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作者への反逆〜転生したので、春の運命を書き換えてみせます〜  作者: 太幽


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22/22

作者への反逆〜あとがきも書き換えます〜

【あとがき】作者への反逆~あとがきも書き換えます~



まず、『作者への反逆』をここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作品は僕のデビュー作である『時雨の焼印』に熱狂的な愛読者が入り込むという異世界設定で話を作りました。


『時雨の焼印』と『作者への反逆』——この二つの物語を、最後まで読み通してくださった方…


「やっと見つけたぁぁぁぁぁ!」


ドガァッ!!


「なんだ!!!!」


太幽が振り向くと、LEDライトの逆光で見事に顔が隠れた1人の女が鋭い目つきをして立っていた


「太幽ぅぅぅ…」


虎が威嚇で使うような低く掠れた声、まるで積年の恨みを果たすかのような雰囲気


「よくも私を感電死なんて書き方で終わらせてくれたわね!しかも死んだと思ったら何っ!実は死んでなくて私と春の魂の融合がこっちでもあって!意識失ってる間に男の子に心配蘇生されてた!?なんてシナリオ書いてくれたのよ!」


「あぁ…お前、椿?キャラデザイン考えてなかったから気づかんかったわ」


この太幽の無関心な発言に、椿は逆上した


「!?!?!?あ゙ッ$%&#!」


「まあまあ、落ち着け椿。せっかく来たなら、お前からも一言あれよ」


太幽が指を鳴らす…だが


「太幽…鳴らないなら下手に格好つけない方がいいと思うんだ…」


興奮状態だった椿の怒りは一気に呆れへと転換された。


そんな時、一冊のノートがどこからともなく現れた。


否、それは紛れもなく『作者への反逆』の最終話


「何?これ?」


「台本!お前が読者に言いたいこと書いておいたからそのまま読め」


「こんな台本なんか無くても!私は私のやり方で締めれるわよ!バカにしないでよね!ここは私の席よ!あんたは出て行って!」


太幽は苦笑いをしながらコンビニに向かった。



そして椿は、遠くを見つめるように、少しだけ微笑んだ。


「この物語は『時雨の焼印』で最も残酷な最期を迎えた、春の人生を書き換えた物語です。」


椿は冒頭の挨拶をしながら、太幽の机に置いてあったきび団子を開け、モゴモゴさせながら話を続けた。


「時雨の焼印は、時雨が復讐に燃え、愛を知り、彼女の想いが現代まで紡がれる物語として『私』はその捨て駒にされた…そしてこの物語は私が物語の核を守りつつ、強制修正が入らない程度に歴史の中身を変えていく物語…」


「……とまあ、そういうことよ」


椿は団子の最後の一口を飲み込み、ぺろりと指を舐めた。


「要するにね、読者が『時雨の焼印』で泣いてる間に、太幽は次の仕掛けを用意してたわけ。」


「物語の余白に入り込めたのは、あの時代の人たちが『わからないこと』を素直に受け入れる人たちだったからなんだよね。科学なんて概念がない。悪夢は正夢。幽霊も、妖怪も、もののけも、乗り移りも——みんな『あるもの』として生きてた。父ちゃんも兄ちゃんも、急に変わった私に戸惑いはあったと思う。でも、情報がない世界だからこそ、受け入れるしかなかった。太幽のその裏設定がなかったら、私は物語の隙間に入り込めなかった」


彼女は懐から、何の変哲もない石を一つ取り出した。


「これはね、鬼ヶ島で拾った石…頭領の墓石じゃないからね!」


椿はそれを、指でそっとなぞった。


「あの島で、頭領に『生きて償え』って言った。短刀を海に投げ捨てて、代わりに石を墓標として渡した…あの時、『死ぬのもバカらしくなった』って頭領は笑ってたんだ。何十年も鬼と呼ばれて生きた男が、ただの石を抱えて、畑を耕し始めた」


彼女は石をそっと机の上に置いた。コトリ、と小さな音がした。


「だからこれはあの男が、自分で選んだ『生』の証。私はただ、そのきっかけを作っただけ。それでも——人は小さなきっかけがあれば、それだけで人生を変えることができる。この石のように、五百年後の誰かに伝える事もできる。すごくない?」


