表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/126

弔い

ガレキの中をくぐり抜け、

俺は2人と出会った。


いや、正確に言うと2人ではなかった。


『どうしてここに、、、、?』


『・・・・。』


『ああそうか。そうだよな。』


俺はこいつを知っている。

こいつの役目も知っている。


向き合う覚悟がないだけだ。



そいつの先には、

喫茶店のマスターと抱き抱えられた天野の姿。

天野を抱き抱える、マスター。

どういうことだ。


『あ、、まの?』


綺麗な顔立ち。

閉じられた目。


天野の体を見渡す。



『う、そだ、、、』


天野は静かに眠っている。

その下半身はすでに吹き飛んでいた。

さっきの爆発のせいだろうか。



『マスター、、、天野は、、、??』


マスターは顔を伏せたまま、体を震わせている。

『マスター、、、?天野は!?』


マスターは首を横に振った。


『そんな、、、』


俺は膝から崩れ落ちる。

そいつは俺に近づく。


『さっさと学校に戻れ。』


そいつは落ちていたベレー帽を俺に被せた。

俺の腕を掴もうとする。


『俺に、、触るな。』

『・・・・。』


悲しそうな目で俺を見る。

腕を振り払った。



『天野、、、あまのっ、、、、』


天野に近づく。

油臭い。

天野は死んでしまった。

もう動かない。



『うわっ、ああっ、ああああああ!』


俺は泣き叫んだ。





『天野は絵を描くのが好きなんだな。』


『好き、、どうでしょうか。好きだからやってるのか、そういう風にプログラムされてるからなのかわかりません。』


天野は表情を変えずにキャンバスに向き合う。


ひたむきな天野。




ひたむきな天野に見惚れていた。









天野は制服を脱ぎかけていて、そのブラジャーが露わになっていた。

見事な双丘も布越しにしっかり主張している。



『え、、あ、、その、、』


俺はだじろぐ。



『タケルさん、あの、恥ずかしいので、ちょっと待っていてください。』



天野は顔を紅潮させている。



『わ、悪い!!』





少しラブコメ王道の展開だった、

でもそれすらも、、、



涙が流れる。

涙なんて流れないはずなのに。








『これさ、、天野興味あるかな?』


『・・・これは、、』

『絵画展。貰い物なんだけどさ、、その絵が好きだろ??良かったら一緒に行かないか?』



『とても嬉しいです、タケルさん。』



心の底から笑う天野。

そんな天野が、、、








『天野、楽しかったか?』


『ええ、この上なく極上の時間でした。』


天野はボーっ顔を赤らめながらそんな風にコメントする。


『でも、、、』



天野はまた節目がちになる。

『もうこの時間も終わりなんですね。』




淋しそうに笑う天野。

そんな天野のも愛おしくて。








天野の手を握る。

強く、離さないように。

天野は『きゃっ。』と声をあげた。


『天野、必ず、必ず、絵画展成功させような!!』


天野は目を瞑る。

祈るように握った手に顔を近づける。




天野は微妙に俺と目は合わなかったがぼんやりこちらを見た。




『はい!』


ニコリと微笑みながら。









そんな天野のことが、俺は好きだったんだ。



天野はもういない。






ああ。

油臭い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