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宇宙海賊やろう!  作者: 池田 和美
31/51

宇宙海賊やろう! さんじゅういち

 宇宙軍の演習が始まります



 フレッドはダンゾーに預かりの身である。よって生活パターンは他の乗組員とは違い、ダンゾーと同じ怠け者(レイジー・フェロー)と呼ばれる変則的な物となっていた。

 つまり朝九時に出勤して夕方の五時に終業するという、サラリーマンのような生活である。三食は船長公室で一緒に食べるし、寝るのは贅沢にも個室を一人で使用していた。

 これが男の密航者が海賊見習いとして修業を始めた場合、陸戦隊に配属されて、A、B、R、Sのどれかの舷に振り分けられて、寝る暇もないほどこき使われることになる。

 それでもフレッドは、毎日の戦闘訓練も欠かさず参加して、素早く簡易宇宙服を身に着けることができるようになってきたし、地上で暮らしていた時と違って栄養状態が改善されたのか、力もついてきたような気がした。試しに、初日に持ち上げられなかったポンポン砲の液体金属が入ったボンベを持ち上げてみようとした。

 前は床から上がりもしなかったが、浮かせることはできた。まあ、他の陸戦隊員のように軽々と運ぶまではいかなかったが。

 少しは海賊に近づけたような気がする。まあ、同じ女でもダンゾーなんかは平気な顔をしてボンベを(しかも二つ同時に)持ち上げてみせるのだが。

 通常の乗組員は四日に一回の割合で公休がやってきて、二十四時間の自由が与えられる。いまは港に停泊している事から、遊ぶために<カゴハラ>へ中継ステーション経由で上陸しに行く者も多かった。

 もちろん時間の使い方は人それぞれであるから、まったく<メアリー・テラコッタ>から降りようとしない者もいた。

 ダンゾーと同じ生活パターンを取っているフレッドの休みは、そういう「戦闘員」とは違った物だった。四日に一回ではなくカレンダーの曜日で休みが決まっていた。水曜日の午後半休と、日曜日の全休である。

 レイジー・フェローは四人いるのだから、曜日をずらして取るべきなのだろうが、船長のコクーンとまったく同じであった。さすがに副長のアキテーヌはコクーンとはパターンを変えており、土曜午後を半休にし、火曜日の全休にしていた。先任伍長のジャックは月曜午後が半休で、金曜日を全休にしていた。

 もちろん緊急事態があればすぐに休日は返上となる。まあ、そこのところは上も下も無いので公平と言えた。

 いまだ宇宙海賊船<メアリー・テラコッタ>での生活に慣れていないフレッドは、休みだからといっても上陸せずに、船内に留まっていた。ただ単純に筋肉痛などの体の些細な不調を解消するために、睡眠時間に費やしていただけであるが。

 そんな宇宙海賊の見習いのそのまた見習いが怠惰な時間を過ごしていても、確実にグンマ宇宙軍の演習は迫っていた。各駆逐艦には宇宙艇が取りつき、最終的な調整などが行われていた。

 駆逐艦には前後方向の艦軸に沿って、左右の上下に長い凹みが設けられていた。なんのための凹みかというと、自身の六割ほどにもなる長さを持った対宇宙戦艦ミサイルを抱えるための物だ。

 長い円筒形をした対宇宙戦艦ミサイルは、一撃必殺を文字通りにする大型ミサイルである。一発でも直撃すれば、いかな重装甲の宇宙戦艦でも大破して行動不能にさせることができる。二発も当たれば撃沈確実だ。

 その対宇宙戦艦ミサイルが順次、作業船により外されていた。ミサイル揚収艇が取りつき、艇体に似つかわしくない程の大きさをしたロボットアームでミサイル本体を掴むと、駆逐艦側のロック機構が切られて無事に外される。ミサイルの太く長い胴体にはもちろん大量の燃料が詰まっている。それが、わずかな静電気などでも発火の可能性があるので、作業に携わっている技術者たちが緊張する瞬間であった。

 駆逐艦から外された対宇宙戦艦ミサイルは、複数いる訓練支援船の中で工作船に分類される船へと集められた。駆逐艦と同じく工場から出て来たばかりの新品ミサイルであるからチェックが必要なのだ。

