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2-4 魔力の伝導率

新幹線がな、止まったんだよ。

前書き? そんな余裕ねえよ。


名古屋でやっと補充されたサンドイッチがこっち見てあっち見てこっち見たらなくなってんの。

あれ?どこいった?

あ……大地に還ってる…………。

悪魔たちは今日も元気です。


「できたぜ! 黒龍革の装備だ!」


 クロウがついに俺たちの装備を作った。俺とマジェスターの装備にはところどころにミスリルのプレートが貼り付けられていて、革の鎧というよりはプレートメイルに近いのではと思わせる。しかし、実際に使っているミスリルの量は少なく、軽くできていた。

「染料に魔石の粉を混ぜるというのが思いのほか上手く行ったからな!」

 フラン様の試作品は、あの戦いの後はボロボロになっていたらしい。魔石をそのまま装着させると耐久力が足りないんだとか。俺たちの装備はそこの所を改良して魔石は装着しないタイプのものになっている。表面だけだと言っていたが、フラン様の腕をズタズタにしたあの威力は俺たちには制御できなさそうであるからだ。

「私の新しい籠手には魔石を装着する所を設置しておいてください。あと、できれば増強はできませんか? 例えば、両手につけるとか」

 フラン様が新しい籠手をクロウにねだっている。その内容はちょっといただけない物となっているが。いざという時に腕を犠牲にしてでも守りたい人がいると言われるとクロウは断れない。ダンテ親方が、両方守ってこそ鍛冶職人だとか言っており、完全に板挟みである。


「私の装備はすっごく軽いの!」

 ユーナの鎧はミスリルのプレートはほとんどない。装飾品程度にはあるが、これはつける意味があるのだろうか?

「ミスリルがちょこっとあるとな、なんか魔力の通りがよくなるらしいんだ」

 フラン様が自分で人体実験して見つけた魔力伝導の考えである。途中からクロウの特訓そっちのけで自分の新しい籠手の開発を行っていたらしい。そのため魔力を使って縫うクロウの特訓は地獄に近かったんだとか。

「ユーナさんは召喚メインだろ? これもダスティに手伝ってもらって発見したんだが、ミスリルがあったほうが召喚がスムーズみたいなんだ。魔力の伝導ってのはあなどれねえな」

召喚の際に召喚獣に込める魔力が変わるそうだ。たしかにハルキ様の召喚獣なんて、他の召喚士と比較すると洒落にならんほど強い時がある。ノームとか、本当にノームなのかというくらいの力があるらしい。


「エリナさんは鎧はあんまり意味なさそうだから、黒龍革の胸当て、籠手、ブーツにデビルモスのローブ、ついでにティアマトの中にあった巨大魔石を頭に使った杖なんてどうだ? 杖の素材は世界樹の枝だ」

 なんだ、その杖は!?世界樹の枝なんてどこから手に入れた!?

「え? 世界樹の枝はビューリング様がよく持ってきてくれるよ。定期的に剪定してるからって」

 非常に硬く、武器に加工しやすい木材なのだとか。流通価格は知らんけど、この装備を全部買おうとしたら館くらい建つかもしれん。

「はっはっは、館じゃ無理だ!」

 ダンテ親方が笑ってる。これ以上聞くのはやめておこう。


 しかし、いままではレイクサイド騎士団の正式装備、ミスリルメイルだったから革が主体の鎧だと軽くて動きやすい。防御力の面ではどうなんだろうか。クロウが解説をしてくれる。

「さすがにプレートの一番厚い部分はフルミスリルの方が強いがよ、だけど間接部分に関しては格段に強くなってる。さらには魔力伝導がかなり向上してるから、ディフェンスアップが強化されるはずだ。お前らの場合は総合的に考えるとだいぶ強い」

