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〜新しい龍〜


俺は『巌砂山』の山頂で暇を持て余していた。


暇すぎて剣の素振りを続けているところだ。


半日近く待っている。なのに龍は帰ってこない。

飛び立つ姿も飛んで戻ってくる姿も目撃されている。ということは俺が着いた時に、龍が離れている可能性も考えてはいた。

だから早めにここへ向かってきて、待っていることにしたのだ。

幸い彼女たちにも任せる仕事ができたので、ここで一緒に待ちぼうけさせずに済んだ。



しかし中々帰ってこないな・・・まさかいくつか巣を持っていて気ままに行き来しているのか?

そうなってくるとここで今かなりの時間を浪費しているのは無駄な時間というパターンもある。


流石にずっとあの街で待たせるわけにはいかないからな。ここは一度帰り、そちらの問題を解決して、気長に三人で待つことにするか。



そう考えたその瞬間、胸の動悸が襲ってきた。


自分の同種に会える喜び。


また強くなれる喜び。


そんな『心魂(アニマ)』の感情を表すように、俺の心臓はより力強く脈を打つ。


きた・・・!!


俺でもわかるぐらいに接近してきている。やっと会うことができたな。


大きな翼をはためかせる音が近づいてくる。


やがてそれは目の前にやってきた。



『我は崩落龍(セディメンタ)お主の中に入ることになる。

・・・が、その前に頼みたいことがある。黒龍王の子をこの地の守護者として生み出してほしいのだ。』


「どういうことだ?」


『黒龍王は自分の平定していた地に子を生み出さず、お主の中に入った。

つまり役目をほったらかしてお主の中へ一番乗りしたわけだ。

そしてその役目を白狐龍に託した。

その白狐龍も今度は自分の地を捨てて、黒龍王の地に移り住んだ。

・・・そうした理由で皺寄せが我にきていた。我は20年以上二箇所を平定していたのだ。

龍が自分の分身たる子を生み出せるのは一体のみ。それ以上は力が分散してしまい、力が弱まるからだ。

我は我が子をもう生んでしまっておる。その為、この地を平定するために黒龍王の子が必要なのだ。』


聞けば聞くほど黒龍王が悪い気がする。末っ子か?

全面的に協力することにした。


「・・・なるほど。どうすればいい?」


『黒龍王のみから力を引き出し『龍分身(ドラゴアバター)』と唱えよ。全力を引き出してやれば良い。それでできるはずだ。』


「わかった・・・『龍分身(ドラゴアバター)』」


俺の掌から生み出された黒い靄が段々と黒いドラゴンの形を成していく。それはやがて安定し、隣の崩落龍よりひと回り小さい黒龍が生まれた。


『これで良い。もう自分の使命もわかっておるはずだ。

我は今からお主の中に入るぞ。これからよろしく頼む。

それから一つ。我は子の様子を見に行って帰ってきたばかりだが、その隙をついて悪魔公が魔物たちを動かし始めたようだ。気をつけよ。』


「は!?」


そう言うだけいって、『崩落龍』は眩い光と共に俺の中に入ってきた。ドクンっと心臓が跳ねる。何度目になってもこの感覚にはなれそうもない。だが、またやれることが増えそうだ。

だが今はそんなことを言ってる場合じゃないな。自分がいない隙をついて魔物を動かした、か。

どうして今までほかっておいたのかも気になるが、とにかく『悪魔公』が存在するのは確定のようだ。


街に置いてきた二人が心配だ。すぐに街に帰ろう。



こんにちは、本日の3話目です。

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