2-3 魔王との死闘
書いてた話を全部消して書き直しオレオです!
眠いです!
そして約束も破っちゃいましたね!もういいよ、あっと言う間に終わっちゃっても!次行くぞ、次!
もう知らない!!
バンシの町外れでフォレストは魔王テツヤ=ヒノモトに捕縛された。
「さて、説明してもらおうか。なんでお前がここにいる? というか、どういう事だ?」
フォレストの首筋に刀を突き付け、テツヤは言う。その顔は笑っているが、明らかに怒りの混じったオーラを醸し出している。返答を間違えると大変な事になるに違いない。
「返答次第では首を飛ばす」
やはり怒っているのは間違いなさそうである。
「そうもいかないんですよ。ただでやるわけにはいきませんね。……魔装!」
フォレストの首を中心とした魔装の防具が出現する。それはスクラロ族のものに比べると防御力の弱いものであったが、次元斬に対しての魔力による防御があるものだった。テツヤの刀が弾かれるとともにフォレストが起き上がり剣を抜く。
「その貧相な剣で戦おうってのか?」
「あなたの刀も同じようなものでしょう。次元斬がなければナマクラだ」
「これは友の形見でな」
「俺の相棒も同じようなもんでして」
そう言いながらフォレストは鉄の剣に魔力を通す。返答は完全に間違いだったようだ。魔王が魔王としての顔を見せる。その身に纏う魔力が跳ね上がるのを感じる。
「俺を次元斬だけの男と思ってるのか?」
「思ってるわけないでしょう」
次の瞬間に両者の剣が合わさる。鍔競り合いを制したのはテツヤであったが、すぐに距離を取るフォレスト。剣技において魔王テツヤ=ヒノモトに敵うとは思っていない。だが、十分にテツヤ=ヒノモトと渡り合う剣技をもっているのは確かであった。その上破壊魔法も使いこなす。
「アイスウォール!」
氷の壁を作り出してテツヤの突進を防ぐ。だが、そんなフォレストをすら上回るのが魔王でありテツヤ=ヒノモトであった。魔王特有の特殊魔法がフォレストを襲う。
「吹きとべぇ! ヴェノム・エクスプロージョン!」
作り出された氷の壁が一瞬で吹き飛ぶ。しかし、その頃にはフォレストとテツヤ=ヒノモトとの距離はかなり離れていた。逃走を開始するフォレストにそれを追うテツヤ=ヒノモト。両者の常人離れした脚力で町からかなり離れていく。すでに周囲にはこの戦いを見ている魔人族は皆無である。
「速いな! やっぱり逃げるの無理か!」
「説明しろぉぉ!」
「すいませんが、それはできないんです!」
さらに追撃のヴェノム・エクスプロージョンが炸裂する。それをすべて躱すフォレスト。
「説明しないどころか、全力すら出すつもりがないのか!?」
「全力出したいんですけど、手持ちがないんです」
「それは残念だったなぁ!」
叫びながら南に向かって逃走するフォレスト。そしてそれを負いながらヴェノム・エクスプロージョンを連発する魔王テツヤ=ヒノモト。彼の怒りは本気であり、それに対してフォレストの逃走もまた本気であった。
「お前は俺の認めた男じゃなかったのか!? なんだってこんな事を!?」
「全部誤解ですね!」
「だったら、説明しろ!」
「ダメだって言われてんの! それにあっちのは俺じゃないです!」
追い付いたテツヤ=ヒノモトの刀が襲う。何回かはそれを弾く事が出来たがそれでも徐々に押し込まれてしまった。
「とりあえず死ねぇ!」
「とりあえずって何だぁ!?」
フォレストはとっさに斬られるのを覚悟する。そして斬られたあとの行動を考える。しかし覚悟が足りなかったのは魔王の方だったのかもしれない。明らかに殺気の込められていない攻撃を紙一重でかわすと、逆に魔王の腹に蹴りを入れる。吹き飛ばされるテツヤ=ヒノモトに追撃を行う。
