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2-2 発覚

前回までのあらすじ!


バンシ解放!


……だったと思うんだけど、


数日前に書き溜めてた回だったからよく覚えてないんだよね ← イマココ!

 解放されたバンシの町にはまだまだ問題が山積みであった。しかし、スクラロ軍はすぐそこまで迫っている。「解放の聖女」サキは、反乱軍だけでスクラロ軍を撃破する事は不可能であると判断し、ヒノモト国への帰属および救援を要請、魔王テツヤ=ヒノモトはそれを承諾した。


「あれが、怪鳥ロックか! でかいな!」

 反乱軍の部隊長であるルタが騒いでいる。まだ成人していないポールとライラもはしゃいでいるが、それ以外は緊張の面持ちだ。ヒノモト国からは軍に先駆けて怪鳥ロックの部隊がバンシに入ると連絡を受けていた。それを率いるのは魔王テツヤ=ヒノモト本人であるという。出迎えは反乱軍の主だったもの全員で行うこととしているが、それでも不安で仕方のないくらいの名前だった。おそらくは、ここにいる全員が束になっても敵わないのであろう。

「サキ様、念のために護衛を増やしますかい?」

 遠目に見ても巨大である事がよく分かる怪鳥ロックが数頭やってくるのを見て怖気づいたのか、ジグがサキに進言する。ジグはガウディとは別の反乱軍を組織していた魔人族であったが、名目上はサキを将軍に押し上げてその下にガウディとジグの組織が付くという形をとった。反乱軍のナンバー3という立場になっている。ナンバー2のガウディはさっきから緊張しすぎて何もしゃべることができていない。

「今更です。それに、すでに魔王様にはこちらが見えているかもしれません。失礼のないように」

 すでに覚悟を決めているサキ。反乱が成功したとはいえ、その後は自分たちだけでの独立ができるなどとは思っていなかった。そして旧オーブリオン騎士団に所縁のあるものも多く、彼らが所属しているヒノモト国に帰属するのが最も現実的な手段と思われる。しかし、いざ魔王と対面するとなると緊張してしまうのだ。それだけ「神殺し」の名前はでかい。


 怪鳥がバンシの町に降り立つ。その数は7頭。これだけでもかなりの戦力である。さらにそれに乗っている人物たちの強さは計り知れないものがあるだろう。

「お前がサキか」

「は、はい」

 跪いているサキにテツヤが声をかける。プレッシャーで頭を上げることができない一同。

「顔が見えねえ」

 ゆっくりと顔をあげる。そこには「神殺し」を筆頭に7人のヒノモト国の精鋭たちが立っていた。

「サ、サキでございます。この度は救援の申し出を承諾いただき…」

「堅苦しい挨拶はなしだ。よく頑張ったな。さっそくだが本営に案内しろ」

「あ、はい」


 スクラロ軍が使っていた宿営地の本営はすでに反乱軍が接収して使用していた。ヒノモト軍がある程度の規模で救援にきても受け入れる事ができるほどである。反乱で、反乱軍も馬鹿にならないほどの損害を出していた。兵が足りない。

「しかし、謎がある。」

 本営に入るなり、魔王テツヤ=ヒノモトが言った。

「たしかにね」

 答えたのは「笑顔の虐殺者」魔王弟シン=ヒノモトである。続いて他の者も参加する。

「違和感ってやつですな」

 ライクバルト艦隊のカイトだ。実質、ヒノモト国の上から3人がここに終結した事になる。

「私が言えた義理ではないのですが、確かにそうですね」

 ハルト=オーブリオン騎士団長は旧オーブリトン王国の王子であり、白虎に滅ぼされていなければこの地は彼の者であったかもしれない人物である。まだ、実力的には足りないところもあるが、テツヤ=ヒノモト直々の特訓で徐々に頭角を現しだしていた。すでに側近のランドルフ=マートンは超えたのではないかと噂されており、名実ともに騎士団長になるのも近いと言われている。


 本営のソファに座って両側を側近たちで固めると魔王の威厳が凄まじい。ただでさえ感じ取れる魔力量が半端ないのである。それに加えて黒を基調とした服装に刀を持った魔王を見て怖れを感じない者は少なかった。その魔王がサキ達を一瞥して言う。

「お前らだけじゃないだろ? 反乱を成功させるには実力が足りなさすぎる。誰か他に強い奴がいたはずだ」


 ***


「という感じで魔王テツヤ=ヒノモトがお前を探しているので気を付けるように」

「…………マジかよ」

 バンシ貧民街の隠れ家。フォレストは相変わらずここである人物と会っていた。バンシの解放は成功し、その助力を行う事になったフォレストは当初の目的とはかけ離れた事ばかりしているのを少し焦っている。しかし、相手には焦りはないようだ。計画を変更してでも最終的な目標からは離れていないと考えているらしい。

「テツヤ様とヒノモトの精鋭が入ったんなら俺はもういいだろ? そろそろ完全にホームシックなんだけど」

「まだ駄目だ。作戦が成功するまでは帰るなとの命令だ」

「ほんとさ、誤解されながら生きていくのって辛いんだけど……」

「それよりも、新たな命令だ。まだバンシを離れてスクラロ島に行く必要はないが、スクラロ軍とヒノモト軍の戦いのサポートをしてほしいそうだ」

「どうやって? フォレストとして名乗り出ろと?」

 バンシの反乱においても目立つ行動をさけるために上層部以外にはフォレストの存在を知られていないはずである。これ以上何かをしようとすればスクラロ軍に認知される恐れがあった。一呼吸おいてその人物は言う。

