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女装探偵  作者: 相澤 沁
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護る者として3

佐々木蔵之介の「Guardean流・法的リスク最小化チェックリスト(Ver.1.0)」を健一と高木が揃って「すげぇ……」と呟いた翌日の午後。

Guardean事務所は、いつもより少し緊張感が漂っていた。

壁の資料棚は昨日よりさらに整理され、新しく追加された「佐々木専用フォルダ」が一つ増えている。

高木が、コーヒーを淹れながらぽつりと口を開いた。

「こんな郊外の小さい探偵事務所に、とんでもないブレインがついたな。」

声はいつものクールなトーンだが、どこか満足げだ。

高木はカップを二つテーブルに置き、自分の席に戻る。

健一は、向かいの椅子に腰を下ろしたまま、ただ静かに頷いた。

健一は、言葉少なに、でも深く同意を示す。

その短い一言に、すべてが込められていた。

佐々木は眼鏡を軽く押し上げ、穏やかな声で切り出した。

「皆さん、私の立場をはっきりさせておきたいのです。私は弁護士です。現場で皆さんと一緒に走り回るより、常に後方から証拠資料のまとめ、検証、法的なリスクの洗い出しに徹した方が、お互いの持ち味を最大限に活かせると結論づけました。」

健一がコーヒーを一口飲んで、静かに応じる。

「それが一番いいと思います。俺たちは『止める』のが仕事。佐々木さんは『守る』のが仕事。役割が被らない方が、チームとして強い。」

高木も頷き、付け加えた。

「佐々木さんが現場で急所突きとかやったら……ちょっと想像したくないです。」

佐々木は小さく笑い、すぐに真剣な表情に戻った。

「そこで、私の提案です。私は事務所——佐々木国際法律事務所に常駐しておりますが、Guardeanとの案件に関しては、事務所内に別室を用意し、専用のデスクを設置いたします。すべての資料処理、チェックリストの更新、法的バックアップはそこで私が一人で責任を持って行います。」

健一が目を細めた。

「別室……?」

佐々木は更に続けた。

「はい。そして、設置が完了次第、Guardean事務所からの遠隔操作を可能に設定します。専用サーバーを介して、私のデスクの画面をリアルタイムで共有。必要であれば、皆さんがいつでも閲覧・コメント出来るようにしておきます。もちろん、機密保持は徹底します。パスワードは……美穂さんの青いリボンにちなんだものを、また考えましょうか。」

高木が小さく息を吐き、珍しく口角を上げた。

「そこまでしてくれるんですか?」

佐々木は静かに、しかし力強く答えた。

「私も、もう『顧問』という立場で甘んじているつもりはありません。皆さんに『仲間』と認めていただいた以上、私の全力を捧げます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。」

健一は立ち上がり、佐々木に向かって軽く頭を下げた。

「こちらこそ。佐々木さん、これからも頼りにしてます。」

高木も、無言で深く頷く。

部屋に落ちたのは、短い沈黙。

でもそれは、信頼がさらに固まった証だった。

その日から、佐々木国際法律事務所の別室には「Guardean専用デスク」が置かれ、モニターには常にGuardeanの共有フォルダが映し出されるようになった。

佐々木はそこで、夜遅くまで資料を読み込み、チェックリストをVer.1.1、Ver.1.2と更新し続け、Guardeanのメンバーはいつでもその画面を覗きに——いや、確認しに——来られるようになった。

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