彼女は顔を上げ、まっすぐ前を見据えた。その目は、戦国時代を生きたくノ一の鋭さと、現代を生きる一人の女の優しさが、静かに溶け合っていた。


そこに——


「終わった?」


コンビニの袋を提げた太幽が、ひょっこりと顔を出した。


「……あんた、どこ行ってたのよ」


「いや、小腹が空いてな。お前が団子食ってるの見てたら、俺も何か欲しくなった」


「人のあとがきを乗っ取っといて、よくもまあそんな暢気な…」


「あ!あの団子消費期限過ぎてるからね」


「はぁ!?」


太幽は袋からおにぎりを取り出しながら、あっけらかんと言った。


「本当、お前は椿だよな…」



太幽はおにぎりを一口かじり、それから読者に向かって言った。


「今回、僕は最後に三つの魂を現世に呼び込んだ。真の転生者は——まさかの春だ」


「ちょっと!それ私が説明しようとしてたのに!」


太幽は構わず続けた。


「整理するぞ。①——感電して本の中に入り込んだ椿。こいつは春の身体に入り、戦国時代を生きた。そして現代に戻り、三十歳の体で十二年分の記憶を継承して復活した」


「②——心配蘇生のせいで、春の半分は椿の身体に入り、現世で記憶が融合されて復活。こいつは太幽の小説を読んで、自分が歴史を変えるために戦ってることを知った。その後、現世で一般人として生きた」


「③——①の椿が目覚めてから先の人生。これは誰に決められたことでもない。自分がこれからどう生きるかを、自分で決める——『第三の物語』だ」


太幽は、おにぎりの最後の一口を飲み込んだ。


「ってか!ややこしいわ!整理されても理解できないって!」


太幽はそのまま続けた。


「この『第三の物語』の主人公は、読者一人ひとりの中にある。椿…お前がこれからどう生きるか——それを決めるのは、お前自身だ。弥助も言ってたろ。『これから先どうするかが重要なんじゃないか』って」


椿は、呆れたように、でもどこか嬉しそうに笑った。


「……そこでそのセリフは…ずるい」


「僕の中でもかなり好きな言葉だからね」


「自分で書いといて言う?そんな事」


「書いたのは僕だけど、物語のキャラクターが勝手に発した言葉であって僕が考えた言葉じゃない…この感覚分かるかなー?」


二人は顔を見合わせ、同時に吹き出した。


「……太幽」


「ん?」


「歴史はどうやって調べたの?」


「んなもんAIに決まってるじゃん!歴史1を舐めんな!」


太幽は筆を摘んで回し始めた


「本当に1だったんだ!」


「……シロの話の時、あからさまに駆け足感出てなかった?マジで歴史ダメなのよ!」


椿は太幽の衝撃的な発言に目を見開いた


「安土桃山時代の暮らし、状態、思想に至るまで…教科書に載ってないところを調べ尽くして、教科書に載ってるところをAIに任せた?バカ?」


「今この瞬間に思ったわ!面倒な事やったなって自覚してるよ!」


——こうして、あとがきは彼らによって締めが悪くなって行った。


でも、それでいい。物語は、作者だけのものじゃない。読んだ者の心の中で、いつまでも生き続けるものだから。


彼女たちの想いは、これからもずっと——きび団子の味が語り継がれる限り、あなたの心の中に。


【あとがき/椿と太幽】


今を生きる皆様へ

10秒先もわからない人生です。

これからどう生きるか、自分の物語を自分で作り上げてください。


この物語を読んだ皆さん、いつか「読後からこんな人生を歩みました!」と報告があると嬉しいです。


その頃には、このプラットフォームは別の形になってるかもしれない、存在しないかもしれない。


あなたの未来に幸あれ。


ーーーー


「だ…だいゆう…トイレ貸して…」


「ん?賞味期限切れてるとはいえ…そんな早く来る?」


【完】


「あー…これ三年前に切れてる…こりゃ難儀だ」


太幽はきび団子の包み紙をゴミ箱に捨てた


「…ん?包み紙…紙?…やべぇ、トイレの紙切らしてた…」



またな!

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