「非常に言いにくい事なんだが、命令をそのまま言うぞ? これは俺の意見ではないという事を肝に銘じて聞いてくれ」

「なんだよ、もったいつけずに言えよ」

「では……『ばれないように。具体的には何も思いつかんから、なんとか頑張って』だそうだ」

 一瞬の沈黙、そしてフォレストはがっくりと項垂れる。

「マジかよ、あのクソ領主……」

「まあ、それは聞かなかったことにしといてやる。ドンマイ」

「お前の口からドンマイなんて言葉が出るとは思わんかったよ……」

「まあ、正直なところ同情している」

「勘弁してくれよ……」


 ***


「フォレスト見つけたぁ!!」

 大通りを歩いていると後ろからポールとライラが走ってきた。用件は分かる。フォレストをテツヤ=ヒノモトに紹介しようというのだろう。ずっと探し回っていたようだ。だが、フォレストとしてみれば今ここで目立ってヨシヒロ神に目をつけられるわけにはいかなかった。

「さて、どうするか」

「おいおい、フォレスト! 無視すんなって」

「ムシすんなって!」

 ポールの言う事をオウム返しするライラ。まだまだ成人の儀すら終わっていないこの2人は幼い。

「ポール、ライラ、お前らに頼みがある」

 フォレストはこの2人を利用する事を思いつく。

「これから言う事は絶対に誰にも言ってはならない事だ。サキにもガウディにもルタにもばれてはならない。お前らを信用したからこそ言うんだ。分かるな?」

 フォレストが急に真面目な顔になったために2人もつられる。ゴクリと唾を飲み込んでおり、緊張してこちらの言うことを聞いてくれるようだ。

「な、なんだよ?」

「ナンダヨ?」

「実は俺はこの前の戦いで怪我をしてしまってもう戦えない体なんだ。お前らの力になってやりたいんだが、それもできそうもない。せめてサキたちが心配しないようにと、これから姿を消そうと思う。俺の事は忘れて、バンシの未来の事を考えてくれ。」

「フォ、フォレスト……」

「俺にできるのはここまでだ。ポール、ライラ。サキを頼んだぞ。お前らにしか任せられねえ」

「わ、分かった。任せろ!お前の意志は俺たちが継ぐよ!」

「マカセロ!」




「って、そんな手に引っかかるかぁ!! 怪我して戦えないやつが朝から酒飲んでんじゃねぇぇ!」

 宿に帰ってビールを飲んでいるとルタが突っ込んできた。

「ポールとライラのやつらめ、喋りやがったな」

「純情な子供を騙してんじゃねぇよ! あいつら泣きそうな顔でめちゃくちゃ思い詰めてたぞ!?」

「お前らなら、これくらいで騙せると思ったんだけどな」

「んだとコラァ!」

「で、何か用か? バンシは解放されたから俺にはもう用はないはずだ。カーエーレー」

「魔王様がお前に会いたいんだとよ。同行してもらうぜ?」

 しかしフォレストは首を縦に振る事はない。

「断る。魔王なんかに用はないし、巻き込まれると面倒だ。それに今出会うわけにはいかん。下手したら色々とばれるしな」

「だが、この反乱が俺たちだけじゃできそうもないって事がばれててな、サキが喋っちまったんだよ。そしたら魔王様はお前に興味を持たれている。連れていかねえわけにいかなくなっちまったんだ。諦めてついて来いや」

「ヤダー。」


 しかし、フォレストは気づいていなかった。ルタが部隊長になったために基本的に1人で行動するわけではない。常に数人の部下が連れ添っている。そして、その部下だと思い込んでいた人物の中に本来であれば1人で行動なんてするわけがない人物がいた。少ししか離れていないから部下だと思っていたのも仕方がないかもしれない。だが、正確にはその人物はルタを追跡していた。

「ほーぅ、お前がフォレストねえ。フォレストねえ……おかしいなぁ」


 黒色の布生地を基調とした服に腰には刀を佩き、その魔力はいつもとは違い極力抑え気味にして人ごみに紛れ込んでいる。そう、「神殺し」の魔王テツヤ=ヒノモト、その人である。

「ま、魔王様!? なんでここに!」

「いやぁ、あわてて出ていくお前を見かけてな。お前を追えばそのフォレストとやらの所に行くだろうと思ってな。予想通り会えたわけだが、まさかフォレストとやらがねぇ……おかしいなぁ」

「…………ばれたか!? さらば!」

「さて、どういう事が説明してもらおうか……逃がさん!!」



 速攻で逃げ出したフォレストは結局町外れでテツヤ=ヒノモトに捕縛されたのだった。


次号フォレストの正体が明らかに!

……なると思ったら大間違いだ!

正体ばらしたら話があっという間に終わっちゃうだろう!


え?もうなんとなく予想ついてるから言わなくてもいいって?

そんなバカな!?

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