3-1 魔王の鎧
皆さん、おはこんにちばんわ、本田紬です。
え? 誰だお前って? さては貴様! 活動報告読んでないな! モグリめ!
くせものじゃー! であえ! であえ!
ふう、ようやく前書きに茶b…………前説を書けるようになって落ち着きましたです。
さて、改めましてはじめまして?本田紬です。
あのお菓子みたいなカク〇ム荒らしみたいなやつはどこに行ったんだって?
残念ながら同一人物だ! 残念だったな!
諸事情によりあのペンネームを名乗るのは許さんとM崎さんが言ってたから、仕方なくやめることにしたのだよ。気に入ってたのに。
ただ、本気で活動報告なんて全く読んでくれてない読者の方がいるのも事実。
これからきちんと報告させていただきましょう。
拙作「転生召喚士はメンタルが弱いんです。」が2017年2月24日に幻冬舎コミックス様より書籍化されることが決定いたしました! ドンドンパフパフー♪
それに伴いタイトルは「転生召喚士はメンタルが弱いんです。 第〇部」に統一、ペンネームも「本田紬」に変更になります。
イラストは「オパパゴト」や「クロハと虹介」でめっちゃ綺麗な絵を描かれている「白梅ナズナ」先生です。二つ名をつけるとしたら「神絵師」とか「ペンの魔術師」とか、でもお話も面白いものを描かれますので「プロ漫画家」ってのがしっくりくる先生です。まだイラストはラフの段階ですが、家のPCの前で絶叫してしまうほどの完成度。あなたは神か?
えっと、なんでしたっけ? そうだ。2月24日に「白梅ナズナ」先生のイラスト集(数枚)におまけで「転生なんたら」が付いて来る本が発売されるという話でした。
一度は筆を折った自分ですが、(ビール飲んで1時間後には第2部書き始めましたけど)ここまでこれたのは支えてくれる人たち、とくに読んでくれる読者の方々のおかげであります。旧オレオと仲良くして戴いて本当にありがとうございます。本田とも仲良くしてやってくだせえm(_ _)m
「書報」に掲載を依頼しましたので、数日後には詳しい情報が乗ると思います。
幻冬舎コミックス様のHPでも来週くらいまでには新刊情報が載せられるのではないかという事でした。
はあ、本当に書籍化なんてされるんでしょうか。いまだに信じられん。
こんな拙作を書籍化なんてして幻冬舎コミックス様の株式が落ちないかが心配です。
触手を全て切り取られたアプロが根っこごと怪鳥ロックによって輸送されてきたのはアプロ狩りから1週間後のことだった。
「ここに「畑」を作る! 持ち回りを決めて触手が再生してきたらきちんと切り取るんだ! 分かったな!」
野菜大好き魔王代理が自ら陣頭指揮を執って首都リヒテンブルグの郊外の何もなかった荒地にアプロを次々と植えていった。頭部に生えている「アプロ草」は放っておけばまた再生してくるのではないかと考えているらしく、定期的に伐採される計画という。触手は触手で新芽がどうとか言いながら食料にされていったようだ。うねうねと動く触手と頭部を切り取られたアプロは5体にもおよび、それを管理する者も割り当てられたようである。
「うまく行けばもっと増やす事もできますな!」
なんでこんな事をしているかと言うと、アプロ草が治療薬として有用であったからだ。依頼主もその治療のためにアプロ草を欲しがっていたようである。その病気というのは、何か難しい名前だったが、要するに栄養失調に近いものだった。野菜食べずに肉ばかり食べていたら病気にもなるよな。
「だからって、これだけ食べてりゃいいってもんじゃねえぞ」
エリナの治療でやってきていたパティはそんな事を言っていた。しかし、アプロ草が浸透すればそれだけでも栄養補給は行われるために栽培自体は非常にいいことなのだそうだ。そして魔王代理の大好物でもあるので急遽「畑」が作られたというわけである。自己のないように運営される事を願う。
パティに診察をされたエリナはというと、大変な事が分かった。ナノが叫んでいる。
「ご懐妊じゃぁぁぁ!!!!」
つまりはマジェスターとエリナの子ができたという事…………は?
「ちょっと待て!? え!?」
「宴だぁぁぁ!!!!」
いや、ナノが宴が好きなのは分かったけど、え? どういう事? 吐いたりしてたから体調わるくて病気になったんじゃなかったのか?
「どうもこうも悪阻だよ、つ・わ・り」
若干あきれ顔のパティが言う。
「今のところは何の問題もなさそうだけど、あんまりここは食生活よくないだろ? 魔人族ならそれでもかまわんけど、エリナは純人だからレイクサイドに帰ることをお勧めするぜ?」
いかん、ついて行けない。
「それにここには純人の治療師も産婆もいねえしな。純人の出産のことは純人に任せたほうがいいだろう。正直、俺には分からん」
あぁ、たしかにその通りだな。マジェスターも一緒に休暇ってことでレイクサイドについてってもらって、ええと?
