3-2 記念すべき日の裏側
前書きだぁぁぁぁああああ!!!!!!!!
おはこんにちばんわ、「茶番失調症候群」本田紬です。
書籍化が決まるまでは前書きなしと思ってたのに発表が遅れに遅れこんな時期に…………orz
年末に最終オ〇オなんてやっちまうからいけなかったんだな。うん。
そして昨日はPCがフリーズしてしまうという事件があり、強制終了ですら効かないって、どんな状況!?みたいな、一人で悶絶していた本田でございます。なんとかバッテリーの所開けたりしてたら直りましたけど。(開けて、うん分からん、で閉めたら画面消えてたという奇跡)
さてさて、書籍化発表も終わりまして、校正が戻ってくるのを待つ身でありますが、おそらくは幻冬舎コミックス編集のMr.KBがめっちゃ直してくれたから(国語おかしすぎ)校正も大きな直しなんてないのでしょう。締め切りには間に合ったために発売日には問題なく発売される事を期待してます。少なくとも作者側の都合で延期という事はなさそうですな。
そのうち、もうちょっと情報を公開してもよくなると思いますんで、分かり次第お伝えしたいと思います。
謁見の間がざわつきだす。
「言いたい事はあるだろうが、まずは俺の話を聞いてくれ」
これは結構前から考えていたことである。
「魔王とは何かという事を皆に問いたい。魔王とは皆を導いていく存在だ。それに必要な物は力だ。その力というは単純に腕っぷしが強いというだけではない。腕力、知力、魔力だけでもダメだ。統率力、経済力、そして権力が必要になる。だが全てを持っている者などいやしない」
中には理解できていない者もいるのかもしれないが、全員が頷いている。
「つまりは上に立つ者は一人では無理だという事だ。皆の支えが必要となる。そしてこの国はここまで来た。それは全て皆のおかげだ! そしてこれからの国を思ってくれ! 考えてくれ! そこに必要な王は俺じゃなくてナノだ!」
今まで「統率者」として皆を引っ張ってきたナノ=リヒテンブルグ。現状、ほとんどの政務処理はナノが行っている。俺はそんなナノが俺の判断が必要と思った部分だけを見ているに過ぎない。
「ヴァレンタイン王国を見ろ! 王はアイオライ=ヴァレンタイン、宰相はジギル=シルフィードだ! それぞれに得手不得手はあるだろう。だがそれぞれがそれぞれの役割をこなす事であれほどの国になった。数十年前までは見向きもされなかった土地が世界を牛耳っている! 追いつくのに必要なのは統治力だ! もちろん俺も力を貸そう! そして目指すは更なる高みである!! それに必要なものを持ち合わせているのはナノだ!!」
ざわつきが徐々に静まっていく。魔王にふさわしい鎧が、それに一役買ってくれているのだろうか。皆がナノ=リヒテンブルグを認めていないわけがなかった。俺の下で王国を作り上げたと言っても、四騎将とナノが引っ張ってきた国なのである。強い者が上に立てばそれでいいという単純な思考の持ち主はここにはいない。だからこそ俺を魔王にと言うものもいたが、そういう者ですらナノの統治力を認めている。
「魔王ナノ=リヒテンブルグ!! 皆を導け!!」
ここに、二代目の魔王が誕生した。
***
さかのぼる事一日前。
「もういやだぁぁぁ!!!!」
魔王館に響く魔王の叫び声は魔王らしくなかった。
「なんで依頼は一件だけなんだよ! 野菜食って終了じゃねえか! 二泊三日って、少なすぎてリフレッシュにならん!」
「そんな事言っても、仕事があるんですよ。シウバ様も」
ナノは俺の愚痴を聞きながら何やら仕事をしている。実は俺も大量の木簡に囲まれているのだ。
「つまりはシウバは私がいない間にナノと浮気をしていたってことよね!」
「違ぁぁ……あれ? 違うけど違わないような」
「私だって、旅行行きたかったんだから!」
「という事で! もう一回行こうか!」
「ダメです、仕事があります」
たしかにナノには大量の仕事があるようだった。そしてアプロ草の畑を作るという事も始めるためにすでに捕獲に向かった部隊がいるのである。それの土地の整備もしなければならない。人員を配置するのは最終的にナノが決定していた。
「無理! 俺、魔王やめる!」
「ダメですって。「邪王」シウバ=リヒテンブルグがいなくなったリヒテンブルグ王国には何の価値も見出してもらえませんよ」
「んな事ないだろう」
「旅行行きたい!」
混沌とする魔王館執務室。俺とユーナとナノはそういう事を言いつつも仕事が回ってきているために、木簡に目を通しているのだ。文官がせわしなく行き来する。いつからこの国はこんなになってしまったんだ?
