〜ベルガでの遭遇〜
俺たちは今新興国ウルベスタンの主都である、『黄金都市ベルタ』に到着したところだ。
今着いての率直な感想は、栄えている。だった。
今まで通ってきた3つの街とは、活気が明らかに違う。
商店街が類を見ないほど大きいのだ。
街の半分以上が商店街なのでは、と言いたくなる程に広がっている。
金を使った装飾品はここまでの街でも見てきたが、ここの物は明らかに量も質も違う。
ここが金の採掘の最前線なのだから、より良いものはここでしか手に入らないということだろう。
良い物はもちろん早く売れる。良い物を手に入れたければ金の生産地に向かうのが一番効率がいい。
見るからに富裕層が多く、個人単位で良い品を探すコレクターのような人間も見受けられる。
そして言うまでもない事だが、商人が圧倒的に多い。
良い品をここで仕入れて、得意先や自分の店などに卸す仕事だ。
この国が興った時、商人として才あるものほど我先にと現地に赴いて、良い取引相手を探したのだろう。
迷いのない行動を取る商人も多く見受けられる。そう言った商人たちはすでにいい取引相手を捕まえているに違いないのだ。
また新しく、冒険者ギルドも支部を置いており、現在その依頼の多くは採掘職人たちの護衛任務らしい。砂漠にも魔物は多くいるのである。
この特殊な環境である『砂漠』というのは、道の整備が困難だという理由で、足元の砂の中から急に魔物が出てくることもあるため、通常の護衛任務よりもランクが上に設定されやすいらしい。
「金装飾のお店がたくさんありますわね!」
「どこもキラキラしててすごいなのです〜!!」
確かにすごいもんだ。
街の中はきちんと整備されているし、活気もある。
国が興ってから2年弱とは思えないほどの発展ぶりだ。
「また帰りに買ってやるから、今は宿屋を探そう」
「「はーい!」」
俺たちはそんな話をしながら、栄えた大通りを抜け、少しだけ静かになった一般の家や宿屋、飲食店が立ち並ぶスペースへとやってきた。
宿屋がたくさんあるがどこがいいだろうか。そんなことを考えながら歩いていると店の裏角から出てきた人間とぶつかった。
「きゃっ!!」
「おっと、大丈夫か?」
俺とぶつかって転びそうになったその子を支える。
「・・・大丈夫です!ぶつかってしまってごめんなさい!!」
「・・・俺の方こそ、前をちゃんと見ていなかった。すまない」
彼女はまだ5、6歳に見える。灰色の髪で、ボロ衣を纏っただけのガリガリに痩せたその姿。
この街は栄えている・・・だがやはり、急速な発展についていける者ばかりではないようだ。
彼女が出てきたこの通りの奥には薄暗い空気が漂っている。彼女のような境遇に陥ってしまった人たちも多くいるのだろう。続けて俺は言葉を紡いだ。
「急いでいるように見えたが、どうしたんだ?」
「・・・いえ・・・。」
「何かあるなら力になれるかもしれないぞ」
「・・・・・・」
話そうか迷っているように見える。これは何かあるな。どう切り出そうか・・・そう考えていると。
「その前にお嬢さん、話はご飯を食べながらでも良いでしょうか?この街に着いたばかりで私たちお腹がペコペコなのです!
お嬢さんも一緒に食べましょう?みんなで食べるご飯はきっと美味しいですわ!」
エメリアの気の利いた提案に即乗っかったのだった。
また明日更新します。




