23
だが、前者二つならともかく最後のは……問題が色々と生じる。
一か月間も買取を続けられるほどの残高は、宿屋資金には無い。
つまり誰かが地上にアイテムを売りに行かないといけないわけで。
あと、食材などの買い出しも必要だ。
弟妹にはそこそこのマジックバッグを持たせているけれど……地上で売買するとなると書類を書く関係上私かダーツかシュタインさんしかいない。シュタインさんは店長、私は宿維持、ダーツは買いとり担当なため外れることはできない。
となると現状では一か月ぶっぱは不可能となる。
そう、現状では、
さすがのダーツも即答を出来ず、しかし一番困る頼みごとがよりによって御貴族様なラウラ様から頼まれたため真剣に考えこんでいる。
「人員が足りないのならギルドの方で補充しよう」
「あー…うちからは人員は出せねえから、あれだ。輸送手数料をもうちょい上げてもいいから頼む」
「今、在庫が捌き切れないと聞く。もし一月の間迷宮で宿屋を経営してくれるのならば当家の方で在庫をある程度引き受けよう」
悩んでいたらなんか良い条件が来た!!
「在庫を引き取っていただけるとおっしゃりますが如何ほどでしょうか?」
在庫処分はもっとも私たちの求める条件で、ダーツの勢いにたじろぎながらもラウラさんは残った蟻の素材の八割を引き取ることを約束してくれた。
大口顧客がいるのは正直な話、書類の枚数が減るのでとても助かる。
かくして、迷宮宿屋本店、第二支店は準備が整い次第迷宮の中へと舞い戻ることとなった。
おかしいなあ、迷宮ボスはもういなくなってわりと安全な迷宮になったのに。
私たちのデスマーチは全然終わらなかった。むしろ悪化した。
状況が状況なので、宿の支度はネロとリリエラとシュタインさんに完全に任せきって私とダーツと、助っ人に来てくれたマキエ姐さんの三人で結果的に地上に出て二日目の夜に書類仕事を捌き切った。
そして書類から解放された三日目、朝から問答無用で迷宮へと連行された。
書類を書きながらもMPは常に支店の拡張に回していた。
でもまだキャンプ場としても小さめなのでまず初めに下層に降りて、もろもろの支度をしてから中層に支店を設置。あとは扉が消えない様に管理しつつ都度拡張したらいかがでしょう?
そうシュタインさんに問いかけられた時にはもう頷く以外の余力などなかった。
もう 疲れました……。