 補助魔法で強化する戦い方の俺たちにとっては最高の装備になっているようである。

「さらに籠手には残ってた「隕鉄」の残りを使わせてもらった。これで伝導率はさらに上がるし、特にマジェスター殿は「流星剣」との相性が完璧なはずだ」

 防具を新調する事で攻撃力まで上がるなんて考えた事もなかった。魔力伝導あなどれん。


 さらに3人にはデビルモスのマントがつく。真っ黒のマントである。何か刺繍をするかと聞かれていたが、第5部隊のようにフェンリルの刺繍をしてもすこし恥ずかしいので、レイクサイド領の紋章と無地とを表裏どちらでも使えるようにしてもらった。レイクサイド領の所属である事を隠したい時もあるかもしれないからな。

 4人とも、全身黒い装備に身を包む事になった。ミスリルの白銀がピンポイントで輝く。はっきり言って格好良い。

「兜はいらねえのか?」

 ダンテ親方が聞いてきた。たしかに剣での斬り合いをする場合に兜があるのとないのではかなりの差がでるのだが。頭部が守られているという安心感と視界が狭くなると言う閉塞感があり、好みが出てくるという面もある。だが、頭部を斬られると致命的であるため、そこを防御するというのが自然な発想なのだろう。

「ウインドドラゴンに乗るからな。どうしてもパイロットゴーグルつけにゃならんのだよ」

「なるほどな、だったら仕方ねえか」

 パイロットゴーグルがあるために、レイクサイド召喚騎士団はほとんどが兜を装備していない。耳当てなんかはあるが、頭の防護という意味の装備がないのだ。第5部隊なんかは肉弾戦が多いから兜があってもいいと思う。

「パイロットゴーグル付きの兜を作ってくれたら、使うかもしれん」

「ふむ、考えておこうか」

 兜の部分にも魔法伝導のいい物を使うと攻撃力が上がるかもしれない。できるだけ、可能性は探っておくほうがいいだろう。


「おぉ、「邪王」っぽいじゃねえか」

 ハルキ様にそういわれた。洒落になってないのでやめてほしい。

「今回の装備の件は、レイクサイド領にとってもかなりの利益になりそうだ。」

 なにやら、標準装備ではなく幹部に向けた上級装備の開発を考えているらしい。魔力伝導の話を一瞬で理解して、さらに金属が一番通りやすいだろうとか、濡れているほうが伝導がよくなるのでは?とか、元々知ってたんじゃないかと思われる発言ばかりするこの領主は、やはりおかしいのだと思う。いつどこでそんな知識を入れてくるんだよ?

「そうか、人は一種のジュウデンシキデンチなのか。という事は直列でミナデ○ンもありだな」

 とか呟いてたけど、もはや付いて行けない。何語?

 その後、補助魔法についての考察に入り、自分の仮説で証明できなかったのか、一人頭をかかえている領主は放っておくことにした。


「うし、装備も一新したし、試しに何かの依頼を受けに行こう」

「そうだね!」

 黒を基調としたユーナなんて初めて見る。なんとい言うか、こう、黒が女性を引き立たせるというのは本当だったんだな。

「シウバさまぁ、この杖ってもしかして魔力伝導が上がる効果があるんですかぁ?」

 世界樹の杖をもったエリナがきょとんとしている。いまいち魔力伝導が理解できていなかったらしい。

「多分な。いつもより強力な魔法を撃てるはずだ。それにマジェスターの「流星剣」はさらに強くなったはずだぞ」

 全員がレベルアップしたようなもんである。

「今なら何でも行ける気がする!」


「あら、そうですか?」

 いつのまにやら喋っているうちにレイクサイド領冒険者ギルドに着いていたようだ。受付嬢がにっこりと笑っている。

「新装備おめでとうございます。そんなシウバ様ご一向にぴったりの依頼がございまして。ですが、本来であればシウバ様方でもさすがに無理ではというほどの依頼だったのですが、それはそれはよろしゅうございました。受理、と。いやぁ、ハルキ=レイクサイド領主へお願いするなんて厚かましい事できないですもんね。良かったです。」

「へ?」


 受付嬢が光の速さで受理した依頼にはこう書かれていた。

「推定ランクSSS以上 朱雀の新個体と思われる魔物 討伐」と。


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