 この宇宙戦艦すら大量生産される時代に、不良品の発生率は極低い物にはなっていたが、一〇〇パーセントということはあり得なかった。一隻当たり四発抱えているミサイルを三個戦隊分、合計四八発も揃えば、一発ぐらいは部品の組違いなどのトラブルのもとになる不良を疑った方がよい。もちろん不良品の発生率から計算すれば、そんな確率で異常が発見されないはずだが、念には念を入れてである。

 ミサイルはそのまま駆逐艦へは返却されず、今度は弾頭の交換が開始される。練習の度に高価な対宇宙戦艦ミサイルを消費していたら、補給部門の高級将校が目を回してひっくり返ってしまう事だろう。一発で宇宙戦艦を大破させるミサイルである。威力も相当だが、お値段も相当なのだ。

 よってさらにその先に荒木提督が考えている対戦艦襲撃訓練に向けて、模擬弾頭に交換するのだ。

 模擬弾頭は、質量は実弾である重核子弾頭と同じであるが、ただの閃光弾が込められた物である。ミサイル本体が標的を自分の被害半径に捉えた時に、本来なら重核子弾頭を作動させる信管で、小さな閃光弾だけを発火させ、命中したと判定できるようになっていた。

 その作業は全てグンマ宇宙軍と契約した民間の企業が請け負っていた。<メアリー・テラコッタ>と同じである。

 三個戦隊分のミサイルと言ったが、襲撃役を命じられた第一六駆逐戦隊の四隻は、対宇宙戦艦ミサイルは抱えたままだった。

 防衛側の駆逐艦は、機動力を上げるためにミサイルをはじめとする重量物を外しているのは実戦でも普通の事で、また襲撃側が一番威力のある武器を装備していないのは不自然であるからである。

 グンマ宇宙軍が<カゴハラ>に配置した駆逐艦は、すべてグラジオラス級駆逐艦である。同型艦という事は、同じ主缶に、同じ主機を搭載しているということだ。違いは襲撃側が、艦体の六割を超える大きさ持つ対宇宙戦艦ミサイルを抱えているだけということになる。

 これは宇宙空間で機動戦するのに、だいぶハンデとなりうる要素だ。単純に物は軽い方が小さな力で動かすことができるという、物理学がどうこうという以前の問題である。

 同じ力で動かすなら、より軽い方が楽に物が動かせる。つまり防御側のミサイルを降ろした駆逐艦の方が、機動力は確実に上がっているのだ。

 これでは最初から機動戦に持ち込まれたら、襲撃側には勝ち目はない。ある意味、出来レースとも言える状況だが、戦術を工夫すれば三倍の敵を振り切って、一度ぐらいはミサイルを放つ瞬間を作れるかもしれなかった。

 そこは第一六駆逐隊司令の岡田大佐の腕の見せ所であった。

 同じ日曜日、本当ならダンゾーの部屋であるはずの個室にフレッドがこもっていると、船内放送のスピーカが号笛の代わりにピーフィーとそれまで聞いた事のない鳴り方をした。

「?」

 孤児院から送られてきた段ボールから取り出したタブレット端末で、通信制授業の課題に取り掛かっていたフレッドは、寝そべっていたベッドから体を起こすと気密扉を薄く開けて通路の様子を確認した。

 なにも変わりはないと思って閉めようとした時に、ドヤドヤと複数の足音が近づいてくる気配があった。

 いま自分が着ているのは、孤児院の時に普段着としていた上下スウェット姿である。まあ<メアリー・テラコッタ>の海賊どもに見られても大丈夫かと、薄く開けたままで様子を見ていると、通路を集団が歩いて来た。

 先頭を歩く戦闘服に筋肉ムキムキのマッチョマンは見覚えがある。頭に巻いた黄色いタオルがトレードマークは陸戦隊のホーサムだ。腰に巻いたガンベルトからは、ハーフポケットだらけのホルダーと、海賊式蛮刀(カトラス)を提げているのは相変わらずだ。

 彼に先導されて歩いてくるのは、宇宙海賊船<メアリー・テラコッタ>では珍しい軍服姿の男女であった。

 どうやらグンマ宇宙軍からのお客さんであるようだ。

 三人の後ろから、気密扉の敷居を大儀そうに跨ぎ越しているのは副長アキテーヌだとすぐにわかる。ドワーフは地球系宇宙人より足が短いので、こういったところに難渋するのだ。

