弔い
ガレキの中をくぐり抜け、
俺は2人と出会った。
いや、正確に言うと2人ではなかった。
『どうしてここに、、、、?』
『・・・・。』
『ああそうか。そうだよな。』
俺はこいつを知っている。
こいつの役目も知っている。
向き合う覚悟がないだけだ。
そいつの先には、
喫茶店のマスターと抱き抱えられた天野の姿。
天野を抱き抱える、マスター。
どういうことだ。
『あ、、まの?』
綺麗な顔立ち。
閉じられた目。
天野の体を見渡す。
『う、そだ、、、』
天野は静かに眠っている。
その下半身はすでに吹き飛んでいた。
さっきの爆発のせいだろうか。
『マスター、、、天野は、、、??』
マスターは顔を伏せたまま、体を震わせている。
『マスター、、、?天野は!?』
マスターは首を横に振った。
『そんな、、、』
俺は膝から崩れ落ちる。
そいつは俺に近づく。
『さっさと学校に戻れ。』
そいつは落ちていたベレー帽を俺に被せた。
俺の腕を掴もうとする。
『俺に、、触るな。』
『・・・・。』
悲しそうな目で俺を見る。
腕を振り払った。
『天野、、、あまのっ、、、、』
天野に近づく。
油臭い。
天野は死んでしまった。
もう動かない。
『うわっ、ああっ、ああああああ!』
俺は泣き叫んだ。
『天野は絵を描くのが好きなんだな。』
『好き、、どうでしょうか。好きだからやってるのか、そういう風にプログラムされてるからなのかわかりません。』
天野は表情を変えずにキャンバスに向き合う。
ひたむきな天野。
ひたむきな天野に見惚れていた。
天野は制服を脱ぎかけていて、そのブラジャーが露わになっていた。
見事な双丘も布越しにしっかり主張している。
『え、、あ、、その、、』
俺はだじろぐ。
『タケルさん、あの、恥ずかしいので、ちょっと待っていてください。』
天野は顔を紅潮させている。
『わ、悪い!!』
少しラブコメ王道の展開だった、
でもそれすらも、、、
涙が流れる。
涙なんて流れないはずなのに。
『これさ、、天野興味あるかな?』
『・・・これは、、』
『絵画展。貰い物なんだけどさ、、その絵が好きだろ??良かったら一緒に行かないか?』
『とても嬉しいです、タケルさん。』
心の底から笑う天野。
そんな天野が、、、
『天野、楽しかったか?』
『ええ、この上なく極上の時間でした。』
天野はボーっ顔を赤らめながらそんな風にコメントする。
『でも、、、』
天野はまた節目がちになる。
『もうこの時間も終わりなんですね。』
淋しそうに笑う天野。
そんな天野のも愛おしくて。
天野の手を握る。
強く、離さないように。
天野は『きゃっ。』と声をあげた。
『天野、必ず、必ず、絵画展成功させような!!』
天野は目を瞑る。
祈るように握った手に顔を近づける。
天野は微妙に俺と目は合わなかったがぼんやりこちらを見た。
『はい!』
ニコリと微笑みながら。
そんな天野のことが、俺は好きだったんだ。
天野はもういない。
ああ。
油臭い。




