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4-2 そして明後日の方向へ

前回までのあらすじ!


プロット全無視にて完全にこれからの展開が崩壊!


まあ、いつもの事じゃね? ← イマココ!

 しかし、休んでばかりで与えられた任務を放り投げるわけにもいかない。今も第5部隊の召喚士たちは魔物の討伐に勤しんでいるのだ。マジェスターとエリナが言う。

「シウバ様、私たちが討伐は継続して行いましょう。その間にユーナ様を休ませてあげて下さい」

「そうですねぇ、美味しいもの食べてればちょっとは落ち着きますよぉ」

 2人の好意に甘える事にした。こういう時は本当に頼もしい。俺はユーナとともにフラットの町へと滞在する事にし、ハルキ様たちにはユーナの体調が悪いという事を伝える事にした。正直、病み上がりの自分もきつい。これからの事も考えなくてはならなかった。

「そうと決まれば!」

 二日酔いで起きてこないユーナを宿に残してフラットの町へ出る。思えば出会った時からユーナは召喚騎士団であり、それ以外の生活はしていなかったはずだ。しかしよく考えれば最初の出会いはあえて思い出さないようにしているけど、何か辛い事があっての逃避行だったような気がする。元気なユーナが好きだが、無理に元気にならなくてもいいじゃないか。

「たまには夫らしいところも見せねば!」

 俺は暗躍する事を決めた。


「あれぇ? シウバ?」

 昼過ぎに宿で目覚めるユーナ。頭が痛いがなんとか起き、俺を探しているようだ。

「ふふふふふふ」

 今思えば、こんな事を自分がするとは思わなかった。なにせ平民上がりのダメダメ冒険者だったわけである。世間では「邪王」とか呼ばれて世界最強の一角に祭り上げられているけど、本質的には違う人間だ。そんな俺がまさかプレゼント用に女性装飾店で服を買ってくるとは!昼食用に目星をつけていたレストランに行く計画は無駄になっちゃったけど!さあ、ユーナ、これを着て一緒にデートにでも繰り出そ……

「どうしたの? その変な服?」

「いやあ、な、ナンデモナイヨ。それより、これ二日酔いによく効くから噛んでみて」

 おぉう! 完全に出鼻をくじかれた! 誰だ!? 今年の流行の服だとかぬかしやがったのは! あの店員許さん!

「あ、ワイズ草……ありがとう」

 ワイズ草を噛んで水を飲むユーナ。これは少々計画の変更を余儀なくされるな。我がデートプランは完全に暗礁に乗り上げている。慣れない事はするもんじゃないな。


「マジェスターとエリナは討伐に戻ったよ。これからの事を考えなくちゃだけど、まあ、それは後でいいから。今日は気晴らしでもしようよ」

「え? 私たちも討伐に行かなきゃ。みんな戦ってるのに」

「いいんだ。俺は召喚騎士団を辞めるから」

「なんで!?」

 それはもちろん、君のためだよ。これ以上君を壊させやしないさ。守ると決めたんだ。

「疲れたんだよ。ユーナも一緒にやめてくれると嬉しいな」

「そんな!?」

「もちろん、前線に出る以外の職業に就くってのもありだね。完全に隠居するのは性に合わないだろうし」

 家でじっと引きこもってるユーナは想像できない。

「色々ありすぎたんだよ。まあ、でもそれは今考えなきゃいけない事じゃない。重要なのは今日どこへ行くかという事であり、何をするかという事だ!」

 そして行先は決めてある。今日がちょうどいいという事も確認した。これはもはや運命と呼んでもいいかもしれない。

「さあ、俺がワイバーンを召喚するから乗って。いつもよりゆっくり行こう」

 宿を出て、空中散歩でもしよう。



 やってきたのはエルライト領の南部の丘陵地帯だ。今日のデートプランは完璧である。食料もいいものを用意したし、お酒もばっちりだ。二日酔いのユーナが飲むとは限らないけど、意外と迎え酒してたりするしな。グレートデビルブルの肉が売ってて助かった。ちなみに俺の小遣いはもの凄い勢いで溶けて行っている。最悪、ナノあたりに軍資金を要求する手もあるが、今のところ大丈夫なのでこれで行こうと思う。