 さすがにスウェット姿を外部の人間に見られるわけも行かず、慌てて気密扉を閉めた。

(そういえば宇宙軍の会議で、日曜日に審判がどうたら言っていた気がする)

 フレッドは手早く戦闘服を身に着けると、気密扉に取って返した。

 通路を少し行った先、バツゲームのおかげで覚えた船内地図だと、高級客室として使われるかつての司令官公室の方から声がしていた。

 好奇心のままにフレッドは通路に出ると、ちょうど茶器を乗せたワゴンをオハナが押してやって来るところだった。

「おはようございます」

「はい、おはよう。どうしたの?」

 挨拶をすると気のいい彼女は笑顔でこたえてくれた。

「お客さんですか?」

 目線だけで客室の方を指差すと、ニッコリ笑顔で頷いた。

「グンマ宇宙軍の軍人さん。司令部から出向ですって。来週やる訓練の審判官ですって」

「しんぱんかん?」

「訓練で実際にブラスターやミサイルを撃つわけにはいかないでしょ?」

 オハナの確認に、毎日行っている戦闘訓練が頭をよぎった。ついでにダンゾーに蹴られるほどの事をした失敗もよぎった。たしかに照準はつけるが、実際に射撃はしていなかった。

「はい」

「だからブラスターの代わりに照準つけるときに使うレーザーとか、ミサイルは撃った振りとか、本物じゃない物を撃ち合うわけ。で、それが当たったか外れたのかを決めるのがお仕事」

「あ~」

 なるほどと思ったが、疑問も浮かんだ。

「機械じゃダメなんですか?」

「よく分からないけど、ダメみたいよ。詳しいことは第一分隊の人に訊いて、ね」

 それ以上のお喋りは時間が足りないとばかりに、オハナはワゴンへ視線を移した。たしかに客人へお茶ぐらいは出さないことには失礼であろう。

「え? じゃあ、ずっと居るってことですか?」

「一週間か、二週間。ずっとみたいよ」

「うへえ」

 二人しか乗船してこなかったという事は、訓練時間が決まっているのだろうか。そうでない場合は、二十四時間交代で仕事をすることになるから、食事もまともにできないのではないだろうか。

 いまだ訓練以外で戦闘配置や警戒配置を経験していないので、お風呂に入れない生活はフレッドには考えられないのであった。

 審判官の二人とは、その日の夕食に会う事が出来た。レイジー・フェローも休日だとしても船内にいれば、食事は船長公室での会食が基本である。三時間ほど中継ステーションへ上陸していたダンゾーも、夕食時には帰船していた。

 審判官の一人は階級が大尉で、堀江と名乗った。客人ながら階級がそんなに高くないからか、席はダンゾーの向かい側という、一番の上座であるコクーンからはだいぶ離れた席であった。

 グンマ宇宙軍…、というより<カゴハラ>駐留部隊の特徴と言っていいだろう、彼も若い将校であった。ちょっと肌が黒いのは、宇宙焼けと言われる物では無くて、生来の物であるようだ。

 もう一人は二等宙曹(ちゅうそう)というフレッドには具体的に偉いのか偉くないのか分からない階級の女だった。自己紹介で恩田と名乗った。彼女は堀江大尉の横の席、つまりフレッドの前に座った。

 後でリーブスに訊いたところによると、他の宇宙軍では軍曹に当たる階級だと教えてくれた。軍隊というところは、だいたい不慣れな将校に、ベテランの下士官がついて仕事のサポートをするそうだ。下士官ながら船長公室で食事となったのは、やはりお客さんだからだそうだ。

 ベテラン二曹とは言っても、恩田も結構若い分類に入る年齢に見えた。化粧のせいで女の年齢は分かりにくいが、おそらくサドやジャックまで行っていない。レディ・ユミルよりは上のようだが、ベテランと言うには少々年季が足りないように見えた。

 フレッドが知らない事だが、やはりグンマ宇宙軍の人材不足は深刻なようである。

 二人は演習が終わるまで<メアリー・テラコッタ>の客室で生活するそうだ。さすがに男女同衾というわけにはいかず、上司たる堀江大尉が奥の司令官私室を恩田二曹に譲り、自分は公室の端で事務所から借りた布団を敷いて寝起きするらしい。

