこんな所で飯食うわけにもいかなかったから、気になるけど行ったことのなりレストランが大量にあるらしい。当分はユーナの行きたいところで食事をとることにしようと思う。その日はお祭りで宿が取れなかったから魔王館に戻ることになった。え? 帰ってきたの? って感じで皆が迎えてくれた。明日からは無理矢理良い宿を取ろうと思うのでギルド長を脅して取ってもらっておこう。


 そうして数日は首都リヒテンブルグの冒険者ギルドでランクの高いものを中心に討伐を行った。すでに俺たちを見て絡んできたり、睨みつけるような無粋な輩はほとんどいない。絡んできた低ランク(と言ってもB)の冒険者たちは俺の制止が入るまえにユーナにボッコボコにされてた。恐ろしい。

「フォレストさん、うちを拠点にしているパーティーで一番上なのがAランクなんですけど」

 そんな時にギルド長から依頼があった。このギルド長は魔人族であるが、ヴァレンタイン王国でのギルドで研修をしているために、高レベルの冒険者もよく知っている。

「ちょっと教育をしてやってもらえないでしょうか。最近、伸び悩んでいるようです」

「ほほう」

 これも目的の一つだろう。凄腕冒険者を育成するのだ。

「じゃあ、いつも通りにフライアウェイで仕留めてちゃだめね!」

「うん、そろそろ俺も体を動かしたい」

「受けていただけるようでしたら、明日紹介いたします」

「おし、分かった」

 どんなパーティーがくるのだろうか。4人組で全て魔人族なのだそうである。楽しみだ。



「ふふふ、フラン様の地獄の特訓を参考にしましょうか!」

「ユーナ、それだけはやめてあげて」

 ちょこっとずつ、第1部を書籍化の書き方に統一修正していってます。内容は変えません。

 最初は「」の終わりは「これはペンです。」みたいに句点で終わってたんですけど、書籍化に当たって「」の終わりの句点はやめました。これはどちらが正しいという事はなく、学校では句点で終わる方を教わりますよね。調べたんですけど、結論は「小説家になろう」の中で掲載するならばどちらでもいいのではないかという事。ただ「出版会社の方針があるのでやめよっかな」くらいですね。

 日本語の取り決めは時代とともに変遷していくもので「!」や「?」の使い方も色々です。


 堅苦しく「こうでなければならない!!」って人の作品ほど面白くない傾向がある(個人的な意見ですけど)ので、特に肩に力を入れずに書いていければいいかなと思ってます。「・・・」は使い方が間違っているので直しますけど自分的にはこの方が3マス使うから「…」よりも沈黙時間を表現しやすいと思ってたんだけどなぁ。

 こういったものはマナーと一緒で、人に指摘されるとした方もされた方も嫌な思いをするので、自分から正しい方へと直すように心がけるのがよいのでしょう。漢数字と算用数字はどうしようかな……。書籍化に当たって、こういった細かい所も勉強できたというのは良かった事だと思ってます。(編集のMr.KBには苦労をおかけしましたが)校正が帰ってきたらもっといろんな指摘があるんでしょう。楽しみです。

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