「スピードアップ!」
加速して振り下ろされる剣撃を受け流す魔王テツヤ=ヒノモト。そして受け流したあとの反撃をかわすフォレスト。両者の戦いは間一髪の所でお互いを傷つけずに済んでいたが、いつどちらかが倒れるか分からないものであった。
「久しぶりだなぁ! こうやって斬り合うのも!」
「二度と御免だと思ったんですけどね!」
ガンガンと刀と剣が合わさり、広範囲爆撃魔法とそれに対抗する破壊魔法が交錯する。
「だが、ユーナのためにも今のお前を許すわけにはいかねえ! 次で最後にさせてもらうぜ!」
「それは困ります!」
魔王の刀に宿る魔力が跳ね上がる。実はこれはヨシヒロ神を斬るための技であり、他人に向けて使うのは初めてである。すでにほぼなんでも切れる次元斬は魔力を通したものであれば斬れない事も多く、特にスクラロ族の魔装はその魔力で構成された鎧であった。それをさらに上回る魔力を込めた刀で斬る次元斬、「次元斬・改」は威力があまりにも大きく、試し切りもできていない状況だったのである。そして都合よく、ここに次元斬を受けきることのできる魔力を込めた剣を持つ者が現れていた。そしてその者は特殊な事情があるのであろうが、テツヤにとって許されない事をしている。
「さらばだ!」
「んなもん、おとなしく受けるわけがないでしょう!」
テツヤが刀を振り下ろす瞬間に腕に巻き付く大量のノーム。これはハルキ=レイクサイドの得意技でもある。だが、フォレストが使ってくるとは思っていなかった。完全に刀を振り下ろす動作が遅れた事によってこれを躱すフォレスト。そしてまたしても蹴りを入れて吹き飛ぶテツヤ=ヒノモトであったが、今度の追撃は破壊魔法であった。
「フレイムバースト!」
「ヴェノム・エクスプロージョン!」
相殺するわけでなく、互いに互いの魔法がそれぞれに当たろうとする。お互いに最大出力であるためにただでは済まない威力だった。しかし…………。
「アイアンゴーレム!」
召喚されたアイアンゴーレムがそれぞれの魔法を受ける。さすがに強制送還されるが、テツヤもフォレストにもダメージはない。
「テツヤ様、うちの潜入諜報員に目立つ事をさせないでもらえますか?」
両者の間に入ったのはレイクサイド召喚騎士団第2部隊のアレクであった。
「アレクか、これは一体どういう事だ? 返答次第ではレイクサイドといえども許さんぞ」
「…………他言無用に願いますよ」
説明がなければフォレストへの攻撃が止まらないと思ったアレクは腹をくくる。フォレストの正体を領主ハルキ=レイクサイドはテツヤにすら秘密にする方針としていた。それはテツヤだけではなく、彼の同僚や家族も同じである。そうでもしない限りヨシヒロ神のネットワークから逃れる事はできない。ヨシヒロ神の中ではおそらく彼は死んだ事になっているのだ。レイクサイド領の中でもこれを知っているのはハルキ=レイクサイドとウォルター、そしてアレクのみである。アレクは数か月前から魔人族に変装してバンシの貧民街でフォレストと密会していた。
「召喚獣ドッペルゲンガーというのがいます。特定の人間の姿形、考え方などまで真似る事のできる召喚獣です。それは条件さえ満たせば殺された人間ですら真似る事ができると言われています。おそらくはヨシヒロ神が召喚しているのでしょう。こいつは死んだと思われてます。スクラロ軍を率いているのはドッペルゲンガーの方です」
テツヤが殺気と魔力を抑えてフォレストの方を振り返る。
「それで、魔人族の恰好をしてたのか。早く言えよな。シウバ!」
主人公ガ変ワッタナンテ嘘ヲ誰ガ言ッタンダ!?