 まあ風呂やトイレは司令官私室に付属しているので、そこは二人でうまく譲り合って使用してもらうことになるだろう。

 審判官としての仕事は<メアリー・テラコッタ>の船橋(ブリッジ)で行うようだ。情報を収集するなら、本来ならばセントラル・コントロールで行うのが最も効率がいい。なにせ<メアリー・テラコッタ>の全てのレーダーやセンサーの情報が集まる場所だからだ。

 だが、さすがに海賊どもの間でも立ち入り制限をかけているセントラル・コントロールに、外部の者を入れるわけにはいかないようだ。

 いちおう<メアリー・テラコッタ>と同じイサリオン級軽巡洋艦の情報収集能力は知れ渡っているが、秘密にできる物ならなるべく秘密にしておいた方が良い分野だからだ。

 これはフレッドがあずかり知らぬことだが、グンマ宇宙軍のデータリンクへ不正アクセスしているのが一発でバレてしまうということもあった。

 演習自体は二十四時間、第一六駆逐戦隊がいつ襲撃してもいいようにと、会議で内容を決める時に言っていた。つまり深夜に第一六駆逐戦隊が夜討ち朝駆けで襲撃を企画した時に、審判官のどちらかは寝床から叩き起こされるということになりそうだ。

 だが二人はレイジー・フェローのごとく、ゆっくりと朝食をとってから仕事に取り掛かる事が出来た。

 二人で勤務が間に合うカラクリは簡単な物だった。

 毎日一回課せられた襲撃に合わせてつけられた条件、ニイボリ星区三丁目四番地より襲撃を開始するという物のせいだ。

 ニイボリ星区三丁目四番地には惑星は存在していなかった。もし存在していたら慣習的に<マルス・カゴハラ>と呼ばれるはずの岩塊は、軌道上に無数の存在として散らばっていた。いわゆる「小惑星帯(アステロイドベルト)」である。

 ニイボリ星区三丁目四番地にあたるアステロイドベルトは、地球がある太陽系の環状に広がった物よりも広域かつ立体的で、球としてすっぽりと内惑星系を包み込んでいた。ここまでになると「アステロイドゾーン」と言った方が正解かもしれない。

 宇宙考古学者などは、エルフなどの先史文明がダイソン球を建造途中に何らかの理由で放置したのではないかと分析しているが、いまだ色々な学説が発表されて定かでは無い。

 ただ立体的なアステロイドゾーンの中に、半球の形をした<マルス・カゴハラ・レッド>と、<マルス・カゴハラ・ブルー>が存在した。

 矮惑星ほどの大きさをしたこの二つの小惑星と、もう一つ外側のニイボリ星区三丁目五番地に存在する超木星型惑星(ガスジャイアント)<ユピテル・カゴハラ>は、母星<ニイボリ・スリー>に対して軌道が共振しており、三つの存在で正三角形を作るように公転していた。

 ニイボリ星区三丁目四番地の軌道で先行する<マルス・カゴハラ・レッド>、同五番地の軌道を周回する<ユピテル・カゴハラ>、そして二つの星を追いかけるように動いている<マルス・カゴハラ・ブルー>は、<カゴハラ>から見るといつも三ツ星として並んでいるように見えた。

 とくに<ユピテル・カゴハラ>は黄色く輝いており、二つの小惑星がそれぞれ名前の元になった色をしているので「夜空の信号機」として宇宙に興味のない<カゴハラ>市民にも親しまれている存在だ。もちろん<カゴハラ>の位置によっては二灯式信号機に見えることもある。

 ニイボリ星区三丁目四番地のアステロイドゾーンは、この三ツ星の重力が相互作用して、球形に整理されている物のようだ。

 よってニイボリ星区三丁目四番地には、駆逐艦が隠れる障害物には困らないのだ。

 第一六駆逐戦隊は、ニイボリ星区三丁目四番地へと進出したら、たくさんある小惑星の影を利用する事が出来る。もちろん出航からニイボリ星区三丁目四番地へ辿り着くまで、艦隊側が索敵するのは禁止だ。そうでないと訓練にならないからだ。

 第一六駆逐戦隊が球形のアステロイドゾーンに身を潜めながら移動し、<カゴハラ>の静止衛星軌道上にある中継ステーション近傍の漂泊宙域を襲撃しようとした場合、ほぼ母星である<ニイボリ・スリー>側からの攻撃を企画する。

