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3-6 白い毛皮のあれ

最近前書きが手抜きなんじゃないかって? 最終オレオです。

今年最後の更新となるわけですね。


本編の更新はこれまでで、活動報告にも書いたようにサイドストーリーを大晦日と三が日は上げようと思います。

今のところは希望があった通り、フラン=オーケストラ、ロージー=レイクサイド、シン=ヒノモト、そしてUNKの話の予定になってますね。やはり皆さん、正月はUNKの話がいいんですかね?


8月の最初の方に小説を書き始めてからまだ半年も経っておりませんが、こんな感じに新しい年を迎えるとは思っていませんでした。

来年の目標? それは決めてありますがM崎さん(仕事でオレオを助けてくれるいい人)がそういう物(今年の抱負的なもの)は年が明けてから発表するものだと言っていたので来年になったら言う事にしましょう。


では皆さまよいお年を。来年もここでお会いしましょう。


 白虎。天災級の虎型の魔物であり、その白い毛皮は他に天敵がいないという事を表しているほどに輝いている。

「待って待って、前回は成り行きで朱雀と戦う事になったけど、今なら引き返す事もできるんだ。依頼はワータイガーの変異体ってわけだし、あれはどう考えたってワータイガーじゃないからね」

 精一杯の説得を試みようと思うけれども、ユーナの目が輝いてるから無理なのは何となく分かってるんだ。一応ね、一応。

「白い毛皮のコート………」

 なにやら物騒な事を言い出しているから、俺の言葉が耳に届いていない事は確実だろう。

「ふむ、たしかに白い毛皮のコートを作るんなら余裕で10人分くらいは行けそうだな。セーラさんにプレゼントして、ユーナとエリナに作った後にも贈答用に……いや、召喚騎士団の女性召喚士の中でもエリートに配れば見た目の効果が新人の憧れに繋がり……やはり女性幹部用の装備がいいか」

 いかん、ホープ様までがやる気になりだした。

「シウバ様! 毛皮を傷つけないように討伐するにはどうすればいいのでしょうか?」

 マジェスターは放っておこう。

「パラライズが効かないですかねぇ?」

 エリナもやる気満々じゃねえか。もしかして、俺だけ? 帰ろうとか思ってるの。

「テツヤが首チョンパできたんだから、マジェスターも行けるだろう。全力で動きを拘束しておいて「流星剣」で斬ればなんとかなるんじゃないか? 首も使い道がありそうだ。ふへへ」

 ホープ様が作戦を決めたようだ。

「行くぞっ! ついて来い、マジェスター!」

 ワイバーンに乗ったホープ様がマジェスターを連れて行く。あれ? 俺たちは?


 近づく2匹のワイバーンに白虎が気づいたようだ。その牙、その爪はどの魔物よりも鋭そうであり、尚且つデカい。攻撃されたらいくらホープ様やマジェスターと言えどもただでは済まないだろう。唸り声をあげる白虎。だが、ホープ様はそんな事は意に介さない。

「所詮、魔物ってのは獣だ。知能がない奴がどれだけの力を持っていた所で恐れる事はない」

 何か、すげえ事言ってる。それはホープ様じゃないと言えないセリフなんじゃないのか?

「よし、拘束するから首を斬れ!」

 なんて事ないように言ってのけやがった。どうするのかな?


 そう思っていたら白虎の周囲に数体のアイアンゴーレム、アイアンドロイド、そして大量のノームが召喚された。怪力でそれらを引きはがそうと白虎が抵抗するが、さすがに全部を振り切る事はできないようである。そして、「ここを斬れ」とばかりに空いている首の周辺。頭と両腕をアイアンゴーレムが3体がかりでガッチリと抑えている。関節の構造を理解しているらしく、力がこめられないようにうまく固定している。あれならば白虎は全く動く事ができないだろう。というよりも首以外白虎が見えない。

「うおぉぉぉぉ!!」

 マジェスターがワイバーンから跳躍し、首を刎ねた。血が噴き出る。

「毛皮に血が当たらないようにしろ!!」

 一斉に召喚獣たちが白虎を血抜きのポジションに持ち上げた。なんだこれ? 本当に天災級の魔物の討伐をしているのだろうか? ホープ様にかかると完全に家畜の屠殺である。

「やったぁ!」

 エリナが後ろで喜んでいる。たしかに、毛皮は手に入るしマジェスターが白虎を討伐したって事になるしいい事ばかりなんだが、納得いかないのはなんでだろうか。


 ***


 ユーナがホープ様の指示でクロウを拉致しにレイクサイド領主館までウインドドラゴンで飛んだ。その間に血抜きが終わった白虎はスカイウォーカーの町まで運んで解体するようである。飛ばした首ですらかなりの大きさになり、ワイバーン1頭でも運ぶのが辛い。

