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「ァァァァアアアアアアア、キィィィイイイイ!!」
耳が割れそうな甲高い金切り声をあげたと思うと、頭が真っ二つに割れた女王蟻はアイズさんとメルディさんを投げ飛ばした。
ロディと同じように壁にめり込んだ二人を擁護する声が、今度は聞こえなかった。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「全員退避!!」
女王蟻が、巨体な蟻がその場で激しくのたうち回り出したのだ。皆、二人のこと処ではなく慌てて女王蟻から距離を取る。
ドガン!ガン!ガガン!
激しく暴れる女王蟻のせいで地面が激しく揺れて、咄嗟に壁につかまって下を見下ろす。
卵も、キノコ蟻も、何もかを巻き込んでガムシャラに暴れる巨大な蟻。
凄まじい土埃と、引きちぎられたキノコから出た煙で下がどんどん見えなくなってくる。
――――誰も、退避してこない。
なんで。なんで来ないの。
ゴゴゴゴゴゴ
焦りだしたその時だった。
「姉ちゃん!!」
リオが私の肩を掴んで咄嗟に座らせてきたのだ。
「『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』『物理結界!』」
何度も繰り返される詠唱。分厚くなっていき、立つこともままならなくなる結界内。
理解をするのに、少し時間がかかった。
気づけたのは宿屋の扉がある方向の通路に……ガラガラと落石が落ちてきたのを見たから。
―――落盤!そうか、女王蟻の暴れる振動で!!
「『ぶつりけっか…ごほっ』」
「リオ、これ飲んで!」
何度も詠唱してクラっと身体を揺らしたリオの様子で、MP切れを疑ってポーションを渡すとリオは黙ってそれを飲んでまた連続詠唱を始めた。
ロディが立っても余裕だった結界が、私の胸元ほどのサイズになるまで多重結界で結界層が厚くなったころようやく地響きは消えた。
落石がみっちり詰まった天井。最早道が無くなった退路。
そしてハッと我に返って穴の下を見ると、女王蟻はもう暴れていなかった。
まだ土埃は酷く、煙幕のようになっているが巨体が故に女王蟻が動いてないことはわかる。
壁に張り付いていたキノコ蟻も一匹も見えず……息を飲んで、下を見守る。
徐々に、煙がはれていく。
死んだ蟻。
割れた卵。
もう動かない巨大な女王蟻。
えぐれた大地に、瀕死の蟻。
――――私の大切な人達は、そこに一人も居なかった。