 これはなぜかというと、戦闘では「上」を取ることが基本だからだ。宇宙空間には上下が無いはずだが、分かっていても知的生命体は、恒星がある方向はやはり「上」と認識してしまうものだ。それに恒星が強烈な光や電波、太陽風の発生源であるということも大きい。それらに紛れて接近する方が、何もない空間で距離を縮めるよりも簡単だからだ。

 真夜中、つまり〇〇〇〇(マルマルマルマル)時に中継ステーションを出港しても、第四惑星軌道上に到達するのが加減速を入れて一時間後となる。

 もちろん馬鹿正直に、ニイボリ星区三丁目四番地からすぐに取って返して襲撃すれば、出港から二時間後には襲撃ができることになるが、そんな芸のないことをすれば指揮官の能力は「無能」との判定が下されるだろう。

 恒星を利用するためには、そのままニイボリ星区三丁目四番地の軌道を<ニイボリ・スリー>の向こう側に辿り着くまで半周することになる。だいたい駆逐艦の足だと約七時間かかる距離だ。

 さらに急加減速などの遠くから見ても位置がバレる機動を取らずに、静かにアステロイドゾーン内を移動するとなると、もっと時間を取られる事になる。

 そしてニイボリ星区三丁目四番地の反対側に回り込み、そこから<ニイボリ・スリー>を経由して<カゴハラ>まで、直線で飛んだとして三時間強かかるので、合計十一時間の行程だ。

つまりお昼になっているのである。

 ちょうど<カゴハラ>の自転に合わせて中継ステーションも<ニイボリ・スリー>側に来ているので、襲撃はしやすいことになる。

 審判官の二人が、いつもの時間に起床し、ゆっくりと朝食を摂り、<メアリー・テラコッタ>の乗組員と談笑など交わしてからブリッジに上がっても、まだお釣りが来る時間である。

 そして一日一回の襲撃が終わったら、昼食を片付け、与えられた船室へ戻ると、今日の評価をレポートとして作成する事ができた。

 もちろん多少は時間の前後はあるが、その繰り返しであった。

 演習のタイムスケジュールはそうとして、中身の方はどうだったかというと、これまた<メアリー・テラコッタ>にやる事は無かった。

 なにせ単純に駆逐艦の数が三倍である。それに加えて対宇宙戦艦ミサイル搭載というアドバンテージもある。

 大抵の場合は、いくら<ニイボリ・スリー>が索敵の邪魔をしてくれるとは言っても<カゴハラ>側に回り込んだところで探知され、旗艦<キタノシゲオ>から進出迎撃を命じられた駆逐戦隊によって機動戦に持ち込まれ、全艦が撃沈の判定を受けていた。

 宇宙海賊船<メアリー・テラコッタ>の防御戦闘の的にすらならないのであった。




 解説の続き


休日:ダンゾーの休みがコクーンと同じなのは、休暇中もそばにいられるようにだろう

部品の組違い:まさかそんなと思う方もいるかもしれない。でもこれだけシステマチックに生産が管理されている現代だって、旅客機の脚のボルトが一本足りなくて胴体着陸なんていう事があったぐらいだ(全日空機高知空港胴体着陸事故)

号笛:鳴り方が違うのは、お客さんを迎えたからである

慌てて気密扉を閉めた:外部の人間からしたら大変失礼な行為ではないだろうか?こういうことが無いように号笛などで来客を船内に知らせるのだが、フレッドにはまだ誰も教えていなかった

「機械じゃダメなんですか?」:糸のように細く絞ったレーザーでも距離があるので相手に当たる時には探照灯で照らしているぐらいの面積になると考えた。すると仮想攻撃がどの部位に命中して、どんな被害をもたらすのかは、経験を積んだ士官でないと判断できないとした。まあナナカみたいなコンピュータならできそうな気もするけどね

お風呂に入れない生活:日本人の特徴である「風呂好き」だが、昭和も終わりの方になるまで毎日入浴できるなんて、庶民は考えられなかった。未来の宇宙時代ではどうなっているか分からないが、かけ離れすぎても違和感しか湧かないので、令和の感覚と同じ物とする

ダイソン球:恒星をすっぽりと覆ってしまう人工地殻のこと。スペースコロニーが行き着くところまで行くとこうなるらしい。実際に白鳥座にある星がこれに包まれているのではないかという説がある。そうなったら異星文明があることになるが、果たして


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