「そこは剥製にしてアイオライにくれてやるんだからな! 汚すなよ!」

 要は王室献上用の剥製にするんだとか。王城に入ってこんなのがあったら、外国からの使者が腰抜かすぞ? あ、それを狙うのか。


「ホ、ホ、ホープ殿、こ、こ、これはまさか…………」

 スカイウォーカーの町の冒険者ギルドの中庭に白虎が運び込まれる。完全に何人もの冒険者やギルド職員の腰が抜けていた。そしてレンネンさんも言葉になってない。

「ワータイガー変異体だ。はい、依頼完了ね。あとでうちから解体職人が来るから置いといて」

 あくまで白虎とは言わないらしい。でも、ほとんどの人間にばれている。だって、こんなきれいな白色の毛皮はお目にかかったことがない。

「いやぁ、「流星剣」すげえな。爺の剣よりも威力が上なんじゃねえか?」

「いえいえ、ハル……ホープ様の召喚獣による拘束力の方が価値があるのは明らかでしょう」

「おだてても何も出てこねえぞぉ? 給料あげてやろうか?」

 なにやらホープ様とマジェスターの意気投合ぶりが凄まじい。ホープ様の人を上手く使うやり方と、指示される事で真価を発揮するマジェスターって所か。なんか、マジェスターの主人として自信がなくなってきた。

「いやしかし、ふへへ。いい物を手に入れた。これでセーラさんの機嫌取りはばっちりだし、王城に剥製を飾らせたらレイクサイド領の名はさらに上がるってなもんだ。ふへへ」

 いつも通りの悪い顔の領主がいる。

「それにしても、あと青竜の素材が手に入ったら天災級の魔物の素材が全部手に入ったことになるな」

「え? 青竜の鱗なら持ってますよ? 逆鱗だったような……」

「おまっ! それを早く言えっ!」

 え? なんで?


 なんでも天災級の魔物の素材を集めると新たな召喚獣との契約ができるかもしれないらしい。それはテトの召喚したリリスが喋っていた事らしいのだが。昔、残る最後の天災級である玄武の甲羅が大森林の西に流れ着いた事があり、その甲羅の一部がレイクサイド領主館に保管されているとの事だった。俺の持つ青竜の鱗を含めれば4種類全ての素材が集まった事になる。これで新たな召喚獣の契約ができるのであれば、戦力の拡大にもつながるのだろう。素材の希少さから言えば、コキュートスやミスリルゴーレムを上回る最強の召喚獣であってもおかしくない。ケルビムですら青竜の鱗だけしかなかった。それが4種類全部である。


「どこにあるんだ!?」

「え? 家に保管してあります」

「よし、よこせ」

「はぁ、まあ使い道が分からなかったからいいですけど」

 青竜の鱗を装備品にとも思ったのだが、加工が難しく特に逆鱗は1枚しかなかったために使わなかったのだ。召喚契約の素材というならば、これ以上の使い方は見つからないだろう。しかし、まだ強くなるつもりか?


 クロウが拉致されてきた。前回持って帰ったカミナリウオの皮の使い方を研究していたようで寝てないと言っていたが、白虎を見た瞬間にテンションが上がったようである。頭を剥製にしろとかホープ様に無茶を言われているけど、本人は意外とやる気のようだ。爪と、毛皮が綺麗に解体される。さすがに肉は食わないだろうと思ったが、冒険者ギルドにいた魔人族の冒険者が白虎の肉を食べて強さを取り込みたいと言った後から、他の冒険者たちも食べてみようという話になった。クロウが丁寧に解体した肉がギルドの職員たちによってステーキにされていく。あまり、美味いものではなかったが、こいつを討伐できるくらいに強くなりたいと思う冒険者たちにはいい思い出になったようだ。


「おい、レンネン。他に天災級の魔物の目撃情報ないのか?」

 酔っぱらったホープ様がギルド長に絡んでいた。朝とは構図が逆である。ちなみに白虎の肉を一口だけ食べたホープ様はまずいと言って、クレイジーシープの肉を料理しろと騒いでいた。

「クソ神のせいで、世界中の魔物の発生が活発になった。脅威でもあるが、これはビジネスチャンスでもあるな。討伐隊を組織して素材を回収しまくれば一大産業になる上に戦力の増強にもつながる。今までほとんど発生してなかった天災級の魔物までもが発生してるんだ。このまま領地経営さぼって青竜あたりを探しに…………」

「ふぉっふぉっふぉ、探しに、何ですかな?」

 いつのまにやら背後に出現していた最強執事「勇者」フラン=オーケストラ。あっという間にホープ様、いやハルキ様は拘束されてしまった。

「ようやく見つけましたぞ、坊っちゃま」

「ぐえ…………助けて…………」


 こうしてハルキ様は第1部隊数名を率いたフラン様に拉致されていき、ホープ=ブックヤードの今回の逃避行は終焉を迎えたのだった。


「俺たちも一旦レイクサイドに帰ろうか。白虎の素材持って帰らなきゃいけないしね」

「そうだね……せっかくクレイジーシープ焼いたのに」

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