「野営の準備までしてどうしたの?」

「今夜は満月なんだ。ここの満月は特別なんだよ」

 野営の準備と一緒に罠も用意する。そう、俺が狙っているのはダイヤモンドリザードだ。忙しくてなかなか取りに来れなかったからな。

「その罠は何?」

「へへ、お楽しみ」

 ダイヤモンドリザードが獲れたら、レイクサイド領の鍛冶屋で指輪にしてもらおう。ハルキ様もフィリップ殿も作ったって言ってたしな。給料の30か月分だったっけ?テトとこのあたりでご飯食べてたのが懐かしい。


 野営の準備が終わる頃には日が暮れかけていた。しっかり晴れてて雲一つない。2人でグレートデビルブルの肉を焼いて食べながらお酒を飲む。今日はユーナは酒乱モードにはなってないようだ。

「こういうのもいいね!」

 連れてきて良かった。

「私ね……」

 ユーナが急に思い詰めた感じで話始めた。ようやく、話してくれるのか?

「いつか、こんな事ばかりしてるとシウバがいなくなっちゃうんじゃないかって思ったの」

「うん、実際この前は結構危なかった」

 実はヨシヒロ神に胸を刺されて死にかけた事を知っているのはハルキ様とアレクとヨッシーだけだ。パティにはばれているかもしれんけど。

「そしたらどんどん耐えきれなくなってきちゃってさ」

 それは分からないでもない。他の騎士団のみんなはその覚悟をしているのだろうが、実際に命に係わる事が起きてしまうと考えさせられるのだろう。

「だから、もうシウバとは離れたくないよ」

 そういえば、昔「奈落」でユーナに再開した時にいなくならない?って聞いたっけ。あれは恥ずかしかった。


 その時、罠にかかったら鳴るようにしかけておいた木札がカランカランと鳴った。

「あっ、かかった!」

 罠を取りに行く。するとそこにはお目当てのダイヤモンドリザードがいた。

「げっとぉぉぉ!!!」

 喜び叫ぶ俺をキョトンとして見ているユーナ。

「何? それ」

「へへ、ユーナ! 指輪でいいかな?」

 満月の光を弾いて光り輝く背中の宝石をユーナに見せる。バタバタともがくトカゲはおいておくとして、本当に綺麗な宝石だ。

「これってまさか……」

「そう! ダイヤモンドリザードだよ! フィリップ殿のためにテトと一緒に獲ったのと同じくらいの大きさかな?」

「あれ、シウバも手伝ってたんだ……」

 ダイヤモンドリザードの宝石は非常に価値が高く、貴族の中でもかなり上の方の人間でしか持っていない。持つよりも売る方が現実的だからである。一生遊んで暮らせるとも言われていた。それはこの獲り方が分からない者がほとんどだからである。流通なんてするわけがなかった。それを、ハルキ様は財力で物にし、フィリップ殿はどこからともなく仕入れてきた。まさか俺とテトが獲っていたなんてほとんどの人間は知らないだろう。

「そうだよ! それがテトと出会うきっかけだったんだから」

 少し泣きそうなユーナを見て、喜んでくれたんだろうと確信する。

「決めたよ、シウバ」

 いつもの元気なユーナが帰ってきた。

「それ、指輪じゃなくてネックレスがいいな! 装備の邪魔だもんね!」

「うん、分かった。じゃあネック…………装備?」

 あれ? 召喚騎士団やめる話は?



「私! 冒険者になる! シウバもね! そしたらずっと一緒にいられるよ!」


 話が俺の手を逃れて、明後日の方向へ向かって行った気がした。


ついにタイトル詐欺であった、冒険者じゃない、押しにも弱くない、のうちの一つが修正される時がきた!……え? そんなんだったらタイトル替えろって? メンドクs………

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