〜フッキ復活〜
ユーリは続々と集まってくる冒険者や、武器を持った大人を見ていた。
予想外に数が集まっているようだ。100人ほどはいるだろうか。これで時間が稼げればいい。
領主の判断としては、逃げやすいように、民を街側である南に集めておく。主都の民が逃げてきて、魔物の全容が分かり次第合流させて判断を下す。
逃げるものたちは一つにまとめた方が護衛もしやすいという判断だ。
その分民の数は増えるが、守る対象を「一つ」とすることができれば、魔物がきたとしてもその方向に護衛を残して対応すればいい。
それは賢明な判断だろう。
ユーリも準備を怠らない。自分のできる範囲で戦い、限界が来たら逃げよう。
・・・そう思っていたが。
「君がユーリか?サラから聞いたよ。ありがとう、助かった」
そう話しかけてきた声は低く、聡明そうで、責任感の強そうな声。
一瞬知り合いにこんな声の人間がいたか?と思ったが、「サラ」というワードを出した時点でその人物は確定していた。
「初めましてフッキさん、サラから色々話は聞いています。元気になった様でよかったなのです」
「・・・元気になったというよりかは生まれ変わった様だがな。起きたら腕が生えているなんて・・・
とにかく本当に助かったよ。
それからサラにある程度のことを聞いた。ベルタの街が魔物に襲われているそうだな。それから逃げるために私とサラはここへ運んでもらった、と。間違いないか?」
「ええ、大筋で言えばそんな感じなのです」
「では私もこの防衛戦に加えてもらおう」
「・・・サラはどうするんですか?」
「サラのことは君に任せる。『転移』が使えるのだろう?宿屋から出ない様に言ってある。
この街が危なくなった時は君が守ってやってほしい」
「それは構いませんが、私は夫からあなたのことも頼まれています。それを蔑ろには出来ないなのです。
なので『転移』する時はあなたも一緒なのです」
「・・・私にはこの国を守る義務があるのだ。でもサラはまだ子供だ。その時は彼女だけ頼む。」
「・・・」
国を守る義務ってなんなのだろうか。ユーリは考える。
元冒険者と言っていたが何かお世話になった人間がいるのだろうか。
まあ考えてもしょうがない・・・その時は無理矢理連れて飛べばいい。自分は家族のいうことを最優先するのだ。
ーーユーリにとって自分を助けてくれた人達、グレンとユーリへの感情は尋常なものではない。
彼女にとっては自分の命よりも彼らの命の方が圧倒的に上なのである。
初めて会った時は自分の危険を顧みず、身を挺して守ってくれた。
その後は自分を一人にせず、パーティに入れてくれ、妹のように可愛がってくれるエメリア。
そして自分を助けてくれた王子様、グレン。
エメリア姉と自分がやられた『牛馬獣』を圧倒的な力で蹂躙した。
エメリアに回復薬を使いながらその光景を見ていた私は一目惚れしてしまったのだ。
最初はエメリアを危険に晒したユーリををよく思っていなかった様だが、他ならぬエメリアが許してくれたことで、態度を軟化させてくれた。
そうなったグレンはとても優しかった。そんな彼に恋心を抱かないのはもう無理だった。
しかしエメリアに対してももちろん感謝の気持ちがあり、表面上は出さずにいたのだ。
そんな彼女にエメリアは2人ともグレンのお嫁さんになることを提案してくれたのだ。
ユーリにとってこの2人は絶対に裏切らないと決めている相手なのである。
この戦いで二人の役に立とうと張り切る彼女であった。
こんにちは。
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