オープニング「昔話のはじまり」
「学校七不思議ですよ、七不思議!」
「……はい?」
私は思わず素っ頓狂な声をあげる。
その日、ヤコは私の部屋に泊まる予定だった。また、レイトショーを観に行く予定でもあった。
映画館の入場が八時半を過ぎるので、一旦私の部屋で時間を潰すつもりになった。
レイトショーを観て、どこか雰囲気のある場所で遅めの夕飯を頂いて、明日は休みだから遅くまで二人でまったりと過ごして、明日の昼過ぎに起きだして、またまったりと休日を過ごす。
そんな予定を私たちは立てていた。
「トイレの花子さんとか、勝手に鳴りだすピアノとか」
時間潰しに、テレビをバックミュージック代わりにしながら、他愛もない話をしていたら、ヤコが急にそんなことを言い出す。
確かそう……、観に行くつもりの映画は、家族愛が主軸だったかしら。
誘ってきたのはヤコの方だったものだから、本当に驚いた。
けれど結局のところ彼女は、日に一度は、オカルティックな言葉を口にしなければならない病気を患っているらしい。
とても難儀なことだと思うわ、ええ、本当に。
「なっちゃんが通ってたとこには、なんかそういうのなかったんですか? 中学でも、小学でもいいですけど」
「そうねぇ……」
人差し指を口元に添えて、しばし熟考するフリをする。
実を言えば、すぐに思い浮かんだ物語がある。
それは私が高校生の頃の体験談だ。
「……じゃ、少しだけ昔の話をしましょうか」