「シウバ! とりあえずはおめでとうを言いに行こうよ!」
「あ、うん」
こういう時はユーナを始めとして女性の方が強いようである。
「赤ちゃんですぅ」
まだあまり大きくなってないお腹をさすりながらエリナが微笑んでいる。
「おめでとう、エリナ!」
「ユーナ様、ありがとうですぅ」
「お、おめでとう」
他に何て言えばいいのかがよく分からんけど、とりあえずはめでたい事だ。
「主よりも先に子を作るというのは、本来であればよくない事なのですが」
堅苦しいことをいっている新しい父親は無視して、何か祝いの品でも上げたほうがいいのだろうか? よく分からんから後でユーナと相談しよう。
「と、とりあえずパティも言ってたし一旦レイクサイドに帰って出産した方がいいみたいだな。ここじゃ食べ物も出産の仕方も分からんし。休暇だと思ってマジェスターも一緒に帰ってこい」
「そんな!? 主君をおいて帰るなどとは!!」
「うるせえ、こんな時くらいはついててやれ」
無理矢理マジェスターにも休暇を取らせることにした。たしかにあいつも貴重な戦力ではあるけれど、最近はクロウの工房が稼動しだしたこともあって、装備品の充実から部隊の強さが明らかに変わってきている。防具を売る事で鉱石なども輸入する事ができるためにさらに良い装備を作ることができるようだ。ティアマトやエルダードラゴンの牙や爪を加工した武器も狩りには非常に役に立っているようである。
「ナノ、マジェスターが抜けた穴はなんとかなるか?」
「大丈夫です。相変わらず財政はきついですが」
国が軌道に乗り始めているのだろう。向かう方向はこれでいいはずだと思う。あとはそこで暮らす者たちが決めていく事を上に立つものが間違えずに導いていくことだ。
「しかし植物系の魔物を栽培しようなんて、よく考え付いたな」
「テンペストウルフに乗る事を提案した人に言われたくないです」
***
「ランカスター」はフェルディが治めている。ここにはクロウの大きな工房があり、全土から集められた素材を武器防具に加工する職人たちが集められていた。中には亜人や純人まで加わっている。というよりも職人的な仕事は魔人族には向いていないようだった。
「頼まれてたものはできてるぜ?」
親方となったクロウが言った。ダンテ親方に言わせればまだまだなのだというが、それでも合格点はもらったという。現にここの工房はクロウがいなければ成り立たない。新規の加工はほとんどがクロウの立案によるものばかりで、皆はそれを真似ている段階なのだという。自分で作り上げる事ができて初めて半人前だと言っていた。……それでもまだ半人前なのかよ。
「いい出来じゃないか」
それはかなり大きめの鎧である。エルダードラゴンとティアマトの素材をふんだんに使った最強の防御力を誇る鎧だ。ところどころにアダマンタイトがちりばめられており、魔力伝導効率の面からも純粋な耐久力も申し分ない。だが、その重量のために装備する人物は限られてくる。
「着れるかどうかは保証できん」
「このくらいは来てもらわなけりゃこっちが困る」
自分は着ることができないほどの重さであるのに無責任に言ってみる。だが、あいつならば大丈夫だろう。
「助かった。ところで、お前、このままリヒテンブルグ王国にずっといてもいいのか?」
「あ? こんな最高の環境から出て行ってどこに行くんだよ?」
「いや、故郷がとかさ」
「職人にそんな事を聞くのは野暮だぜ。ここに招いてもらって感謝してる」
「そうか、それはよかった」
拉致同然で連れてきたが環境と仕事量には困らないからな。本人が文句がないって言ってるからよしとするか。
「エリナがマジェスターの子供を身ごもったんだよ。今度レイクサイド領に帰すんだけど」
「まじかよ!! そりゃめでてえな!」
そんなこともあるし、ちゃんとしときたい事もある。俺はクロウを連れてフェルディの所に行き、2人とも首都「リヒテンブルグ」まで付いて来るように言った。
***
「皆集まったな」
首都「リヒテンブルグ」の魔王館に、事前に知らせてあったアウラとローレを含む全ての四騎将と、ユーナ、マジェスター、エリナ、クロウが集まった。ここができてからリヒテンブルグ王国の首脳部がそろうのは初めてである。他にもハサウたちを始めとして幹部クラスが全員集合した。
「えっと、本日の発表の前に」
ここにいない人物がいる。「統率者」ナノ=リヒテンブルグだ。
「ナノに正式にリヒテンブルグを名乗ってもらうことにした。」
魔王代理としてずっとリヒテンブルグ王国を率いていたのだ。そして俺の家族でもある。
「じゃあ、入ってこい」
クロウの作った鎧を着こんだナノが一番大きな部屋、通称「謁見室」に入ってくる。その他を圧倒する大きさと禍々しさの鎧を見ただけでも弱いものは卒倒しそうだ。文官系の幹部などは顔がひきつっているほどである。
「皆、言いたいこともあるだろうがこれは正式決定だ。こいつが2代目の魔王ナノ=リヒテンブルグであり、俺は形の上では引退することにする」