1-6 召喚の遺跡の召喚獣
熱がー 38.5度くらいー
こんな状態で小説なんて書けるかぁ!! 書いたけど
読者の方に教えていただいた五目粥を作ってみたよ!粥にはしなかったけど!美味かった!
でも明日も激務なんだ! 知ってたさ!
咳止まらん! 病院? キライ!!
「オ邪魔シマシター」
俺はとりあえず、そっと扉を閉めようとした。だが、レッドドラゴンたちは全然待ってくれなかった。3匹同時のファイアブレスが俺たちを襲う。
「ぎゃああああ!!魔装!」
とっさに扉を覆う形で魔装を発動させる。炎が魔装によってつくられた扉で防がれた。レッドドラゴンのファイアブレスにどれだけ効果があるか分からないが、今のうちに逃げよう。案の定、4人で遺跡の入り口に向かって走っているうちに魔装は溶けてしまったようである。中からレッドドラゴンが出てくる。なんでこんなに扉でかいんだよって思ってたけど、そういう事なのか!?
「仕方ない! 俺が1匹受け持つから!」
「では私も1匹相手をしましょう!」
「ユーナとエリナでもう1匹を頼む!」
「分かった!」
ワイバーンで遺跡の上空まで逃げると、3匹のレッドドラゴンが出てくるのが見えた。これは正直な話、結構きつい。おそらく、レッドドラゴンはティアマトより強いに違いなかった。ユーナたちはウインドドラゴンで迎え討つつもりらしい。2人がかりならなんとかなりそうだ。魔力がもつかどうかが心配ではある。
「人の心配をしてる場合じゃなかった!」
すぐ近くをかすめるファイアブレス。ワイバーンがなんとか避けてくれている。これは長期戦になるといつか消し炭にされる可能性が高い。早いところ決めてしまおう。
「うらぁ!」
剣に氷魔法を纏わせて斬撃を飛ばす。狙いは羽の付け根であり、そこが凍ったレッドドラゴンは飛ぶ事ができずに墜落していった。かなりの高さから落ちたはずだが、あまりダメージにはなっていない。
「とどめ!」
ワイバーンから降りて剣舞を叩きこむ。風属性を纏わせて斬撃の威力を上げたのに、首が切れる事はなかった。
「マジかよ!?」
片手じゃ無理か!? 明らかにティアマトよりも硬い皮膚に驚愕する。これが死の代名詞であるレッドドラゴンか。もしかすると1匹で青竜くらいの強さがあるんじゃないか? それは言い過ぎか?
「グギャァァァアアア!!」
噛みつき攻撃をなんとかして避ける。さらにファイアブレスが迫るが、それは懐に入る事で回避した。爪が近いために冷や冷やするが翼の先についている爪はむしろ懐までは届かないようだった。噛みつきを避けて、再度首に剣を叩きこむ。ミスリルの剣は鞘に納めて、アダマンタイト製の剣を両手持ちだ。これで斬れなければ撤退するしかない。
「グギャァァァアアア!!」
しかし、断末魔の声とともに首を切断されたレッドドラゴンは強制送還されていった。なんてしんどい相手だ。その上、素材にもならないなんて……。
「氷の槍よっ!」
マジェスターの方はと言うと、レッドドラゴンと氷魔法は相性が良いようである。マジェスターは距離を取りつつも、氷の槍で少しずつダメージを加える事に成功していた。ファイアブレスが当たらなければ問題なさそうだ。だが、長期戦になりそうだった。すぐに加勢に行かねばなるまい。
「パラライズゥ!」
もう一匹にはエリナのパラライズが効いたようである。そこをユーナのウインドドラゴンが爪で引き裂く。翼を裂かれたレッドドラゴンは麻痺もあり、ものすごい高度から墜落した。首が変な方向に曲がっている。さすがにそのうちに送還されたようだった。
その後はマジェスターの援護をしつつ、最終的に三匹のレッドドラゴンが送還された。
「はぁ、はぁ、これ、しんどい」
「魔力を、帯びさせても、私の剣では、刃が通りません」
「魔法でなんとか、なったじゃない、か」
満身創痍である。怪我をした人がいなくて本当に良かった。一撃で即死もあり得る相手との戦いは体力的にも精神的にも消耗が激しい。
「魔力がもうないよ!」
ユーナはケルビムにウインドドラゴンまで召喚してしまい、ほとんど魔力がなくなっている。
「今日は一旦、撤退しよう。明日、また来ればいい」
どれだけ召喚獣がもとにもどっているかが心配ではあるが、これ以上の探索は不可能である。元気なのはエリナくらいか? マジェスターの火力不足は今後の課題だな。
翌日、MP回復ポーションを持参して遺跡の探索に取り掛かった。昨日倒した召喚獣がまた発生していない事を祈る。しかし、まあ、そうだよな。
「やっぱりかぁぁぁあああ!!!」
入り口に湧いて出ているゾンビたち。扉までの道はゾンビで埋まってしまっている。
「お願いします!」
『何がお願いしますだぁぁぁ!!!』
そして召喚されるゾンビ担当清掃人ケルビム。哀れ。
「今回はそのまま送還させずに次の部屋も見てこさせるからね!」
浄化の光でゾンビどもを倒すケルビム。ぐぬぬとか言いつつも、扉を開ける。やはり、レッドドラゴンが再生しているじゃないか。でも1匹だけだった。とりあえず行けっ! ケルビムよ!