「シウバ様、この国の歴史書を作る必要があるとの意見ですが、いかがしましょうか」
「羊皮紙なんぞ、高くて使ってられんだろうが。うちの国で産生できんから輸入する事になるぞ? 大同盟の会議録くらいでいっぱいいっぱいだ」
「羊皮紙じゃなくて、もっと安価なものを作ればよいのですか?」
「そんな開発に金をかける余裕はない。クロウの工房に相談するくらいなら構わないけど」
「でしたら大量生産し安価な材料で作る事のできる布ですかね」
「んな便利な物あるか?」
「作ってもらいます」
こんな感じである。完全に自分には向いてない。
「シウバ! ヴァレンタイン王国から怪鳥ロックの輸入をどうするかって、聞いて来てほしいって言われたんだけど」
「値段によるよね。いくら?」
「このくらい」
「無理」
「だよね。お断りするように伝えて」
ユーナの方もマジェスターやエリナに任せていた仕事をやってもらっているから余裕がない。周りの文官たちもユーナに決済を回す案件をどうすればいいのか分かっていないようだ。それでも何かしらの仕事が回ってくる。
「冒険者ギルドの問題もありますね。まったく活性化されていなくてこのままでは冒険者が育ちようがありません」
もともと危惧していた冒険者ギルドの問題が浮き彫りになってきた。西の大陸の魔物が強くて冒険者になる若者が少ないのである。ある程度の実力がなければ死ぬことが確実な職業につこうと思う者は少ない。それでなくても首都「リヒテンブルグ」や港町「ランカスター」の建設で仕事が余っているのだ。
「ある程度できる冒険者を招き入れないと、厳しいかもな。依頼料を増やすか」
「了解です。しかし実力者が来るとは限りませんよ」
狩猟部隊だけでは行きづらい場所や任務というのもあるのである。特に採取系統や生態調査は部隊には不向きだった。やはり冒険者は冒険者として必要不可欠な世の中なのである。
「もういやだ、こんな事をするためにここに来たんじゃないのに」
「でも、すでにレイクサイド召喚騎士団の第6特殊部隊は解散扱いにされてたよ!」
「うぐっ!」
まあ、当たり前である。この数か月はこっちの仕事ばかりでレイクサイド領には帰ってないのだ。
「少なくとも、この国の重要案件をこんな三人程度で回してたんじゃ、いつまでたっても終わるわけがない」
実際、全く終わってない。
「まずはナノに権力を集中させよう。そしてその権力を分散させる文官の幹部を作れ」
「なるほど、意外といい方法かもしれません」
「意外とか言うな。そんで、もうちょっと現場の声が現場に浸透しやすい環境を作ってだな」
「つまり、各自の判断にある程度融通を利かせると」
「いつの間にそんな難しい言葉を使うようになったか分からんが、俺やユーナがこんな事をしているのは時間の無駄だという事だ。もっと頭のいい連中を集めろ! ジギル=シルフィードみたいなやつが10人いれば俺もお前も何もしなくていいだろうが!」
「しかし、それでは文官が力をもってしまいます」
「だから、それをお前がなんとかするの!」
この理論の最も重要な所は俺に仕事が回ってこないようにするというのをいかにばれないように相手を説得するかという所である。
「つまり、シウバがサボれればそれでいいって事よね!」
ユーナァァァ!! ばらしちゃダメでしょうが!
「シウバ様…………」
「よし、分かった。やっぱり、ナノ! お前が魔王やれ! 俺とユーナはその誰もなり手のない凄腕冒険者ってやつやるから!」
「はい?」
「シウバ! それいい考えね!」
「でしょ!? よし、決まりだ!」
「ちょっと! ダメですって!」
この後、三時間ほどナノを説得しなんとか力づくで了承させた。お互いのフレイムバーストで執務室は酷い事になったが、そんな事はしったこっちゃない。仕事用の木簡はユーナが召喚したノームが避難させていたようだ。最後まで抵抗していたナノであるが、俺が鎧を持ってくると、まんざらでもない顔してたから、これでよしとしよう。
四騎将を始めとして、そのほかのバカたちは俺の演説に感動したようだ。ハサウなんて泣いている。これで、俺とユーナは自由を手に入れた。リヒテンブルグ王国の記念すべき日、の裏側である。
この「小説家になろう」はいろんなこともできるんですな。
例えば、ここに第2部は完結にもっていって、第3部始めるってのはどうよ? って聞いてみたり。(すでに1話は書いちゃってるんですよねー)
読者的欲求ってのはある程度あって、どうしてもこの主人公(今回はシウバ)のままじゃなきゃヤダとかいう思いは意外と「感想書こうかな」にもつながるんですな。まあ、いつも書いてくれてる人はハードル低いから、思い付きで感想書けると思うんですけど。まあ、弊害もあって、感想に終了させないで!って書いたのに多数決で終了の方向に持ってかれると負の感情が芽生えたり…………。妥協案で第2部は続けて、第3部も始めろってのは無茶ぶりだからね!
他にはさすがにしないけど、アイデア募集!とかですな。人の話聞かない本田にはできない芸当ですが。こんなことも考えられる環境というのは面白いものです。