『クソトカゲどもがぁぁぁ!!』
そしてケルビムが強制送還されるまで俺たちは入り口の外で待つこととした。哀れケルビムはレッドドラゴンにはさすがに敵わず、最終的には強制送還されてしまったようだ。
『クソがぁぁぁあああ!!』
ケルビムの叫びを聞きながら、こちらも準備をする。
「よしっ! 行くぞ!」
手負いのレッドドラゴンを4人がかりでなんとか倒す。遺跡の中の広場はかなりの大きさがあった。両側に他の部屋らしきものがあり、そして奥には下へと続く階段が見える。
「はぁ、はぁ、なんとかなったな」
レッドドラゴンは手負いとはいえ、やはりしんどい。特にティアマトを越える防御力が半端なかった。素材が手に入ればよかったのにと切実に思う。
「この、召喚獣が発生している原因ってのは何なんだ?」
「うーん、昔ハルキ様たちが来た時には魔道具があったって言ってたかしら?」
「魔道具? まだあるのかな?」
「それはヒノモト国に回収されたって聞いたよ!」
さすがにそうだろう。召喚獣を発生させるような魔道具があれば回収して研究するに違いなかった。しかし、回収し損ねたものがまだ残っているのかもしれない。世界樹の塔の事件があってから、世界各国の魔力事情が大きく変わっている。ここもそうかもしれなかった。
奥の階段を降りた所には魔道具が置いてあった。
「これか……」
なんでこの魔道具が回収されずに残ってたんだろうか。とりあえず、魔道具を外して回収する。これでもう召喚獣が発生する事もなくなるだろう。
レイル諸島に帰った俺たちを待っていたのはシン=ヒノモト殿だった。
「ごめんねぇ! それ、手違いで遺跡に戻しちゃったんだよ」
魔力が枯渇した時に、故障したと勘違いしたらしい。結局、修理ができなかったために保管場所を検討した結果、元の所に戻して遺跡は国で管理すればいいのではという話になり、魔道具は遺跡に戻されたのだった。そして下っ端の役人のみで管理していたはずの遺跡から、召喚獣が再度発生し、特にゾンビたちに追い出されてしまったらしい。ちょうどやってきた俺たちに依頼として押し付けようとテツヤ様が思いついたのだとか。
「まさかレッドドラゴンと戦う事になるとは思いませんでしたよ」
「え? レッドドラゴン? ストーンゴーレムじゃなくて?」
以前はあそこにストーンゴーレムがいたらしい。そして召喚魔法の魔力に影響が出る変わった場所なんだとか。やはり、世界樹の塔の事件のせいで、世界中の魔力が変化してしまっている。
「まあまあ、お詫びに君らの目的を手伝わせるからさ」
シン殿はヒノモト国の役人に遺跡の事を調査するように指示してくれたそうだ。それならば、頑張った甲斐があったというものである。
調査が終わるまでの数日はレイル諸島で休暇が取れそうだな。と、思っていたら、その休暇も面倒な事になった。マジェスターの苦悩である。